その間、eSIMに対応するキャリアが続々と増え、特にアメリカでの選択肢は豊富になりました。プリペイドで契約できる現地キャリアのT-Mobileを選ぶもよし、ローミングキャリアのGigskyやUbigiを選ぶもよしと、使い方に応じて選べる状況になっています。それでも北米は料金が高めなのがネックですが、滞在期間によっては国際ローミングより節約できるのはメリットです。
ただ、今回のスペシャルイベントは2泊4日の弾丸取材。短期滞在の場合だと、お得なプランは限られてきます。国内大手キャリアの国際ローミングも低価格化しており、例えばドコモのパケットパック海外オプションでは、複数日分をまとめて契約すると、1日980円からの割引を受けることが可能。3日間であれば、2480円です。この金額を下回り、かつeSIMに対応しているキャリアとなると、かなり選択肢は少なくなります。
結果として選んだのは、昨年12月から4か月連続でお世話になっている、「3香港」です。すでに契約は済ませてあり、端末内にもeSIMのプロファイルが残っていたため、新規契約の必要なしに利用できました。ただし、前回の渡米でローミングパッケージの日数を使い切っていたので、チャージする必要があります。
3香港は、1日パスと10日パスの2つを用意していますが、新規契約時に選べるのは後者の10日パスのみ。これを使い切ると1日プランが選択可能になります。10日パスの方が、1日あたりの料金は割安ですが、滞在期間が短期になりそうなときは、トータルで1日パスを日数分契約した方が安くなります。料金は、1日わずか15香港ドル。日本円にして212円と、まさに破格です。
1日パスの契約方法は次のとおり。まず、3香港の「3 Care」と呼ばれるサイトにアクセス。ここで電話番号とパスワードを入力します。「そんなの設定した覚えがない」と思われるかもしれませんが、電話番号とパスワードは、契約直後にSMSで送られてきています。海外のプリペイドSIMではよくある仕組みですね。これを入力して、3 Careにアクセスします。
3 Careのメニューが表示されたら、画面下にある「Roaming Data Daily Pass」をタップしてください。残高がないので「Online Recharge」をタップしたくなりますが、これはちょっとしたトラップ。こちらからチャージしようとすると、20香港ドル、50香港ドル、100香港ドルという単位でしか入金できず、15香港ドルの1日パスではチャージした金額を使い切ることができません。
一方で、先に挙げた「Roaming Data Daily Pass」を選んでから、「1-Day Roaming Data Pass」を選択すると、なぜかピッタリの15香港ドルを支払える画面が現れます。微々たる金額ですが、なるべく料金を節約したいという人は、この手順を踏むようにしましょう。あとはクレジットカード番号を入力すればOK。もちろんですが、日本のクレジットカードもきちんと利用できました。
ただし、支払いが終わったらすぐに1日プランが使えるようになるわけではありません。1日パスをアクティベートするには、同じページをもう1回開き、「Roaming Data Daily Pass」を選んでから、「1-Day Roaming Data Pass」を選択する必要があります。ここが少々分かりづらいかもしれませんが、1日パスがアクティベートされると以下のようなSMSが届くので、それで判断するようにするといいでしょう。
あとは現地で使うだけ。上記の準備はすべて日本の空港で行いましたが、現地到着後に、データローミングをオンにするだけですぐにデータ通信が可能になりました。ちなみに、あらかじめ日数が決まっているときは、上記の1日パス選択の手順を繰り返しておくことをオススメします。2回契約すれば2日分、3回すれば3日分になるからです。
筆者はとりあえずと思って1日分だけ契約しましたが、ちょうどスティーブ・ジョブズ・シアターに入ったころに、期限がきてデータ通信が不通になってしまいました。eSIMの難点は、契約にデータ通信が必要なところ。途中でデータ通信が切れてしまい、なおかつ周りにWi-Fiなど別の通信手段がないと、2日目の1日パスの契約ができなくなってしまいます。あらかじめ日数分のパスを契約しておいた方がいいというのは、そのためです。
ちなみに、1日の容量の500MBを使い切っても、2日目のパスが有効になるわけではなく、低速での通信が続きます。逆にいうと、500MBを使い切ったあとの通信速度制限は、解除できないということになります。今回、筆者は、うっかりアプリを使いすぎてしまい、夜中に500MB超えてしまいました。ここで2日目の1日パスを有効にしてみましたが、速度はそのまま。うたい文句どおり、128Kbps程度しか速度が出ませんでした。
注意点としては、香港時間の0時(日本時間の午前1時)に1日のカウントが始まるというところで、午後11時にローミングを開始してしまうと、1時間で1日分のローミングパッケージが終わってしまいます。といっても200円なので、あまり気にする必要はないかもしれませんが......。
また、国や地域によっては時差の関係で、中途半端なタイミングで1日パスが終わってしまうことも。今の米国・西海岸は、午前9時がその時間になるため、比較的分かりやすいのですが、欧州では気をつけた方がいいでしょう。
使い勝手がよく、料金も破格の3香港ですが、1日パスは10日パスを使い切ったあとでないと選べないのが少々残念な点です。海外渡航が多い人でないと、最初の10日パスが使い切れないかもしれません。とはいえ、有効期限が約半年と長く、iPhoneには仕様上、10回線ぶんのeSIMを登録できるため、3香港のeSIMは端末内にキープしておいた方がいいかもしれません。