リクナビ、AIで「選考辞退の可能性」を予測。説明不足の指摘うけ提供とりやめ

「選考に利用されることはありません」という注釈付きで提供していたものの……

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2019年08月2日, 午後 05:00 in recruit
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リクナビ
リクルートキャリアは8月1日、新卒採用サイト「リクナビ」で企業向けに提供していた「選考辞退の可能性」を予測するサービスの提供を取りやめたと発表しました。

このサービスは「リクナビDMPフォロー」という名称で提供されていたもの。リクナビWebサイトの閲覧傾向からAI技術により、応募傾向のアルゴリズムを作成。応募した学生の「採用選考のプロセスが途絶えてしまう可能性」を表示するという内容です。リクナビでは2018年3月にスタートし、これまで38社に対して試験的に提供されていました。

この問題を報じた日経新聞の記事をうけ、リクルートキャリアは「当社サービスに関する、一部の報道につきまして」と題する文章を発表。同社はこのサービスを利用する企業に対して「採用の判断には使わないこと」と説明し、同意書を得た上で提供していると主張しました。

一方で、「リクナビ」のプライバシーポリシーには行動履歴の利用方法として「採用活動補助のための利用企業等への情報提供(選考に利用されることはありません)」という記載はあるものの、具体的な活用方法についての説明はなく、同意の手続きが不十分という指摘もなされています。これをうけ、リクルートキャリアは7月31日をもってリクナビDMPフォローの提供を休止しています。

このサービスが求められる背景には、就職市場の活況があります。政府調査によると、2019年度の大学生の就職率が97.6%と過去最高の水準を維持しているとのこと。一方で、企業にかかる新卒採用の費用は1人あたり50万円前後といわれており、企業側としては有望な学生をつなぎとめておきたい現状があります。

企業にとっては「学生が辞退するかどうかの可能性」は採用活動の参考になる貴重な情報です。ただし、仮に選考段階で「選考辞退の可能性」のスコアが高く表示される学生がいたとすると、採用時にネガティブな判断がなされるおそれもあります。

そのスコアの算出が学生のWebサイト上での行動傾向に基づくもので、学生自身にはどのように判定されるかの基準が示されていない点も問題と言えます。リクルートキャリアが説明するように「学生の能力を推し量るものではない」としても、学生個人の行動と紐付けられているという点で、スコアの提供に際して学生側への分かりやすい説明が必要だったことは否めません。

この一件は「行動傾向から評価された個人のスコアが、人生を左右する重大な判断に活用される」という意味において、AI技術の活用とプライバシー保護を巡る問題の根深さを象徴したものと捉えることができるでしょう。

 
 

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