ロールスロイスが、航空機エンジン内を這い回って故障に結びつく問題を事前に発見する、極小メンテナンスロボット数種類を開発していることを明らかにしました。このロボットが実用化されれば、エンジンの積み下ろし作業が省略可能になり、定期的な点検作業における負担や時間が大幅に軽減できるかもしれません。ロールスロイスは英国で開催されたファンボロー国際航空ショーの場でコンセプトを説明し、このロボットの開発のために米ハーバード大学および英ノッティンガム大学のロボット工学の専門家たちとチームを結成したと語りました。そして「従来なら5時間かかる点検作業が、もしかしたら5分で終わるかもしれない」と大胆な予測を示しています。
研究チームに加わったハーバードの研究員Sebastian de Rivaz氏は、1つめのロボットがゴキブリの動きからインスピレーションを得た昆虫ロボットで、もう8年にも渡って開発が続けられていると説明します。そして次の開発ステップはロボットを15mmほどの大きさに縮小しつつ、カメラを搭載することが目標になるとしています。

このロボットはエンジン内部の各種配管を点検するのが役割になるはずですが、点検を終えれば自分の足でエンジンから這い出てくるか、さもなくばエンジン始動で外部へ吹き飛ばして取り出すこともできます。

一方でde Rivaz氏は、ゴキブリ型とは別に柔軟なボディを備えるヘビ型ロボットの開発にも取り掛かっているとしました。こちらは燃焼室内から排気エリアを検査し、遮熱コーティングが剥がれた場所を検出しながら周辺のあらゆるデブリを除去します。次に問題の見つかった場所へ "2匹めのヘビ" を送り込み、損傷箇所を次のオーバーホールまで保たせるための、パッチ修理を施します。

また、発表の場にはエンジン内部を常に監視する潜望鏡のようなロボットも展示されており、これもまたエンジン内部に埋め込んで使うもので、修理が必要になりそうな箇所を継続診断するために用いるのだとか。

最後に紹介されたのは"リモートボアブレンディングロボット"と呼ばれるもの。これはエンジン内を進み、損傷したコンプレッサブレードをレーザーで修復したり研磨するためのロボットとのこと。
なお、発表の時点においては、これらのロボットが実用化されるまでのスケジュールは示されていません。しかし、最後に紹介したボアブレンディングロボットはすでに試験段階に入っており、2年ほどで使えるようになるとのこと。またいずれのロボットもエンジン内への挿入は現地の作業員が行うものの、ロボットの操作操縦は英ダービーにあるロールスロイス航空機センターにいるスペシャルエンジニアが行うことになります。

遠隔から操作して修理作業が完了した後は、3Dスキャンによって修理箇所の状態を確認し、エンジンを健全な状態に保つことができるとしています。

ちなみに、最先端のモータースポーツであるF1では、走行中のマシンの状態はテレメーターを通じ、サーキットのピットガレージ内で監視しているエンジニアに送られます。さらにその他に、各チームのファクトリーにいるエンジニアもインターネット越しに同じデータを監視して、マシンの異常検知、現場への指示出しなどをリアルタイムに行なっています。

ロールスロイスのロボットによる点検手法も、まさにトップのエンジニアがあちこちの空港へ行かずともエンジン内部を詳細に点検できるようになり、修復作業までを実行できるというところが、F1のマシン監視体制にやや似ていると言えるかもしれません。