CRISPR遺伝子操作受けた中国の赤ちゃん、寿命が平均より短い可能性。CCR5変異は感染に敏感との調査結果

安易にいじるものじゃない

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2019年06月4日, 午後 05:00 in Medicine
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Bill Oxford via Getty Images
中国南方科技大学の科学者He Jiankui氏がCRISPR遺伝子組み換え技術をヒトの胚に適用した結果生まれた、ルルとナナと呼ばれる双子の姉妹は、もしかすると寿命が平均に満たないかもしれません。

Jiankui氏が行った遺伝子操作は、CCR5と呼ばれる遺伝子を無効化することでHIVに感染しなくなるという名目でした。ところが、カリフォルニア大学バークレー校の研究者が英国のBiobankと呼ばれる40万人以上のDNAとそれを提供したボランティアの死亡年齢を分析した結果、CCR5が機能していなかった人々は平均寿命が通常に比べ20%も早いことがわかりました。記録を詳細に調べた結果、CCR5遺伝子が突然変異などにより機能していない人々は、蚊を媒介とする伝染病のウェストナイル熱やインフルエンザのような病気にかかりやすい傾向があり、Jiankui氏が施したのと同様の遺伝子の突然変異を持つ人たちは、平均で1.9年ほど他の人より早世していたとのこと。

生まれてきた姉妹もそのように早くこの世を去ってしまうのかは時が来てみないことにはわかりませんが、データを調べた研究者は、この調査結果がヒトの遺伝子を安易に組み換えることへの警告になることを願っています。

たとえば、2019年はじめにCell誌に掲載された研究結果によれば、CCR5を欠いた人々は脳卒中や外傷性脳損傷から回復が早い可能性があることが示されました。完全には解明されていないものの、これはほかの多くの遺伝子同様にCCR5も複数の機能を司っていることを示しています。つまり、HIVに感染しない目的のために遺伝子の一部を無効化すれば、想定していない別の機能が破壊されてしまったり、逆に活性化される可能性があるということです。

予想外の結果が現れてしまうことは、ヒト遺伝子操作に反対する人々にとって大きな心配ごとのひとつです。将来的に実用化するにしても、まだまだこれから時間をかけて調べなければならないことはたくさんあるはずです。
 
 

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