Googleが米国防総省と共同のAI(人工知能)研究プロジェクトにつき、来年度以降は契約更新しない方針であると報じられています。
情報筋によると、Googleクラウド部門CEOのダイアン・グリーン氏が、従業員との会合で内々に発表したとのこと。同社は近々に、新たなAI倫理ガイドラインを明らかにすると伝えられています。
2018年3月にGoogleが米国防総省の「Project Maven」に関する契約を結び、ドローンが収集した映像とAI解析を組み合わせる研究に関与していたことが発覚。これに反発した約4000人もの従業員が契約解除を求める請願書に署名し、十数人が抗議して退社する事態に発展したことは先日もお伝えしました。
グリーン氏は国防総省との契約総額が900万ドルに過ぎないと情報筋に話したとされますが、米Gizmodoが入手したGoogle社内メールによると、少なくとも1500万ドルに上る可能性もあったとのこと。
それでもGoogleの事業規模においては大きな数字とは言えませんが、幹部は軍事機関や情報機関とのビジネスを広げる絶好の機会ととらえ、最終的には年間2億5千万ドルのプロジェクトに成長する期待もしていたとか。
さらに社内メールでは、同社が米国防総省の機械学習アルゴリズム開発に広範囲に関わっていることや、都市全体を監視できる洗練されたシステム完成を目標としていたことが伺えたとされています。
Google社内でプロジェクトを非難していたひとり、AI研究者のMeredith Whittaker氏は「この決定には非常に満足していて、リスクを犯して運動を推進した人達に深い敬意を表します。Googleは戦争ビジネスに参加すべきではありません」とツイート。
I am incredibly happy about this decision, and have a deep respect for the many people who worked and risked to make it happen. Google should not be in the business of war. https://t.co/aVK0U5kyJv
— Meredith Whittaker (@mer__edith) 2018年6月1日
Googleは巨大なビジネスチャンスと引き換えに、社会的な信用や従業員の信頼を守ることを選んだようです。