未整備の雪山が「圏外」にならないワケ。auのフリーライド世界選手権エリア化対策に密着

地域に応じた固有の問題をエリアの技術チームが解決

Hirotaka Totsu
Hirotaka Totsu
2018年01月25日, 午前 08:00
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長野県白馬八方尾根スキー場にて開催されるフリーライド・ワールドツアー(フリーライドスキー・スノーボード世界選手権)において、auがエリア対策を行いました。auは、フリーライド・ワールドツアーのオフィシャルスポンサーとして協賛。「本競技のダイナミックな滑走映像をLIVE配信、VR配信する事でKDDIが目指す新たなスポーツ視聴が表現できると考えたため」としています。

今回の競技は「SPORTS BULL」やYoutubeLiveなどで配信されますが、配信(エンコード)を現地の配信ベースから行うに際して、auの4GLTE回線を使用。配信の品質向上や参加者やギャラリーの通信環境整備のためにエリア対策が行われました。OLYMPUS DIGITAL CAMERA


フリーライド競技は、一般のスキーゲレンデから外れた整備されていない斜面で行われます。スタートポイントは、白馬八方尾根スキー場のリフト最上位からさらに徒歩で登った尾根に設置され、そこから未踏の斜面を滑り降ります。整備されたゲレンデと異なり、山の自然な地形を時にはジャンプしたり急な斜面でスピードをコントロールするなど、高い技術とコース選びのセンスが求められます。


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普段人が入らないエリアでの競技なので、携帯の電波もゲレンデ並の品質とまではならない様子。さらにギャラリーや関係者が使用したりSNS発信することによる混雑も予想されるため、安定した配信のためにもエリア対策することになったということです。配信用の中継ブースが組まれたテントは、ゲレンデ外の規制エリアの中腹にあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
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光ケーブルを使用した有線接続のカメラをスタート地点とゴール地点に設置し、それ以外は専用の伝送装置で飛ばしたり、ドローンによる映像をWi-Fiで伝送します。有線、無線を含めた映像ソースは7つ以上で、それをスイッチングしたり、テロップや得点などを載せた最終的な番組(プログラム)をエンコーダー(配信装置)にて、配信サーバー(Youtube Live)に送信します。auの回線はこの配信サーバーへの送信のために使用されます。エリア対策することによって4G LTE回線にて800MHz帯2GHz帯あわせて6Mbpsの帯域が確保されたということです。




ドローンは、中腹と山頂エリアに1台ずつ飛んでいました。強風や強い上昇気流などもあるなかで、難易度の高い撮影だったと思います。





肝心のエリア対策ですが、取材エリアからはるか麓に移動基地局車を設置。バゲット車(高所作業車)にアンテナを設置して見通しを確保したということです。取材エリアからも、あの辺にあるはずですと案内されましたが、光学600mmのレンズでもファインダーでは判別できず。目見当で撮影しプレビューで確認したところそれらしいものが写っていたのでRAW現像時に拡大してようやく判別できました。後日auより移動基地局の写真を送ってもらいましたので、あわせてご覧ください。




エリア対策は、花火大会や大規模なイベントなどでも行われていますが、厳冬期の山間部で実施するのは初の試みだったということです。人が多く集まるイベントでのエリア対策と、今回のような配信のためのエリア対策の違いがあるのか疑問が生じたので質問をしたところ、品質を向上するという意味では一緒で、作業内容も同じだということです。単純に移動基地局を追加するだけでなく、既存の中継局の電波の指向性を調整して移動基地局の強い電波が該当エリアをカバーして、他の局の微弱な電波はカットするなどの調整を行ったということです。



冬季ならではの苦労としては、凍結や積雪の対策があったということで、雪かきやアンテナなど機器の除雪は毎日のようにしているということです。また、各種機器も暖機運転が必要ということで、早めに通電して性能が発揮できる状態を維持するなど低気温環境ならではの運用も行っているそうです。対策に当たったチームは、東海エリアを担当する技術チームで、基本的にはエリア対策は必要な地域のチームが当たるのだそうです。今回の対策にあたっては北海道のチームに冬季ならではのアドバイスをもらうなどはしたそうですが、設計から設置運用までを自チームで行ったということです。


KDDIのバリュー事業本部 バリュー事業企画本部 ビジネス統括部の繁田部長は、今回のスポンサードとエリア対策などの協力に関しては、トライアルの位置付けだと語ります。フリーライド競技は一般の観客が観戦しにくいエリアで行われるので配信の役割は大きいとした上で、今回はリアルタイムのライブ配信が実現できたことで将来の(5Gへ向けた)チャレンジに道筋ができたのではないかと手応えを感じた様子。



将来的にはIoTデバイスを通じて選手の状態やボードの角度や荷重のバランスなどの情報を中継にオーバーレイで載せられたらスポーツ中継の価値も高まるのではないかと期待をにじませます。また、5Gの大容量低遅延を活用することで、例えばスタジアム競技の選手ベンチにVRカメラを設置して選手とおなじ目線で中継を楽しむ、プラチナチケット的な良い席など幾つかの席を自分で切り替えて視聴するなどアイディアも尽きません。また、プロのスポーツ選手のデータが取れることで、コーチングなどにもフィードバックできるのではないかと、インフラが整備されたことでできることが広がり、さらにそこから新しい活用方法が生まれるなどの未来もあるのではないかと、5Gが実現する未来を予想しました。



フリーライド・ワールドツアーを主催する FWT Managemant SA CEOのNicolas HALE-WOODS氏は、auがスポンサーになったこと、通信が大会に果たす役割について「今日、全てのスポーツにおいてコミュニケーションが必要になっており、auのようなテクノロジー会社がパートナーになってくれたのは、大会運営において欠かせない事です。今回はauのエリア対策によって配信が実現できて、それによって多くの人が競技を見る事ができます。例えばアラスカなど海外での競技の場合、衛星通信を利用して中継しなくてはなりません。白馬ではキャリアの回線で配信できる。それだけでなく観戦しに来てくれた人や選手がSNSで発信したり、見にこれなかった人たちとコミュニケーションがとれるのは、そこに電波が通じているからこそできる事です。」と語り、携帯電話の電波が通じる事のメリットや回線の品質に高い評価をしめしました。

今後のテクノロジーが発達したら実現したい事として、なによりもケーブルの長さが大会運営の制限になっているので、カメラの映像を無線で飛ばしたり、選手にGoProを取り付けてその映像を中継に混ぜる事ができたらとてもエキサイティングだと期待をにじませました。





取材した日はコンディションが整っておらず、エキシビジョン滑走が行われただけでしたが、白い雪煙をあげて滑って行く選手たちの姿は圧巻でした。27日までの間で、積雪や天候などのコンディションによって競技が実施が決定されるという事ですので、ぜひライブ中継で観てもらいたいと思います。

 
 

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