ただし、aptX HDやaptX LLはいずれも固定ビットレートであるため、それぞれの用途に特化した状況でしか使うことができませんでした。新たに発表されたaptX Adaptiveは、乱暴に言えばこのビットレートを可変にして、aptX HDとaptX LLを状況に応じて自動切り替えするようにしたコーデック、と言えるかもしれません。クアルコムも、aptX Adaptiveの用途として動画視聴または音楽再生、ゲームでの使用を挙げています。もう少し詳しく仕組みを見ると、aptX Adaptiveではデバイス間のRFシグナル品質を参照し、それに合わせて高音質にするか、低遅延にするか、低ビットレートにするかを選択するとのこと。たとえばスマートフォンでの利用を考えた場合、車内オーディオとペアリングして音楽再生をするなら音質を優先したモードに、またBluetoothヘッドホンでの動画視聴ならば口の動きと声の出るタイミングにズレを感じないよう、低遅延を優先したモードになるということです。
クアルコムは、9月以降に出荷するヘッドホンおよびスピーカー用のBluetooth 5.0オーディオ受信チップCSRA68100およびQCC5100シリーズにaptX Adaptiveデコーダーを含むとしています。またスマートフォンなどに搭載するエンコーダーは、12月よりまずAndroid P向けに提供が開始される予定です。
ちなみに、iPhoneをはじめとするアップル製品はこれまでBluetoothの高音質コーデックとしてAACを採用しておりaptXには非対応。アップルはAirPodsやHomePodにも使用するW1チップにBluetooth機能を統合しています。