Twitter、分散型SNSのオープン規格策定に出資。社外に独立チームを編成

中央集権型はもう無理宣言

Ittousai
Ittousai , @Ittousai_ej
2019年12月12日, 午前 07:00 in sns
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Twitter のCEO ジャック・ドーシーが、新しい分散型ソーシャルメディアのオープン標準規格の策定に向けて、社外に独立した開発者チームを編成し資金を提供することを発表しました。

ドーシーいわく、最終的な目標は Twitter 自身が現在のような独自プラットフォームの所有者であり運営者であることを辞め、オープンな新ソーシャルメディア標準規格に対応するクライアントのひとつになること。


ユーザーを増やしコンテンツを囲いコミュニケーションに不可欠な存在となることで利益を得るプラットフォーム企業でありながら、脱中央集権型でオープンな標準規格のクライアントになりたいとは奇異な発言にも思えます。

しかしドーシーCEOによれば、これはTwitterのように一社が支配する中央集権的なソーシャルメディアでは対処が難しい課題を解決する可能性を探るため。

連続ツイートをざっくり要約すると、

(要約ここから)

初期の Twitter は非常にオープンな存在で、いずれメールのSMTPプロトコルのようにオープンなインターネット標準規格に取り入れられるだろう、と多くの人に思われていた。結局は、その時点では妥当だったさまざまな理由から、中央集権的なプラットフォームとなることを選んだものの、現在では多くのことが変化した。

1. 中央集権型ソリューションでは対応が難しいさまざまな新しい課題。たとえば嫌がらせやデマに対処するため、グローバルなポリシーに基づく対応を執行してゆくこと。どこかに過剰な重荷を負わせないかぎり、長期的には対応しきれなくなるだろう。

2. ソーシャルメディアの価値がコンテンツのホストと削除から、ユーザーの関心を導くリコメンドアルゴリズムに変化しつつあること。残念ながら、そうしたアルゴリズムは通常プロプライエタリ(一社独占で非公開)であることが多く、ユーザーが選んだり、代替を作ることはできない。

3. 既存のソーシャルメディアは人に知識を与えたり健全な対話を促すコンテンツより、論争や怒りを招く内容のほうにインセンティブを与えることが多い。

4. 分散型(脱中央集権型)のアプローチをより現実的にする新たな技術の出現。ブロックチェーンはオープンで堅牢なホスティングやガバナンス、さらには収益化までの分散型ソリューションの可能性を示している。解決が必要な課題も多いが、基礎はすでにある。

こうした論点の参考を2つ。

Testifying at the Senate about A.I.‑Selected Content on the Internet—Stephen Wolfram Writings
(スティーブン・ウルフラムの米上院 通信・技術・イノベーションおよびインターネット小委員会での証言。勝手に要約すると、インターネット上のAI (アルゴリズム) による自動化されたコンテンツ選別 や誘導が、世論や政策決定を含めて世界に与える影響と潜在的な課題について、またアルゴリズムの透明性確保やユーザーの選択肢を残すといった解決策についてウルフラムの提言。)

Protocols, Not Platforms: A Technological Approach to Free Speech Knight First Amendment Institute
(Mike Masnick による、デジタル時代の言論の自由と民主主義についての小論。ドーシーはこの小論から「オープンな環境で新しいプロトコルを開発させるために人を雇う」ことが有望な方法と考えるに至った)

具体的には、

・Twitter は最大5人のオープンソース設計者・エンジニア・デザイナーからなるチームに資金を提供する。チームの名前は @bluesky 。

・bluesky の人選は、まずTwitter の CTO である Parag Agrawal がリーダーとなる人物を探し、決まったbluesky の責任者が残りのスタッフを選ぶ。
・Twitter が bluesky に対して求めるのは、「将来の分散型ソーシャルメディアの原型として発展させてゆくに足る既存の分散型標準技術を見つけるか、値するものがなかった場合、みずから標準規格を作ること」のみ。

オープンな分散型ソーシャルメディア標準規格がなぜTwitter の利益になるか? (標準として普及すれば) 現状のTwitterプラットフォームよりもはるかに広大な会話にアクセスできるようになると同時に、健全な議論を促すオープンなリコメンデーションアルゴリズム開発に注力できるようになる。また従来よりもずっとイノベーティブであることが求められるようになる。

Twitter が新規格のクライアントに移行してもよいと判断できるまでは、非常に多くの課題を解決せねばならないだろう。そのためには、私企業一社が専有するのではなく、オープンで透明性のある環境で進める必要がある。

bluesky チームに対しては、新標準規格の開発だけでなく、さまざまな企業や組織、研究者、社会のリーダーなどを含むオープンなコミュニティを作ることも期待している。この取り組みがもたらすポジティブな影響・ネガティブな影響について深く考えられるように。

スケーラブルで使い物になる分散型ソーシャルメディア標準ができるまでは何年もかかるだろう。Twitter はそれが実現するまで資金を提供することをコミットする。

bluesky のリーダーに適任と思う人、詳しく知りたい人は @bluesky をフォローかDMして。

(要約ここまで)

Twitterを含めた巨大なプラットフォーム企業が、封建制の君主のようにユーザーを囲い込む現代のインターネットに対して、誰も専有しないことで誰もが参加できるオープンなイノベーションの場となっていたかつてのインターネットの理想をもう一度取り戻そう、そして自由で健全な議論と民主主義を守ろうという掛け声については、そして小規模ながらもカネは出して口は出さないコミットについては、実にすばらしいと感嘆せざるを得ません。

同時に、ネットいじめやヘイトスピーチやフェイクニュースや「不適切」コンテンツに対して、ユーザーや各国政府から突き上げられ対応が手ぬるい遅いやる気がないと非難されることに、すべての元凶の親玉として責任を問われ続けることによほど嫌気がさしたのだな、とも思える発表です。

 

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