衝撃を加えても発火しないリチウムイオンバッテリー、米研究者らが開発

従来の製造方法から大きく変えずに作れるのがポイントです

山本竜也(Tatsuya Yamamoto)
山本竜也(Tatsuya Yamamoto)
2018年08月23日, 午後 02:30 in gadgetry
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スマートフォンや電気自動車などに採用されるリチウムイオンバッテリーですが、衝撃を加えると出火や爆発する可能性があることは良く知られた話です。このリスクを比較的簡単に低減できるかもしれない技術が米国の研究者らによって開発されました。

リチウムイオンバッテリーは、2つの電極をセパレーターで区切り、電極間の電解質内をイオンが移動することで発電しています。このセパレーターが衝撃により破損し、電極が接触すると、電解質が発火する原因となるわけです。液体の電解質の代わりに不燃性の個体電解質を使用する研究も行われているとのことですが、従来のバッテリー製造プロセスを大幅に変更する必要があるのが難点です。

これに対し、オークリッジ国立研究所とロチェスター大学の研究チームが開発した今回の方法は、製造プロセスを殆ど変更することなく、衝撃による発火を防げるものとなっています。

利用するのはダイタランシー。片栗粉の水溶液に強い衝撃を加えると個体のように振舞い、圧力がなくなるともとの液体に戻る、科学実験でおなじみの現象です。

バッテリー内の電解質にシリカを加え、電解質をコロイド溶液とすることで、衝撃が加わった際に固形化し、電極の接触を防ぐという寸法です。今回の研究で新しい点は、その製造方法。電解質はバッテリー製造工程の最後に充電されますが、その時点でコロイドにしてしまうと、充電時の圧力で固形化してしまい、うまく入れることができません。そこで、セパレーターにシリカを添加しておくことで、電解質の充填後にコロイド化を行います。これにより、従来の製造方法をほとんど変えることなく発火の危険を抑えられるバッテリーが作れるわけです。

まずはドローン用バッテリーなどへの採用を目指すとのことですが、将来的には自動車市場に参入する考えとのこと。電気自動車のバッテリーとして採用されれば、事故時の出火も抑えられるかもしれません。

また、研究者のVeith氏は。耐衝撃性能に注目し、兵士が身に着ける装甲(防弾チョッキ的なもの)としても活用できるとしています。各種機器のためのバッテリーとして使いながら銃弾からも身を守れる多機能防弾チョッキです。

この技術がスマートフォンに採用されれば、胸ポケットのスマートフォンが銃弾を......といったシチュエーションが増えるのかもしれません。

 
 

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