イーロン・マスクは2018年に「テスラを非公開企業化するための資金を確保した」とツイートしたことが詐欺に該当するとしてSECに訴えられ、後に和解しています。
SECがマンハッタン連邦裁判所に提出した文書によると、マスク氏は「報道関係者を含む2400万人以上のTwitterフォロワーに対し、テスラに関する重要かつ不正確な情報を再び公表した」ため、これは法廷侮辱罪に該当するとのこと。マスク氏は、2018年10月にはSECを"Shortseller Enrichment Commission(空売り投資家裕福化委員会)"と揶揄し、12月には「株価の変動を引き起こす可能性がない限りは」SNSへの投稿にSECがとやかく言うことはできないなどと、強気の発言をしていました。
しかし、今回のツイートに関してSECは「2019年に約50万台を生産、約40万台を納入する見込み」という内容は不正確であり、投稿前に承認も得ていないことが和解内容に違反していると主張しています。
Tesla made 0 cars in 2011, but will make around 500k in 2019
— Elon Musk (@elonmusk) 2019年2月20日
もし、本当に裁判所がマスク氏を拘留するようなことになれば、当然ながらマスク氏本人にとっては悪い方向にことが進むと考えられます。
2018年のツイート問題の際は、以後、マスク氏がSNSなどへ重要な発言をする場合は事前にテスラが精査し承認手順を踏むという条件を約束、社外から取締役を迎え入れることにも同意したため、SECは本人に罪の意識があると認めて和解に至り、マスク氏はCEOの立場にとどまることができました
ところが、今回のツイートによって和解条件に反したと判断されれば、前回のような"温情"はもはや示されない可能性が高まります。テスラ株価は、年初から2月25日までに10%ほど下落しており、SECの申し立てを受けてさらに5.4%下落しました。
Reutersによれば、マスク氏の弁護士は今回の投稿に関して事前に承認などは得ていなかったものの、投稿内容はすでに「適切に精査と承認を受け公式に発信されている」と認識していたと述べています。さらに、この投稿は市場取引時間外に出されたもので株価への影響はないとの考えを示しました。ただ、時間外だから和解条件には関係ないというのは少々苦しいような気もします。
サンタクララ大学教授でコーポレートガバナンスに詳しいスティーブン・ダイアモンド氏は「SECはマスク氏を取締役会から除名する要求めるか、罰金を請求する可能性がある」としつつ、再び和解交渉を再開することも考えられるとしました。またデラウェア大学のチャールズ・エルソン氏は「(テスラ取締役会は)マスク氏との関係を真剣に考え直さなければならない」と述べています。