「薄・小・美」を追求したモトローラRAZRは世界で唯一の「贅沢スマホ」:山根博士のスマホよもやま話

これまで出てきた折りたたみスマホとは全く違う方向を向いた高級な製品

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2019年11月27日, 午前 11:50 in Mobile
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RAZR2019
2019年はディスプレイが曲げれる「フォルダブル」スタイルのスマートフォンが大きな話題になりましたが、モトローラもこの新しいフォームファクターの製品を投入して存在感を高めようとしています。11月15日に発表された「RAZR」(レイザー)は往年のヒットモデルと同じ名前を付けた復刻モデル。しかし美しいデザインのボディーに最新の機能を搭載した新型RAZRはスペックよりもその外観やギミックに魅了された人をターゲットにした贅沢な製品です。

RAZR2019
モトローラの初代RAZR「V3」が登場したのは2004年。携帯電話と言えばプラスチックボディーが当たり前だった時代に、金属素材を採用し薄く折りたためるデザインで大人気となりました。筆者の住んでいる香港では発売と同時に完売、世界中からRAZRを取り寄せ転売する業者も「在庫を入れた瞬間に消えていく」ほどでした。その様相は数年後に世界中で巻き起こったiPhoneフィーバーに匹敵するほどだったのです。初代RAZRは携帯電話という存在を超えた、「片手で持ち運ぶアクセサリ」ともいえるラグジュアリー感を味わえる製品でもあり、人々はそのデザインや質感に次々と魅了されていったのです。

RAZR2019
ウィキペディアの「List of best-selling mobile phones」の項を見ればRAZRが売れまくっていた記録が残されています。過去のすべての携帯電話・スマートフォンの販売台数のトップ10を見ると、RAZR V3が10位に入っています。また2004年の販売台数でも堂々の2位。RAZR V3は携帯電話の歴史の中に残る名機なのです


そもそもモトローラは世界初の携帯電話を開発した企業です。当初の携帯電話は縦に長い鉄アレイとも言えるような大型サイズで、中国語圏では「水壺」とも呼ばれました。その大きい携帯電話の小型化を進めていったのもモトローラ。1996年に登場した「StartTAC」は手のひらに乗る小型サイズで折りたたみ式という、当時もっともクールでカッコいい携帯電話としてベストセラーになりました。もちろん日本でも発売され使っていた人もいたでしょう。ちなみにStarTACも1996年の販売台数は2位を記録しています。

話をRAZRに戻しましょう。モトローラは2005年以降もRAZRシリーズを強化させ、通信方式を3Gに対応させたりディスプレイサイズを大きくしたりなど次々とモデルチェンジを繰り返していきました。日本でもドコモから2007年に「M702iG」と「M702iS」の2機種が登場、どちらもiモードに対応していました。しかしその分本体のサイズはやや大きくなっていき、初代RAZRほどのシャープ感が失われていったのも事実です。

RAZR2019
そして2007年に初代「iPhone」が登場すると、携帯電話市場は一気にスマートフォンシフトが進みました。人々は折りたたみできる小型スタイリッシュな携帯電話より、大型ディスプレイを搭載したスマートフォンを選ぶようになっていったのです。

モトローラも「DROID」シリーズでAndoridスマートフォンに参入し、その後薄型化したモデルに再び「RAZR」の名前をつけて市場に投入しました。日本でもKDDIから「MOTOROLA RAZR IS12M」が2012年に発売したこともあります。しかしスマートフォン版RAZRは他社製品と差別化できるほどのデザイン上の特徴は出せず、数機種を出すに留まりました。

RAZR2019
10キーを備え小さいディスプレイを搭載した携帯電話なら折りたたみ型、ストレート型という形以外にもキーの形や配列を変えるなど、デザイン設計は自由自在です。例えばモトローラが2002年に発売した「V70」や2008年投入の「AURA」は10キーを隠すカバーが360度回転するギミックを美しいデザインに収めた製品でした。

RAZR2019
しかし大型ディスプレイが本体のフロント面を占めるスマートフォンでは、デザインの差別化が難しいところです。モトローラはもはやRAZRの復活は難しいと考えていたでしょう。そこに折りたたみできるディスプレイが実用化されたことで、再びRAZRのような製品を再現できるチャンスが巡ってきたわけです。

フォルダブルディスプレイは折りたたむことでスマートフォンのサイズを約半分にすることができます。すでに発売・発表されているサムスン、ファーウェイ、ロヨラの製品は開くとタブレット、閉じるとスマートフォンという「大型ディスプレイを折りたたむ」デザインになっています。一方RAZRはあくまでも「薄・小・美」にこだわり、普通のスマートフォンを折りたたんでコンパクトに持ち運ぶデザインを採用したのです。すなわち同じフォルダブルタイプのディスプレイを採用しながら、両者の方向性は全く違う方向を向いています。

最新RAZRの価格は1500ユーロ、18万円前後の予定となります。大画面が得られる他社のフィルダブルスマートフォンと違い、RAZRは普通のスマートフォンと大きさは変わりません。しかし使わないときは手のひらを閉じる動きで本体を半部にに折りたたむことができ、そのまま胸ポケットなどへ収納することができます。小型の箱が開くとスマートフォンになる、その動作やギミックは普通のスマートフォンでは味わうことはできません。

RAZR2019スマートフォンは日常生活には欠かせない必須のツールとなっています。しかしポケットから取り出せばその存在は無視できない大きさであり、WEBやSNSを流れる情報から逃れるすべはありません。しかしRAZRなら必要な時だけ本体を開いて情報にアクセスするというデジタルデトックスも実現できます。

今の時代、お金を出せばスペックの高いスマートフォンはいくらでも買うことができます。一方、この情報化社会の中で自ら情報を断ち切るという行為は贅沢なものです。RAZRが美しく高価なのは、そんな贅沢な体験を得ることのできる唯一無二の製品だからと言えるでしょう。RAZRはスマートフォンとして十分なスペックを誇っていますが、これ以上の「機能」を求める人はRAZRのターゲットユーザーには入っていないのです。世界で最も贅沢なスマートフォン、ぜひ日本でも発売してほしいものです。
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