iPhoneXR
今月12日に発表された新iPhone3タイプのうち、1つだけ予約および発売が約1ヶ月遅れるiPhone XR。その原因は「LCDディスプレイの製造が困難」というハードウェアの問題と噂されてきましたが、実はソフトウェアの問題であるとの観測が伝えられています。

2017年にはiPhone Xが「初の有機EL(OLED)ディスプレイ採用のiPhone」として生産が難航し、LCDモデルのiPhone 8/8 Plusよりも約1ヶ月半遅れての発売となりました。今年はその逆に「LCDモデルが技術的問題によりOLEDモデルよりも発売が遅れる」事態となっているようです。今年6月に韓国メディアが「LCDパネル生産を担当するJDIとLGが歩留まりの悪さに直面している」と報道して以来、iPhone XRの発売はハードウェア供給問題のために遅れているとの見方が主流でした。ほか「アップルはわざとLCDモデル(iPhone XR)を遅らせて、高価な最大サイズ(iPhone XS Max)の売れ行きを見極めるつもりではないか」というアナリストもいます。

米調査会社IDCのモバイル機器担当副社長であるRyan Reith氏によれば、原因はハードウェアではなくソフトウェアの問題であるとか。The Vergeの取材に対して「初のノッチつきフルスクリーン(LCDディスプレイ)だから、多くのソフトウェアが投入されている」と述べています。

Reith氏いわく「アップルはディスプレイの仕上がりに満足が行かず、土壇場まで製造業者と調整を続けている」とのこと。さらに、アップルは短期間だけ(iPhone XRを)生産したものの、品質は要求水準に達していなかった。そのため製造業者には(ディスプレイの)素材をノッチ型に削らせる一方で、自社はソフトウェアエンジニアリングによりLCDのビジュアルを改善し続けている−−といった趣旨を語っています。

新iPhoneの中で最も安価なiPhone XRは、「OLEDモデル2つを合計した台数が売れる」と期待されている重要製品です。調査会社CanalysのシニアアナリストBen Stanton氏は「iPhone XSとXRの価格差はすごく大きい」として、消費者は(上位モデルを)衝動買いしないだろうと述べています。

先のReith氏も「アップルは価格にもしいき値があると心得ています。高価格についていけない人が大勢いるのは分かっているんです」とのこと。「平均的な消費者にとっては、どの製品(新iPhone3タイプ)も同じに見えるでしょう。このLCDデバイス(iPhone XR)は本当に見栄えがいい」ということで、iPhone XRはiPhone XSよりも画面サイズが大きな分だけ訴求力が高いと語っています。

まずハイエンドモデル2つを先行して発売し「新iPhoneは高機能かつ高価格」というブランドイメージを広める。その上で「同じ(ような)高機能が(比較的)お安い値段で実現したiPhone XR」として売り込むとすれば......。アップルは発売が遅れるマイナスさえプラスに反転させる、強かな戦略を練っているのかもしれません。