スマートネックレス「Medallion」をノキアに再投入してほしい:山根博士のスマホよもやま話

ノキアブランドのスマートウォッチやウェアラブルデバイスがぜひ欲しい

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2018年06月4日, 午後 12:45 in wearables
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ノキアはWithingsから買収したウェアラブルデバイスを含むスマートヘルスケアビジネスから撤退すると発表しました。同事業はWithingsの共同設立者、Eric Carreel氏に売却されます。「NOKIA」ロゴのついたスマートウォッチ「Steel」シリーズは、2016年の買収からわずか2年で市場から消え、再びWithingsブランドで販売されることになります。

スマートフォンで一度ならずとも二度の失敗を繰り返し、HMDグローバルによる新生・ノキアブランドとしてコンシューマー市場での復活の道を歩み始めたノキア。しかしウェアラブルデバイス市場はそう簡単には攻めきれなかったようです。



ところがノキアのウェアラブルデバイスは、このSteelシリーズが最初の製品ではありません。実はスマートフォン黎明期に一度は製品を展開し、日本でも発売されたことがあったのです。しかし数年で撤退したという歴史がありました。それは今から10年以上も前のこと。

ノキアが本格的なウェアラブルデバイスとして市場に投入したのは「Medallion」(メダリオン)シリーズ。2004年冬に初代モデル「Medallion I」が発売されました。発売はなんと世界に先駆け日本が最初。iPhoneも登場していなかったそのころ、日本の携帯電話業界は世界で最も進んでいました。ノキアは日本市場ならこの先進的なデバイスが売れるだろうとにらんだのです。その後「Medallion II」も日本で発売される予定でした。



Medallion Iの形状はネックレスの形をしています。今風に言えばスマートネックレスと呼ばれるのでしょう。首からぶら下げるストラップは、軟質樹脂のものと金属製のチェーンが付属しファッションに合わせて交換できました。日本ではセレクトショップで販売されるなど、IT製品としてではなくファッション製品としても販売されたほどです。

ネックレスの本体部分にはカラーディスプレイが搭載されています。サイズは1辺が16.7ミリなので、画面サイズ表示では約0.7インチとなります。解像度は96x96ピクセルで表示数は4096色。ドットが荒く色数も少ないものの、表示サイズが小さいため表示はそれなりに見ることができました。



ストレージは内蔵メモリーのみで、容量は写真が8枚保存可能。つまり100MB以下でしょう。赤外線を搭載し、ほかの携帯電話から赤外線で写真を送り、それをMedallion Iの画面で表示することができたのです。普段は時計表示にもなり、文字盤がいくつかプリインストールされていました。つまりフォトビュワーとして使うファッションアイテムだったのです。

当時のスマートフォンのOS能力やBluetoothの性能は今と比べるとまだまだ低く、スマートフォンの通知を受けるデバイスを製品化することはできませんでした。ソニー・エリクソンがBluetoothを搭載し、スマートフォンからの通知を受けられる初代スマートウォッチ「MBW-100」を製品化したのはMedallionから2年後の2006年でした。



ノキアとしてはカメラ機能が年々高まる携帯電話とペアで使えるウェアラブルデバイスを出すことで、新たなビジネスを開拓しようと考えたのでしょう。「Medallion II」は付属の革のストラップや自分の好きなストラップで首からぶら下げることができました。また「Kaleidoscope I」はその名前の通り、万華鏡のようにのぞき込んで使うデバイスでした。ノキアは一気に3製品もラインナップを登場させ、この分野でマーケットの先駆者を狙ったのでした。



では売れ行きはどうだったのでしょうか?そのころのノキアの携帯電話のカメラ画素数は30万画素。わざわざMedallionを買っても、携帯電話で写した写真を転送して表示して楽しもうとは思える画質ではありませんでした。日本でも同時に発売になった木の葉型のフィーチャーフォン「Nokia 7600」も、パンフォーカス30万画素カメラでした。



一方、Medallion Iは日本の携帯電話にも対応していました。たとえば対応機種のドコモ「SO505i」は130万画素のカメラを搭載。高画質な写真を撮影できる日本の携帯電話のユーザーなら、Medallion Iを活用してくれるとノキアは考えたのでしょう。しかし目の肥えた日本のユーザーにはMedallion Iの画面は貧相に見えたでしょうし、転送できるファイルサイズ制限や8枚だけという容量制限は不自由でした。ノキアのブランドも日本では確立しておらず、Medallion Iを首からぶら下げることがカッコいい、というムーブメントは起きなかったのです。

ということでノキアのビューアータイプのウェアラブルデバイスはこの3機種であっけなく終了してしまいました。ノキアは他にも据え置き型の画像ビューアーなどを複数展開し、デジタルイメージング事業にも力を入れましたが、そもそもペアとなる自社のスマートフォンやフィーチャーフォンのカメラ画質が低くては話にならなかったのでしょう。



その後2006年にはBluetoothヘッドセットでネックレス型、128x128ピクセルのディスプレイを搭載した「HS-13W Wireless Image Headset」を発売しましたが、こちらはあまり宣伝されることもなく、市場でも大きな話題になることはありませんでした。そしてそれ以降、ノキアの端末事業は2007年に登場したiPhone、そしてグーグルのAndroidの出現により苦境を迎えていきます。ウェアラブルに再参入する余裕すらなくなっていったのです。



しかしMedallion Iのデザイン・形状を改めて見てみると、2018年でも十分通用すると思えないでしょうか。ディスプレイ部分は今ならスマートウォッチの本体をそのまま取り付ければよいでしょう。実際に、スマートウォッチの中には本体部分を取り外して首からぶら下げて使える製品もあるくらいです。

HMDグローバルは5月にもノキアのスマートフォン3機種を発表するなど、ノキアブランドの復活を着々と推し進めています。Wear OSを搭載したノキアブランドのスマートウォッチが発売される日もいつかくるのかもしれません。その時はぜひMedallionのような、他社にはないデザインのウェアラブルデバイスも投入してほしいものです。
 
 

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