Sony

ソニーが、音楽制作の分野にAIを活用する研究を進めています。フランス・パリにあるソニーコンピューターサイエンスラボラトリーズ(Sony CSL)の研究者は、音楽におけるドラムスの中でもキックドラム(バスドラム)のパートを与えられた楽曲に対し「音楽的にもっともらしく」構築できる人工知能を開発しました。Sony CSLの研究者は、AIのトレーニングのためにポップ、ロック、エレクトロニカなど多種多様なジャンルから665種類のソングデータを使ってAIのトレーニングを行いました。これらの楽曲にはすべてベース、キック&スネアといったリズム楽器のトラックが個別の44.1kHzオーディオトラックで用意されており、各トラックの相互信号を使い、振幅ピークにドラムサンプルを設定させることでドラムパターンの生成に利用したとのこと。また、サンプルの音量は70~100%で変化を付けられ、楽曲にダイナミクスを与えられるようになっています。

AIは一連の実験で、条件に応じたドラムパターンを生成したり、スタイル(音楽ジャンル)の変換、ある曲から生成したリズムパターンを別の曲に適用するといったことが可能になりました。さらに、元のテンポの80%、90%、110%、120%で演奏されるバージョンを作成し、演奏タイミングをそれらに自然に合わせられることも確認されました。

音楽とAIを掛け合わせようとしているのはソニーだけではありません。たとえばFacebookは、あるジャンルの音楽を他のジャンルにアレンジし直すAIを実験していました。Googleもまた、音楽をアート作成AIに統合し、音楽とビジュアル両方の生成を行うMagentaと呼ばれる研究プロジェクトを実施しています。そのほかの研究者らも、たとえば無限にデスメタルを演奏し続けるAIだとか、AIが生成するミュージカルといったプロジェクトもありました。

ただ、今回のSony CSLの実験は、AIが楽器そのものを担当し、楽曲にあわせてその楽器の演奏パターンを構築していくというところがミュージシャンの実作業に近い感覚であり、将来的に発展させていけば、もしかするとある程度のメロディを与えればAIが自動的に楽曲を編曲できるようになるかもしれない、面白い実験と言えるでしょう。