英国最大規模の小児病院、Alder Hey病院が、心臓外科手術のような場面で、MicrosoftのHoloLensの使用を計画しているとMicrosoftが伝えています。
Microsoftによると、Alder Hey病院では、医療関係者によるカンファレンスで情報共有のためにSurface Hubを、手術現場で患者の情報をすぐに把握するためにHoloLensを、それぞれ導入する計画とのこと。
先日、後継機種となるSurface Hub2の国内投入も発表されましたが、現行のSurface Hubは84型4Kまたは54型フルHDのオールインワンWindows 10デバイス。ようするに巨大なSurfaceパソコンです。複数人による書き込みも行えるので、患者の情報を表示させながらの議論できる、カンファレンス向きのデバイスと言えます。
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もう一つのHoloLensは、現実の視界の中にグラフィックを重ねて表示させるMR(Mixed Reality:複合現実)ゴーグルです。手術中にも患者のCTスキャン画像や、Surface Hubを使って行われたカンファレンスの書き込みなども確認可能。情報確認のためにその場を離れる必要がなく、手を使わずに操作できるのが大きなメリットとして挙げられています。
Alder Hey病院では、Microsoftのパートナー企業であるBlack Marbleと協力し、Surface HubとHoloLens用の手術ベースのユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリケーションを開発しているとのことです。
医療現場でのHololensの活用としては、昨年、医療用AR/MR機器を手掛けるScopisが、ホログラフィック・ナビゲーション・プラットフォームを発表しています。これは、脊髄手術において、脊髄に埋め込む椎弓根スクリューの位置を投影するなどして医師の手助けを行うもの。
しかし、実際の現場にHoloLensが採用される例としては、Alder Hey病院が最初となるようです。
手術のようなセンシティブかつクリティカルな環境でのHoloLensの使用は、かえって邪魔になるのではとも思うのですが、そこはデメリットよりも情報確認できるメリットが勝っているとの判断があるのでしょう。
今後は、内視鏡手術などと同様に、AR/MRを活用した手術が増えていくのかもしれません。