スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress 2018(MWC 2018)にて、デュアルカメラ機が出てくるよとチラ見せされ、待たされることまる5ヶ月。
もうすぐ目の前にIFAが迫ったところで、ようやく発売となった「Xperia XZ2 Premium H8166」を入手したので、早速使ってみました。
初めて手にしたときの印象は、デカい!
「Xperia XZ2 Premium」は、Xperia初のデュアルカメラ搭載というだけでなく、5.8インチの4Kディスプレイを備えているのが大きな特徴。新要素が詰め込まれてかつフラッグシップという点から少なからぬ期待感をいだきつつ、まず「Xperia XZ2 Premium」を初めて手にしたときの印象は、デカい!重い!でした。
本体サイズは、約158×80×11.9mm、重さ約236g。236gというとスマートフォンとしては重量級で、iPhone SE(113g)を2つあわせて持っているのと同じ重さです。
そして、両サイドは狭額縁となったものの、Xperia XZ2シリーズ共通の背面がラウンドしたデザインにより厚みが増したことで、より大きさを感じてしまいます。
鏡のように反射する見た目は高級感あり
前向きにとらえると、丸みがあるということは持ちやすさに寄与していたり、曲面ガラスとメタルフレームの組み合わせにより鏡のように反射する見た目は質感がとても高く、チープ感はありません。ただ筆者個人的には、以前のXperia XZ Premiumのような洗練したイメージがなくなってしまったように見受けられることとが気にかかりました。そしていかんせん、光沢全開ツルツルボディなので滑って落とさないかドキドキものです。
ディスプレイは、5.8インチの4K解像度(2160×3840ドット)で、アスペクト比は従来どおりの16:9。
Xperia XZ2 / Xperia XZ2 Compactでは18:9という縦長のアスペクト比になり、新しいトレンドを取り入れたかと思いきや、Xperia XZ2 Premiumは16:9のまま。
モデルによって統一感がないところが、ユーザーからするとXperiaのコンセプトがいったいどこへ向かってるのかが見えてこないように感じます。まだXperia XZ2 / Xperia XZ2 Compactは前モデルから進化してきたという言い訳が通るだけマシ。長年のXperiaユーザーである自分ですら、Xperia XZ2 Premiumの購入に躊躇したのも事実です。
指紋認証センサーは背面となり、デュアルカメラが中央タテに並んでいることもあってかなり中央よりに配置されています。
自然に本体を掴んだ場合、そのままだと危うくレンズをポチっと触りそうになってしまうあたりはスマートとは言い切れません。
背面にあると、右手と左手どちらの手で本体をつかんでいてもまず人差し指で確実に認証解除できるというメリットはあるので、レンズと指紋認証の位置はもうちょっとレイアウトは考えてほしいところ。
その他、背面にはNFCとQi(チー)方式のワイヤレス充電も備えています。
ステレオミニプラグは廃止、BluetoothのコーデックはLDACとaptX HDに対応して、オーディオリスニングはワイヤレスヘッドホンが主流となるようです。
野外でも明るいディスプレイ
ディスプレイの特徴としては、4K(2160×3840解像度)の高精細に加え、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応。Xperia XZ Premiumと比較して、0.3インチ画面がさらに大きくなっていることと、最大輝度が約30%向上明るくなっており、野外の明るい場所でも視認性が上がっています。
高画質エンジン「X-Reality for mobile」がさらに進化したことで、設定の「動画再生時の高画質処理」として、通常の映像(SDR)をHDRへアップコンバートできるように。よりたくさんの動画を豊かなコントラストと鮮やかな色調で楽しめるという恩恵があります。
「色域とコントラスト」の設定から、トリルミナス ディスプレイ for mobileの鮮やかな色域を利用する「スタンダードモード」や、より強調された色彩となる「ダイナミックモード」オリジナルの色彩に近づけて表示するsRGBの色域の「プロフェッショナルモード」が選べるというのは、Xperia XZ Premiumから引き続き搭載。
5.8インチという大きさに加えて、4K解像度の高精細さ、好みの色合いで写真や動画を堪能できるのはXperia XZ2 Premiumならでは。
スタンダードな写真のアスペクト比は4:3、動画のアスペクト比は16:9だということを考えると、Xperia XZ2 Premiumの画面サイズとアスペクト比が一番大きく表示できることになるので、それはそれでアドバンテージとして捉えられます。
Xperiaで撮った写真、もしくはデジタル一眼カメラで撮影した写真を転送して画質をチェックするには最強のツールです。
フォントサイズや表示サイズを小さくして、表示領域を上げて使う事もでき、大画面&高解像度という点はやはり、Xperia XZ2 Premiumを選ぶひとつのポイントにもなると思われます。
Xperiaの機能として、片手持ちで操作で端っこに指が届かない場合、画面の下を左右にスワイプして全体画面を小さく表示する"片手モード"があるなど、大画面ディスプレイの使い勝手のフォローもあります。
ズムズムと重低音っぽい振動が伝わってくるスピーカー
新要素として挙げられるのは、映像やゲーム、ミュージックビデオの音をリアルタイムに解析して、ソニー独自のアルゴリズムとパワフルなアクチュエーターから、コンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」を搭載する点。音量といっしょに、3段階で「ダイナミックバイブレーションシステム」の効き具合を好みで調整できます。
フロントステレオスピーカーは、歴代のXperiaからさらに最大音量になったうえ、映像のサウンドにあわせてズムズムと重低音っぽい振動が伝わってくるので、迫力の増した感が確かにあります。
プロセッサーは、Qualcomm社製64ビット クアッドコアプロセッサー「Snapdragon 845」。メモリー(RAM)は6GBを搭載。
ストレージ(ROM)は64GB、外部ストレージは最大400GBのmicroSDXCに対応。
現時点での最新プロセッサーと、ようやくメモリーも余力のある容量に。
ストレージは、フラッグシップとこのサイズ感からすれば、128GBくらい積んでくれるともっと差別化できたような気がします。
パフォーマンスは、ベンチマークテストで上記のとおり。
Snapdragon 845の性能が全体のスコアを大きく持ち上げてくれていることがわかります。
「Xperia XZ Premium」と比べても非常にパフォーマンスが上がっています。処理能力の高さは普段の操作から、カメラを使って負荷がかかる場合でも快適さを維持でき、素直に喜べるところ。
IP65/IP68相当の防水性能と防塵性能も、もちろん引き続き備えています。
初のデュアルカメラの実力は?
Xperia初のデュアルカメラ「Mortion Eye Dual」。メインとなるカメラは、約1920万画素のメモリー積層型CMOSイメージセンサー 1/2.3 Exmor RS for mobile、焦点距離は25mm相当、F1.8のGレンズを採用したものを搭載。
サブカメラとして、約1220万画素のモノクロCMOSセンサー 1/2.3 Exmor RS for mobile、焦点距離は25mm相当、F1.6のGレンズを採用したものとなります。
デュアルカメラの原理としては、モノクロセンサーの輝度データとカラーセンサーの色データを融合して、ソニー独自の画像融合処理プロセッサ「AUBE(オーブ)」により、2つのセンサーで集めた情報をリアルタイムで合成するといった具合。動画撮影時では最大ISO12800、静止画撮影時ではISO51200の超高感度撮影が可能になるというもの。
他社が先行しているところにようやくのっかってきたということもあって、その分期待値も上がり気味に使ってみました。
が、いくつか細かな制約があり、それを把握するのに手間取ります。
まず、カメラの解像度設定として、一番綺麗に撮れるであろう16:9(17MP)や4:3(19MB)ではいきなりデュアルカメラが使えません。
その一つ下の16:9(13MP)や4:3(17MB)がデュアルカメラでの最高画質となります。
また、HDRをONにするとデュアルカメラは使えず。あくまでもHDRとデュアルカメラはどちらか一方ということになります。
気持ちがデュアルカメラの恩恵を味わいたいと思っていたため、いきなり「マニュアルモード」でやってみようとしたら、かなり戸惑ってしまいました。
ちなみに、「プレミアムおまかせオート+」で撮影するのであれば、自動的に必要なシチュエーションにあわせて、シングルカメラ、デュアルカメラを撮りわけてくれます。筆者のように迷うことなく、シャッターを押すだけでいつでもベストな状態で撮影できるはずです。
暗いシーンになると、カメラディスプレイに「超高感度」という文字が現れるので、あ、いまデュアルカメラで撮るんだなということがわかります。
「マニュアルモード」時には、シャッターボタンのちょうど上にあるブタの鼻のようなアイコンで、デュアルカメラのオンオフを意図的に変えることができます。
気になったのは、シングルカメラとデュアルカメラで撮影しながら切り替えるさいには、タイムラグがあること。
それぞれで撮りわけてみようと思った場合に待たされている感があります。どちらか一方で撮影しているのであれば気にならずにサクサクと撮影できます。
また、2つのカメラで撮るということもあって、被写体から近すぎると画像のズレが生じてしまうため、撮影する被写体までの距離は1m以上は離れる必要があります。
近すぎると「被写体から離れてください」というメッセージで怒られるのでこの点にも注意が必要。
確かにISO感度高く撮れるので、暗所の撮影シーンでは役立ってくれそうです。
実際に「プレミアムおまかせオート+」で撮影してみたところ、一般のカメラでも同じですがISO感度が高くなればなるほど画質はザラついてノイジーになりがちだったり、暗所シーンではシャッタースピードは遅くなっていたため、過信して撮ってしまうと今度はブレ写真を連発してしまう可能性があります。
デュアルカメラに過信せず、本体をしっかりとホールドしましょう。
撮り方としては、「マニュアルモード」にして、自分が見て耐えられる上限感度を例えばISO6400やISO12800まで使おうと決めたり、暗がりで子供撮りをする場合はシャッタースピードが遅くならないよう意図的に固定したり、といった使い方でより良い写真を残せるはずです。
静止画だけでなく動画も撮影してみましたが、設定や組み合わせがややこしいです。
4K動画で撮影する場合、HDRは使えるけれど、デュアルカメラは使えません。
デュアルカメラを活かした撮影をする場合には、フルHD(60fps)まで。HDRがONになっていると、デュアルカメラが使用不可。
4K、HDR、デュアルカメラの超高感度と機能がてんこ盛りなのは良しとして、撮影しようと思ったシチュエーションでどれがベストな撮り方なのかの判断に迷いそうです。
デュアルカメラの性能を最も味わえる瞬間は?
そのあたりの設定に若干辟易しながらも、今回はあえて暗所での動画撮影をしてみたところ、ここに感動ポイントが待っていました。
静止画を撮るよりも、動画撮影でのデュアルカメラの高感度撮影の威力はわかりやすく、シングルカメラで撮ったときの暗くてみえなかった映像がしっかりと映っていること、しかもノイズ感も抑えられていて思わずコレはイイ!と納得できるクオリティの動画が記録できていること。
Xperiaのデュアルカメラの性能をもっとも味わえた瞬間でした。
せっかくのデュアルカメラ「Mortion Eye Dual」が搭載されても、いまのところ「暗所で超高感度撮影できるよ!」しかありません。
さすがにそれでは撮影シーンに偏りがありすぎです。
いつも持ち歩くスマホだけに、いろんなシーンで活躍してくれてこそ。
背景のボケ味を活かした「ボケ」機能や、白と黒のグラデーションが綺麗な「モノクロ(写真/動画)」機能が後日アップデートで備わるとなっていましたが、これこそ発売タイミングと同時にやっておくべきではないかと思わずにはいられません。
最初に触った瞬間は、デカくて重いと感じていたXperia XZ2 Premiumも使っているとなれてくるもので、大画面かつ高精細なディスプレイを使える楽しさも十分に堪能できます。
後は、この巨大ボディになってまでも搭載してきたデュアルカメラの機能を強化するアップデートを心待ちにしてみたいと思います。