[Engaget US版より(原文へ)]

この28年間、ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙のとてつもなくドラマチックな映像で、ひとつの世代の天文学者たちに刺激を与えてきましたが、まだまだ私たちに感動を与えてくれています。

NASAは、干潟星雲の新しいフライスルー動画を公開しました。銀河系の中心に位置し、私たちの太陽の20万倍という大きさのハーシェル36を中心とした、NASAが「やかましい星の幼稚園」と呼ぶ無数の塵や星からなる星雲です。

動画は遠景から始まり、干潟星雲の中心へとズームアップしてゆきます。そこは地球から約4000光年離れた場所です。ハーシェル36がもっとも明るく見え、強力な放射線や恒星風を放出して、NASAが呼ぶところの「カーテンのようなシート」状に塵を押し出しています。黒いゾウの鼻のような形が見えますが、それが浸食を食い止め、新しい星が形成される保育器の役割を果たしています。

NASAは、「ワイド・フィールド・カメラ3」を可視光線のレンジで使用して、この動画を作りました。これは、2009年にハッブルに追加された第四世代の機材であり、今のところ、この宇宙望遠鏡で最高解像度のカメラです。近赤外線チャンネルに切り替えることもできます。そうすると、ほとんどの塵を透過して、干潟星雲に存在する驚くほど大量の星が現れます。最初の写真で見比べてみてください。

ハッブルには、一般の人々に宇宙を見せるという大変に大きな使命がありますが、美しい写真を撮影するだけが能ではありません。たとえば、太陽系外惑星の探索にとっても、ハッブルは欠かせない存在です。最近では、トラピスト1の惑星の大気を通過する星の光をスキャンすることで、水が存在する可能性を突き止めました。

またハッブルは、私たちの太陽系に新たな天体があることを発見し、シューメーカー・レビー9彗星が木星に衝突した場所を特定し、数百万光年彼方の「ディープ・フィールド」の銀河系の映像を映し出しました。そこには、これまでに発見されたなかでもっとも遠い銀河GN-z11も含まれています。また、これまで希少だと思われてきた銀河系中心部のブラックホールの数が、けっこう多いことも明らかにしています。

火星探査車オポチュニティと同じく、ハッブルも、当初の運用期限をとっくの昔に超えて、しかも反射鏡の欠陥という残念なスタートを切ったにも関わらず、長期間運用されています。最後の点検ミッションは、2009年にスペースシャトル「アトランティス」のクルーが前述のワイド・フィールド・カメラ3を取り付けたときでした。ハッブルは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と交代することが決まっていますが、NASAは先日、少なくとも2021年までハッブルの運用期間を延長することに決めました。JWSTの打ち上げが1年間遅れてしまったためです。もしかしたら、もっと長く運用されることになるかも知れません。

編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
原文著者:Steve Dent