まだプロトタイプしか存在せず、生産を始めるまで2年も待たなければならないにもかかわらず、テスラのEVスポーツRoadsterは、自動車業界を波立たせているようです。スウェーデン・エンゲルホルムのハイパーカー専業メーカー ケーニグセグのCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は、テスラRoadsterのパフォーマンス、とりわけ加速性能に驚いたと語ります。テスラRoadsterの加速性能は、0〜60mph(0~約100km/h)加速が1.9秒という驚異的なもの。さらに0~100mph(0~約160km/h)加速は4.2秒。クォーターマイル(0-400m、いわゆるゼロヨン)加速の8.8秒は、無改造の市販車としては前人(車?)未到の記録かもしれません。

ケーニグセグ氏はこのRoadsterのスペックを見たとき「こんなものはあり得ない、実現可能なのか?実現可能なら、こいつを打ち負かすにはどうやればいいんだ?困ったぞ」と思ったとのこと。そして、ケーニグセグのチームはテスラRoadsterの上を行く自動車を開発すべく、いちから設計を考え始めたとのこと。

そして数日後、チームは競争力を得るには独自のハイブリッド・パワートレインの開発が不可欠という考えにたどり着いたとのこと。ケーニグセグのエンジンには、カムシャフトをなくして各給排気バルブを独立動作させる、独自のフリーバルブ技術があります。これにエンジンとトランスミッションを直結させるダイレクトドライブ技術を組み合わせた、V8エンジンの圧縮比を調整することでおよそ600hpを追加します。これによって理論的には、14秒で250mph(400km/h)までの加速が可能になるとのこと。

もちろん、こんなバケモノ的パワートレインを搭載するマシンが実際に日の目を見るのは、いつになるかは定かではありません。しかしケーニグセグには、エンジン出力が1440hpに達するとも言われるアゲーラ後継モデル「Ragnarok(ラグナロク)」のうわさがあります。そして、もしケーニグセグ以外のスーパーカーメーカーもパワートレインのハイパワー化によるスペック競争に向かうのであれば、1440hpという出力も驚くことではないかもしれません。

ガソリンエンジンベースの自動車は、燃料を入れさえすればいつまでも継続するパフォーマンスや、最高速度をといったポイントでEVに対する優位性を生み出す傾向があります。しかし、もしもテスラRoadsterがそういった部分でもガソリン車に迫る性能を得るならば、もはやガソリン車である必要性はなくなってしまうかもしれません。

エンジン出力を売りにしてきたケーニグセグのようなハイパーカーメーカーには難しいことかもしれないものの、出力以外でもハイパーカーとしての価値をもたせられるような戦略も、バックアッププランとして持っておくべきなのかもしれません。