WASHINGTON DC, USA - APRIL 13: US flag and Pentagon logo are seen before the press conference of U.S. Defense Secretary Mattis and Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Dunford on Syria at the Pentagon in Washington, United States on April 13, 2018. (Photo by Yasin Ozturk/Anadolu Agency/Getty Images)
米国防総省は、今後5年間で約50億ドルを人工知能研究に費やすことを明らかにしたと、Wadhington Postほかが報じました。

国防総省高等研究計画局(DARPA)は「機会が人間のように推論に基づいた思考やコミュニケーションを獲得できるか」、要するに話の文脈や場の雰囲気から"空気を読む"ことができるようになるか、を研究する数十の新しいプロジェクトへの資金提供を望んでいるとのこと。ワシントンD.C.のシンクタンク、新アメリカ安全保障センターの特別研究補佐グレゴリー・アレン氏は、「これはアメリカが国として初めて先進AI技術の研究に大規模な予算をかけ、真剣に取り組もうとしていることを示している」と述べ「中国はすでにこの分野に何十億ドル規模の予算を注ぎ込んでいるが、米国がこれをやるのははじめてのことだ」としました。

DARPAは広範なAI研究プロジェクトへの支援を考えており、特に軍用機器の省力化や、自らの思考過程を人間が理解できるよう説明可能なAIへの資金提供を検討しています。この動きは国防総省によるJAIC(Joint Artificial Intelligence Center)の設立とも関連し、軍の倫理とAIの安全性への強いコミットメントを保ちつつ、大胆さと積極性をもってAIの応用方法を追求しようとするものです。

一方で、国防総省はAIへの取り組みのため、IT業界をリードする企業との共同プロジェクトもいくつか立ち上げています。しかしこちらは幾分逆風が吹いており、いくつかは中止せざるを得なくなっています。たとえGoogleと共同で研究を行っていたProject Mavenは、Google社内で多くの社員が反対の声を上げ、さらには抗議文が公開される事態にいたったため、Googleは会社としてペンタゴンとの契約更新をしない決断を下しました。

AIの分野は発達が著しく、最近では音声アシスタントから顔認識技術、自動運転技術に至るまで先進テクノロジーの根幹技術として広範に利用されるため、シリコンバレーでは競争の火花がバチバチと飛んでいる状況です。そしてそれはワシントンの政策決定の場でも重要な技術開発分野として卓立しはじめています。

この7月、ホワイトハウスはAI分野におけるアメリカのリーダーシップ確保が連邦政府のなかでも2番めの優先事項であると語りました。しかしWashington Postによると、軍当局はAIがスパイ活動や国家安全対策、戦場に革命をもたらすこともできると語っています。またJAICの設立における文書でもテクノロジーが社会を変え、最終的に戦争の形を変えるだろうと記されており、たとえGoogleがプロジェクトから離脱したとしても、将来的にAIが何らかの形で軍事目的に使われることは不可避かもしれません。