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米トランプ大統領が、Twitterユーザーをブロックすることが合衆国憲法修正第1条に抵触するとの判断を下したことに対して、再審理を求めていることが報じられています。トランプ氏のTwitterアカウントは6300万人以上のフォロワーを持ち、たびたび重要な外交方針や政策発表に使われている場でもあります。そこで2017年にコロンビア大学のナイト憲法修正第1条研究所が、ブロックされた批判的な7名のユーザーを代理して大統領を提訴したことがことの始まりです。
まず18年5月に行われた連邦地裁の1審では、やはり大統領のTwitterアカウントは公的な議論の場であるとされ、特定のユーザーを排除することは違憲だとの判断が下されました。さらに今年7月の米連邦控訴裁判所でも、3-0の満場一致で1審判決が支持されたかっこうです。これを受けて、トランプ氏は数十人のブロックを解除することを余儀なくされました。
上記の控訴裁判所の判決にて、Barrington D. Parker判事は「米憲法修正第1条により、あらゆる種類の公的目的でソーシャルメディアを利用する公務員は、それが公的な会話とみなされ、反対意見を表明するユーザーを排除してはならない」と記しています。つまり公的な発表をTwitterで行っている大統領が批判的なユーザーをブロックすることは、表現の自由などを保障する憲法修正第1条に反するというわけです。
トランプ氏を代理する司法省が提出した訴状によれば、控訴裁判所の判決が支持された場合は「個人アカウント上で公職に関する発言をした公務員は、そのアカウントでの全ての言動が憲法の監視を受ける公的行動として扱われるリスクを背負う」との警告を発しているとのことです。上記のトランプ氏のアカウントはあくまで「個人」であり、米大統領の公式アカウントとは別ものとして扱うべきという主張でしょう。
しかし、米大統領アカウントはトランプ氏個人のアカウントをひたすらRTするだけになっており、それ以外のツイートはほぼ皆無と言っていい状況です。実質的には個人アカウントが米大統領の公式アカウントであり、公的アカウントと私的アカウントを使い分けている一般的な公務員と同列に扱えないことは明らかでしょう。
たとえばトランプ氏は23日、Twitterにて「偉大な米国企業に対して、中国の代替先を即座に探すよう命じる。本国に戻って米国内で製造することを含めて」と述べています。が、公人ではない単なる私人が企業に「命じる」ことができるわけもなく、もしも批判的なユーザーへのブロックを許せば「公的な会話」が妨げられるとの控訴裁判所の判断は一定の説得力があると思われます。
....better off without them. The vast amounts of money made and stolen by China from the United States, year after year, for decades, will and must STOP. Our great American companies are hereby ordered to immediately start looking for an alternative to China, including bringing..
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年8月23日
トランプ氏は2009年3月にTwitterアカウントを取得し、大統領選の最中にもTwitterを活用して政敵を攻撃してきました。それが大統領就任後も続いているかっこうですが、実質的に「大統領のアカウント」になってしまっている現状では、ブロックする権利を取り戻すことは困難かもしれません。