この研究では遺伝子編集に用いられるCRISPR/Cas9と呼ばれるシステムが用いられたとされます。目的はHIVウィルスが細胞に感染するのに関係するCCR5遺伝子を機能しなくすること。また米国の科学者マイケル・ディーン氏が協力したとされます。
He氏は、遺伝子編集は男性がHIVに感染している7組の身元非公開のカップルの胚に対して行われ、そのうちの1組が妊娠に至ったと説明し、「遺伝子組み換え技術を疾病予防の分野に用いた歴史的一歩」だと自画自賛しています。
しかし、遺伝子編集を行ったとされる病院は「私たちが言えるのは、この遺伝子編集プロセスが私たちの病院で行われていないということです。ここで赤ちゃんが生まれたのではありません」との声明を発表しました。また南方科技大学もこの研究との関係を否定しています。
更に問題は、この研究がピアレビューされた科学誌に掲載されたり、第三者による確認がなされていないところ。APなどは、遺伝子編集が機能したか、また弊害がないかといったことに関して試験が不十分で、研究を成功とするには根拠が不十分だと伝えています。
シドニー大学のGreg Neely氏は、「遺伝子編集された乳児の件は完全に無責任なものであり、編集された乳児には直接的な利益がまったくありません」「実際のところ、我々は様々なヒトの遺伝的背景においてCCR5遺伝子の完全な影響を把握していません。そして新生児の潜在的な犠牲を払ってまでこれを発見する必要もありません。さらには、編集プロセスによってどんな副作用が引き起こされるのかも予測できません」と語りました。
%Vidible-5bfd2087f3447879dd1e1ba9%ヒトの遺伝編集については、日本でも文部科学省および厚生労働省が「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」の見直しを進めているところで、文部科学省は11月15日までパブリックコメントを実施していました。
英国では、受精から7日目までの卵に関して、遺伝子編集によってDNAと健康な胚の成長の関連性を確かめる研究に(倫理的な面を考慮したうえでの)ゴーサインが出されています。またアメリカ国立科学アカデミーは、2017年に遺伝子編集技術のヒト受精卵応用を条件付きで容認しています。しかし、いずれも遺伝子編集後の胚を子宮に戻すことまでは、未知の問題や病気の発生の可能性もあり、容認していません。
ほかにも、CRISPR/Cas9技術を使った遺伝子編集は、目的とする場所以外の遺伝子まで傷つけてしまい、それによって弊害が発生する可能性も指摘されています。
今回の件に関しては研究結果そのものの信憑性からして疑問が持たれています。しかしHIV耐性をもたせるためとはいえ本当に遺伝子編集した "ヒト" を作ってしまったとすれば、少なくとも今の段階における世界のルールら逸脱した行動というほかありません。
英国では、受精から7日目までの卵に関して、遺伝子編集によってDNAと健康な胚の成長の関連性を確かめる研究に(倫理的な面を考慮したうえでの)ゴーサインが出されています。またアメリカ国立科学アカデミーは、2017年に遺伝子編集技術のヒト受精卵応用を条件付きで容認しています。しかし、いずれも遺伝子編集後の胚を子宮に戻すことまでは、未知の問題や病気の発生の可能性もあり、容認していません。
ほかにも、CRISPR/Cas9技術を使った遺伝子編集は、目的とする場所以外の遺伝子まで傷つけてしまい、それによって弊害が発生する可能性も指摘されています。
今回の件に関しては研究結果そのものの信憑性からして疑問が持たれています。しかしHIV耐性をもたせるためとはいえ本当に遺伝子編集した "ヒト" を作ってしまったとすれば、少なくとも今の段階における世界のルールら逸脱した行動というほかありません。