FingerPrint Scannerスマートフォンでも一般的に使われている生体認証。最近はアップルのFace IDをはじめとする3D顔認証の採用も進んでいますが、全般的には指紋認証が多く使われています。一時期はセキュリティ面から、指紋を複製して認証を突破できるか、といった検証も盛んに行われていました。

しかし、そんな個人レベルの話ではなく、多くの人の指紋認証を通過できるマスターキー的な指紋があったとしたらどうでしょうか? ニューヨーク大学とミシガン大学の研究者らが、実際にそれを可能にするかもしれない「DeepMasterPrints」と呼ぶ"合成指紋"に関する論文を発表しました。
この指紋パターンは、6000人以上の指紋データからニューラルネットワークを利用し、複数の指紋と一致する特徴を持つ指紋を生成したもの。こうした過程を何度も繰り返しての微調整が行われたとのことです。

DeepMasterPrints▲実際の指紋(左)と生成された偽の指紋(右)

ただし実際に、DeepMasterPrintsを使って指紋認証を突破できるかどうかは、使用している指紋スキャナの精度次第ではあります。

スキャナ側で、パターンが完全に一致していなくても正しいものと判断する割合を「False Match Rate」(FMR)と呼びますが、これが緩めの1%のスキャナなら77%の確率で認証できたとのこと。ただし、これほど低い精度のスキャナは現実的ではないともしています。FMRが0.01%と高精度なスキャナでは1.1%ほどに低下します。その中間となるFMR 0.1%のものでは、およそ22%の確率となっています。

こうした点もあることから、DeepMasterPrintsの研究結果をもって、指紋認証が危険でPINやパスワードのほうが安全だというものではありません。実際のところ、この合成指紋を使われる心配が必要な一般人はそうそういないでしょう。
ただ、必要以上に指紋認証を過信せず、適切なセキュリティ対策を講じていくという必要はあるのかもしれません。