iPhoneで「海の中からこんにちは」とツイートできる日がくる? 海中ネット構築の狙い:旅人目線のデジタルレポ 中山智

青色LDを使ってデジタルデバイド領域の海中でもネットワークを構築

中山智 (Satoru Nakayama)
中山智 (Satoru Nakayama), @yenma
2018年07月16日, 午前 09:00 in netbook
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旅人ITライターの中山です。大学時代はヨット部に所属していて、海にロマンを感じる筆者ですが、そんな海の男の心をくすぐるようなコンソーシアムが立ち上がったので、その発表会に行ってきました。今回発表されたのはALAN(Aqua Area Network)コンソーシアム。海中などの水中環境をひとつのローカルエリアネットワークと位置づけて、水中でも各種ネットワーク環境を構築しようという団体です。

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▲ALANコンソーシアムのコンセプト

実は海中をはじめとする水の中は、海底地図よりも月の地図のほうが詳しいデータがあると言われているくらい未開のエリア。そのいちばんの理由が水中では電波が届きにくく、地上や空中のような電波無線技術を使ったノウハウが通用しないため。デジタルデバイド領域とも言われています。

そんな電波が届きにくい水中エリアで、ALANコンソーシアムが目を付けたのが青色LDによる光無線技術。青色のレーザー光を使って、周りの情報を検知したり機器同士の通信を行うわけです。

たとえば水中で作業するAUV(自立型無人機探査機)に、青色LDを使った水中LiDARを搭載。LiDARは地上での自動運転などにも使われる技術で、可視光線を射出してその反射光を検知することで、対象物までの距離や形状を検知できるシステムです。

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▲自動車の自動運転などにも使われるLiDARを水中でも使う


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▲各種ロボットに水中LiDARを装備し、安定した水中運用を目指す

可視光線には青色以外にもありますが、あえて青色LDを使う理由は水中でも長距離まで届くため。光は水中を通過すると減衰していきますが、青色は散乱によって減衰率が低いので遠くまで届きます。空や海が青いのは散乱により青い光だけが残りやすいからという理由と同じですね。

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▲青色LDは水中で減衰率が少なく、効率良く通信できる

ALANコンソーシアムでは、この青色LDを使った可視光線通信のほか、音波や有線技術も組み合わせて、水中内で様々なネットワークを構築する技術を提供していく予定。3年後には水中LiDARでは50m先の距離を1cm単位でスキャニングし、水中光無線通信では1mから100mの距離で最大1Gbpsの高速通信を行い、さらに水中で非接触の無線給電も行えるようにするのを目標としています。

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▲水中光技術で、海中内にネットワークを構築するのが3年後の目標

今回のコンソーシアムには、国内の企業や大学の研究室などさまざまなチームが参加。それぞれが持っている先端技術を組み合わせることで、より高い技術の規格を一般の市場に向けて提供するのが狙いです。

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▲ALANコンソーシアムに参加予定のチームが担当している技術

ALANコンソーシアムが提供する技術が広まれば、橋などの水中の建造物の点検や船底などの検査にAUVが使えるようになります。こういった点検や検査は現状熟練の潜水士によって行われていますが、レジャー向けのダイバーとは違い特殊性もありかつ危険も高いためなり手が少なく、高齢化が問題となっている職種なので、ロボットによる自動化に置き換えられるなら大きな市場になりそうです。

また最近は漁業も捕る漁業から育てる漁業へとシフトしており、養殖場の監視も重要なポイントになっています。この監視業務も365日24時間人力で行うより、センサーなどを使って自動化したほうが効率的。そのためにも水中での安定した通信というのが重要です。

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▲水中での通信の導入が期待される分野

実はここ数年、水中や海洋に対しての関心が各国から集まっていて、世界最大の光ファイバ・ネットワークの国際会議OFCでも水中での通信に関するセッションが2017年から急増しているとのこと。海中には資源なども豊富に眠っており、最後のフロンティアとして世界中が狙っているので、回りを海に囲まれた日本にとっては、この分野で出遅れることは大きな痛手となる可能性もあります。

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▲国際会議でも水中での通信に関するセッションが増えてきており、注目を集めている分野となっている

海底からダイビング中にスマートフォンでSNSへ投稿......といった通信はまだ先ですが、ALANによって、水中のネットワーク化が進めば水中だからできなかったことが、実現するかもしれませんね。

 
 

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