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いよいよ10月1日からの消費税10%の増税と軽減税率と政府ポイント還元が一気にはじまろうとしている。どう、ひいき目に見ても、トラブルなしに安定運用というわけにはいかなそうだ。特に、日本ではじめての軽減税率の対応は連日いろんな場面で混乱を巻き起こすだろう。

■ずさんなキャッシュレスポイント還元告知

10月から来年6月までのたった9か月だけの政府の還元事業も政府のサイトを見るだけで頭痛がしてきそうだ。最初は使えるお店やキャッシュレス決済サービスのリストをPDFで列挙していたのだ。9月中下旬に地図上に対象店舗を表示するウェブ機能やアプリを展開したが、とてもじゃないが遅すぎる...。使いやすさやUXを考えてほしい。

■どこにある?5%ポイント還元の中小企業のお店 


さらに、2%ポイント還元と5%ポイント還元のお店の見極めがとても難しい...。同じ商品を買って3%も還元率が変わるとなると、10%の消費税時代なので、中小のキャッシュレス対応店に注目が集まることだろう。2%還元のコンビニやチェーン店舗はわかりやすい。しかし、5%ポイント還元の中小のお店というと、もはや商店街のお店や飲食店くらいしか見当たらない。いざ、どこでも使えるかというとそうではない...。

政府は、2019年の5月から募集しているが、事務局の審査を通過した加盟店数は約28万件しかない。9月5日時点の事務局への加盟店登録申請数でも約58万件だ。

日本の小売業は142万店舗、大規模小売店舗外では129万が対象だ。この事業者向けのサイトから、中小・中小企業がキャッシュレス事業者を検索して、とても登録できるとは思えない。食べログの全国登録店舗だけでも92万店舗あるのだから。

5%還元のお店はポケモンGOのレアキャラのような存在になるだろう。ポイント還元もさることながら、それでも8%の消費税よりも10%の消費税のほうがわかりやすい。しかし、一番の問題は、なんでもお高く感じてしまうことだ。事業者側の努力としては、『税抜』表示よりも『税込み』表示でやすさをアピールするしかない。景気の底ざさえは『税込み』表示だ。付加価値税の高いEU圏では『税込み』表示しか見当たらない。

■税と社会保障のためのマイナンバーをキャッシュレスにも!

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政府は、9か月のポイント還元終了後、マイナンバーを活用した25%のキャッシュバックする案を決定した。マイナンバーカードを活用した消費活性化策とは、一定額を前払い等した者に対して、マイナンバーカードを活用したポイントである「マイナポイント」を国で付与するもの。2万円をチャージすると5000円の25%還元などが案として発表された。

個人の税と社会保障を紐付けるマイナンバーの13桁の番号は、銀行などの金融機関や会社への届け出が必要であり、また会社は会社で、法人番号によって確実に個人をトレースできるようになった。本来、源泉徴収されている会社員は本人に渡る前に徴収されているが、これによりさらに個人の預金残高から金融資産の状況まで紐付けできるようになった。

しかしながら、2018年12月時点の数値ではマイナンバーは1564万枚が発行されている。4年前の2015年10月の番号通知からたった13.9%しか普及していない。

マイナンバーは、個人というよりも国や自治体に恩恵のある制度なのである。国民になんのメリットもないのに写真を貼って作成するモチベーションはどこにもない。そこで、今回のポイント還元を活用しようとしている。

■なぜに、8桁の『マイキーID』を取得するために『マイナンバーカード』が必要なのか?

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『マイナポイント』を得るためには

1.『マイナンバーカード』の取得が必要
2.専用のID (マイキーID)が必要
3.マイキーIDの作成が必要

マイキーIDの作成方法は...

スマホやPCで『マイキープラットフォーム』を検索し、マイナンバコピーー専用の専用のID (マイキーID)を取得する。そして、当然、QRコード決済やキャッシュレスにこの『マイキーID』を紐付けする必要がある。詳細はまだ決まっていない...。いつもそうだ。あと1年後にやろうとしている政府のプランがまだ決められないのだ。

なぜ13桁のマイナンバー番号と4桁のパスナンバーだけで、『マイキーID』をシンプルに取得させないのだろうか?

■インド版のマイナンバー『アドハー』を見習え!

2009年、インドでは生体認証の『アドハー』という国民カードを発行した。強制でもない任意のシステムに12.3億人のインド人が『アドハー』を所持している。インド人口13.4億人の91.7%の普及率(2019年)を誇る。

なぜ、『アドハー』が普及したのか?それは、銀行口座すらもっていない人、生活の困窮している人に恩恵があったからだ。指紋や虹彩認証で食料の配給に利用でき、本人確認や銀行口座作成の際にも使える。

こういった事情で国民の利便性が高いから誰もが取得したがったのだ。強制的に付与される日本のマイナンバーとは大きく違い、アドハーはSDKやAPIを用意したことによって民間企業がいろんなサービスを付加している。インドの個人IDはこれで、一気に『リープフロッグ(カエル跳び)』で世界最大の個人IDシステムを構築した。最低のところからたったの10年で12.3億人の個人を認証できるようになった。

日本のマイナンバーカードは、国民の利便性を向上させるのが目的でなく、『マイナンバーカード』を取得させるのが目的だから、インドとゴールの目標がまったく違っている。まずは、国民の税と社会保障の管理と眠れる1600兆円とも言われる個人資産の管理だからうまくいくはずがない。

■日本最後の『リープフロッグ』のチャンス!

2万円デポジットして5000円を還元する施策も、その為に『マイキーID』を取得する手間のほうがどう考えても割にあわない。『マイキーID』が便利に使えるベネフィットがどこにもないのはなぜだ? こんな政策をよく考えたものだ。

今回は『マイナンバーカード』という物理カードを発行せずとも、『マイキーID』を取得させるべきではないだろうか? さらに生体認証や虹彩などで物理カードを不要にすることもできるはずだ。インドのアドハーは日本のNECの技術が採用されている。

なぜ、マイナンバーに生体認証を採用しなかったのか?それは国民の利便性を考慮していなかったからだ。強制的にマイナンバーを与えてしまったのも問題だ。利便性が高くて、節税ができれば自ら『マイナンバー』を求めたことだろう。

政府は2021年3月からマイナンバーカードの健康保険証への代用を考えているが、それは希望者のみに与えるという仕組みで提供すべきなのだ。パスポートと紐付けたい人、運転免許証と紐付けたい。NHKの受信料と紐付けたい、クレジットカードと紐付けたい、サブスクリプションサービスと紐付けたい、パスワード管理アプリ、災害時のり災証明と紐付けたいなど...多岐にわたる。

政府側が、APIやSDKを用意すればいろいろと民間がサービスレイヤーを勝手に考えるだろう。どう紐付けするかは個人に選ばせるのだ。サブスクリプションの一斉解約や、詐欺被害にあった場合に一気に手続きの停止を『マイキーID』や『マイナンバー』からできるというようにすると利便性だけでなく、セキュリティ機能として利用したくなる。政府は税と社会保障のデータだけを握り、他の情報は取得しないほうが良い。

すると、一気に便利で安心な万一のためのカードとして『マイナンバー』は機能することだろう。現在の『マイナンバーカード』から『マイキーID』を取得して...はまた無駄な税金を投入するだけでおわってしまう。いつまで、『住基カード』と同じことをやり続けるつもりなんだろうか?マイナンバーの普及コストは総額3兆円とも言われる。この数字にせめて少しは責任を持ってほしい。