ジャパンディスプレイ(JDI)は2月14日に2019年3月期決算説明会を開催。販売不振とされるiPhone XR向け液晶の「FULL ACTIVE」に想定を超える需要減が生じたほか、成長の牽引役と期待されている車載向けディスプレイも欧州の自動車販売台数減少などで伸び悩み、3月期通期の業績予想は前回の黒字から一転、約200億円を超える赤字に下方修正しました。
(見出し画像はiPhone XRにも採用された新型液晶「FULL ACTIVE」)
有機ELの量産技術「ほぼ確立」
説明会に登壇した月島義幸社長は、スマホメーカー各社が有機EL(OLED)の採用を拡大させているとして、JDIとしても有機ELシフトを急ぐ方針。千葉県にある茂原工場の既存ラインにおいて、2019年度中に蒸着式有機ELが量産化の最終段階に入ると強調しました。また、有機ELの量産は『技術的にはほぼ確立した。すでにパイロットランの状態』(月島義幸社長)とも語り、顧客(メーカー)との対話を常時継続している段階と表明。なお、量産日程については『お客様と合意した日程で進める』と明言を避けました。
加えて、市場競争力および財務基盤の強化に向けて、複数社との資本提携を模索していると説明。提携後も産業革新機構から継続したサポートを受けられるといいます。提携で新たに調達した資金は、有機ELの開発や生産拡大に回すともコメントしています。また、ガラスと一体化した指紋センサーなど、新たな非モバイル領域へのリソース配分を加速させる方針も示しました。
▲決算説明会に登壇した月島善幸氏(代表取締役社長 兼 COO)
JDIを巡っては、アップルが2020年に発売するiPhoneから液晶を全廃するとの報道もあり、液晶を主力とする同社の今後に注目が集まっています。