最初のOculus Rift 開発者モデルDK1がクラウドファンディングで資金調達してから6年。FacebookがPC接続型VRヘッドセットの新製品 Oculus Rift Sを発表しました。
Oculus Rift Sは外部センサ不要で頭部とコントローラの位置を認識できるようになったほか、ディスプレイの解像度が40%向上、装着法の変更で使用感の向上など、さまざまな改良が施されています。
外部センサ不要のポジショントラッキングOculus Insight採用
従来モデルのOculus Riftは、ヘッドセットと両手コントローラの位置を認識するために、外部にPC接続のセンサ(カメラ)を設置する必要がありました。新製品のRift Sではヘッドセット側に広角カメラを5つ搭載することで、外付けセンサを使わずポジショントラッキングができるようになったことが最大の改良点です。
Rift SもPCに有線接続するタイプの製品なので、完全にケーブルレスになったわけではありません。
しかし従来のOculus Riftでは、PCとヘッドセットだけでなく、PCと2~3台の外部カメラもケーブルで接続する必要があり、設置場所や向きも含めてセットアップが面倒でした。
たとえばVR用の背負式ウェアラブルPCを導入しても、結局背中から壁に複数のケーブルが伸びることに。
一方、新型のRift SならばケーブルはPCとヘッドセット間の一本だけになるため、ルームスケールVRやウェアラブルPCとの相性も良くなりました。
スタンドアロン型のOculus Questとコントローラは共用
Rift Sが採用するポジショントラッキング技術 Oculus Insightは、スタンドアロン型の新製品 Oculus Questと同じ方式。Oculus Insight用に新しくなったハンドコントローラは両製品で共通です。(Rift SはQuestよりカメラ数が多く、トラッキングできる範囲が広い違いはあります)。
40%高精細な液晶と新光学系採用
トラッキング方式のほか、光学系とディスプレイも改良しています。Rift Sのディスプレイは片目につき1280 x 1440 ピクセル、約600ppi。旧モデルOculus Riftは1080 x 1200ピクセルで約456ppi。約40%ほどピクセル数が増え、高精細になりました。
視野はRiftの対角約110度から約115度へとわずかに拡大。一方、従来はレンズを物理的に動かして対応していたIPD (左右の瞳の距離)調節はソフトウェアベースへ。
Riftのディスプレイは有機ELで90Hzでしたが、Rift SではOculus Goと同じ「高速書き換え液晶」で80Hzに。 リフレッシュレートはやや下がりました。
一方でディスプレイと光学系の改良により、ピクセル間の格子が目立つスクリーンドア現象と、明暗の境で光線が漏れてなんだか神々しい感じになるGod Ray現象は低減しています。
装着方法・ヘッドホン改良、パススルー表示追加
ほか改良点は、レノボの協力によりMirageやPS VRに近い装着方法になりました。従来のRiftは前が重いヘッドセットを顔面で支えるかたちになりがちだったのに対して、Rift Sでは後頭部と前頭部で支え、重心の配分も改良されています。バンド調節はベルクロから、PS VRと同じダイヤル式で簡単に。もしバリバリ!は卒業です。
オーディオは従来の多関節ブーム耳あて式から、Oculus GoやQuestと同じバンド一体型イヤホンへ。ヘッドホンジャックも搭載するため、好みのイヤホンで音漏れを減らしたり没入感を増すこともできます。
Passthrough+は、トラッキング用カメラで捉えた外部の映像をちゃんとリアルタイムに表示する機能。ヘッドセットを脱いだり隙間から無理やり覗くことなく外界を確認できます。家具や壁などVRで遊ぶ範囲を設定する際に便利です。
Oculus Rift Sの発売はこの春、価格は399ドル。PCが要らないスタンドアロン型のOculus Questと価格も発売時期も同じです。
単体VRヘッドセット Oculus Quest発表。PCやスマホは不要、2019年春発売