OpenGL/GL ESはオープンソースの3DCGライブラリーとして、またOpenCLはCPUだけでなくGPUやDSPと異なる計算資源を活用するためのマルチコンピューティング用APIとして広く利用されています。たとえばAbobeの各種ツール類やMetal登場以前のMac版3Dゲームなどは多くがOpenGLを使用していました。なお、macOS 10.14 MojaveにおけるOpen GL /GL ESとOpenCLの扱いは、あくまで非推奨になったというだけで、Mojaveにアップデートしたら即、動作しなくなるというわけではありません。
ただ、アップルの意図としては、より低レベルなGPUアクセスが可能なMetalフレームワークへの移行を進めたいことは明らかであり、何年かのクッション期間の後にOpen GL /GL ES、Open CLのサポートを終了する流れになることは間違いなさそうです。
クロスプラットフォームでアプリケーションを開発するプログラマーにとっては、macOSでのOpenGLのサポート終了は頭の痛いところかもしれません。というのも、これまではOpenGLで作っていればほぼWindows、Linux、Macで動作させられていたのが、今後MacだけはMetalで書き直さなければならなくなるから。
Metal登場以前のMac向けゲームや3DアプリケーションはほとんどOpenGLを使っていたはずです。開発する側の考えようによっては、たとえばゲームの市場としては小さいMacへの対応を諦めるメーカーも、もしかすると出てくるかもしれません。
一方で、Metalの利点を積極的に活用しているゲームメーカーもないわけではありません。Valveの「Dota 2」やFeral Interactiveの「Rise of the Tomb Raider」、Epic Gamsの「Fortnite」、Telltaleの「Minecraft: Story Mode S2」といったゲームはすでにMetalを利用して開発されているとのことです。
ちなみに、やはりWWDC 2018で発表されたiOS 12でも、Open GL /GL ES、OpenCLは非推奨になりました。