ブレーキキャリパーは一般的には、溶けた金属を鋳型に流し込んで成形する鋳造や、衝撃を加えて鍛える鍛造という方式を用いて作られますが、その仕組み上、どうしても無駄な部分ができてしまうとされます。しかし、3Dプリンターの場合は素材を2D面の積み重ねて立体的に作り上げていくため、他の成形方法にあるような制限がほとんどなく、コンピューターによる応力解析などで最適とされた形状をそのまま再現することが可能になります。
ブガッティが2018年初めに作り上げたブレーキキャリパーも、直線や左右対象な"人工的な部分"がほとんどない、有機的な形状をしているのが特徴。また、この3Dプリントブレーキキャリパーは現行のブガッティ・シロンが採用しているアルミよりも高剛性なチタン素材を用いました。
なお、このチタン素材を3Dプリントしたブレーキキャリパーは、将来VWグループのあらゆるクルマに広く採用されるものではないことは理解しておく必要があります。この方式は大量生産には向いておらず、2018年の時点では少量生産でなおかつ非常に高価なハイパーカーでこそ採用できる技術です。ただ、フォルクスワーゲンは動画の説明文で「大量生産向けに最初に作った3Dプリントチタンブレーキキャリパー」だと説明しており、将来的には、もしかするともっと庶民向けの車にもこのようなブレーキキャリパーやその他の3Dプリントパーツが使われる日が来るかもしれません。