もちろんこのやりかたは一般ユーザーにアプリを使わせるためのものではありません。アップルはベータ版アプリをユーザーに試してもらうためにはTestFlightプログラムを用意しており、通常ならばこちらを使用するのが当然です。
Screenwise MeterアプリはGoogle Opinion Rewardsプログラムの一部に組み込まれ、参加した人には1週間あたり1ドルの報酬が提供されています。アプリは成人向けとして配布されていたものの、13歳以上の家族ユーザーでもインストールして使うことができます。ただし、本来のユーザー以外(特に13歳未満)が使用する場合はそのトラフィック監視を一時的にオフにする設定も用意されています。
Googleが収集していた情報はウェブ閲覧履歴とCookie、アプリ使用履歴、テレビ機能がある場合は視聴した番組、IPアドレスなど。ただし、これらの情報はすべて匿名化されたものを扱うとしており、YouTube、Google Assistant、Google Play、広告などの改善に活用し、すべてのサービスに無料で還元する」としています。
とはいえ、どう説明したところで、企業内アプリ向けの証明書を目的外に使い、App Storeをバイパスして一般ユーザーにアプリを使わせるやり方は、アップルが企業向けにアプリ証明書を発行するポリシーに違反しています。Facebookの場合は最初に報告が上がってからiOSアプリによる情報収集を停止しましたが、アップルはさらに企業向け証明書を停止して、Facebookの開発アプリすら使用できなくする厳しい措置を実施しました。Googleが同様の措置を受ける可能性は否定できません。
ちなみに、Googleはこの問題に対して「Screenwise MeterのiOS版アプリはDeveloper Enterprise Programを使って配布されてはいけないものでした。したがってこのアプリの配布は誤りであることを認め、お詫びいたします。われわれはすでにScreenwise MeterのiOSアプリを無効化しました。このアプリは常に完全に任意で導入されたものであり、個人的なデータを扱うことについてはユーザーの同意を得ています。またアプリを通じてデバイス内の暗号化された情報へはアクセスせず、ユーザーはいつでもプログラムを退会できます」と声明を出しています。