iPhoneの国内販売は、3大キャリアに対してiPhone販売者に補助金による端末価格の大幅割引を提供するよう求めた端末購入補助条項を含む契約をもって行なわれており、公取委はこれが国内での自由な料金プランの提供を阻んでいるとされていました。報告書にはほかにもSIMロック、2年縛りといった、(アップルに限らず)携帯電話販売周辺ではこれまでにも問題視されてきたワードが並んでおり、それらがいずれも消費者から選択肢を奪っていると指摘します。
ただ、近年高額化しつつあるiPhoneのこと、端末価格の大幅割引に関しては一般消費者の目線で言えば「もっとやれ」と言いたいところ。公取委もこの点については「スマートフォンを購入する利用者に提供される端末購入補助は,スマートフォンの購入に伴う利用者の実質的な負担額を軽減し、スマートフォンの普及を促してきたとも考えられる」と一応の肯定意見を述べています。
しかし、この大幅割引が結果的に端末とサービス両方を提供する日本のキャリアにとっては高額な月額サービス料金の提示に結びついており、これが競争を阻害していると指摘しました。
これに対してアップルは、補助金による端末購入割引をともなう従来のプランと、端末購入割引をともなわない新しいプランの「双方を十分な情報とともに明確かつ公平に当該利用者に提示すること等を条件として」消費者に新しい料金プランを提供できるようにiPhoneの販売契約を改定すると申し出たとのこと。
わかりやすく言えば、今後キャリアは「端末購入価格は高いけど、月額通信量が安いプラン」を提供できるようになるということです。たとえばサラリーマンであればボーナスを端末購入にあて、通信量は安くおさえるといったスマートフォンの買い方、使いかたができるようになるかもしれません。
日本国内では、スマートフォン販売の約半数がiPhoneという現状。iPhoneの料金プランが今よりも多様化すれば、スマートフォン市場全体に与える影響も非常に大きくなりそうです。
ちなみに公取委は以前より問題視する、いわゆる4年縛り契約についてもこれを「是認したものではない」と改めて指摘しました。ただし、これについてはアップルがキャリアに求めているものではないため、指摘するのみにとどまっています。ちなみに、アップルがキャリアに対してiPhone注文数量を定めているとされる問題に関しては、限られた年を除いて注文数量は具体的に定められておらず、注文数量の義務付けもなかったとしています。