令和タヌキ合戦勃発! KDDIがPontaに合流する狙い(石野純也)

インコ・パンダ・タヌキで三つ巴

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2019年12月17日, 午後 04:45 in Business
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KDDIは、Pontaを運営するロイヤリティ マーケティングとの資本業務提携を発表。2020年5月をめどに、au WALLETポイントをPontaに統合していくことを明かしました。インコ(ドコモ)とパンダ(楽天)が火花を散らす中、タヌキ(Ponta)がそこに割って入り、三つ巴の戦いの様相を呈してきました。

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▲Pontaを運営するロイヤリティ マーケティングへの出資を発表したKDDI

提携は、KDDIとロイヤリティ マーケティング、双方の思惑が合致したものと言えそうです。

まず、KDDI側には、au WALLETポイントがいわゆる「共通ポイント」になっていない課題がありました。現状のau WALLETポイントは、auの携帯電話料金やau WALLETプリペイドカード、クレジットカードを利用した際に付与されますが、dポイントや楽天スーパーポイントとは異なり、店舗でポイントカードを提示するだけでポイントがつく仕組みはありません。ユーザー視点で見ると、これは「ポイントの貯まりにくさ」につながります。

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▲決済サービスは複数持つKDDIだが、共通ポイントは他社の後塵を拝していた

KDDIの高橋誠社長は、「何とかPAYが表に出ているが、これは使うことをやっているだけ。このPAYが持っている口座に、いかにお金を流し込むかが大きな問題」と語っていましたが、この状況は今のau PAYにも当てはまっています。auユーザーの中には、ポイントの貯まり方が遅いと感じていた人も多いのではないかと思います。

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▲口座にいかにお金を流し込むかが重要と語る高橋社長

これに対し、Pontaは「来年3月に10周年を迎える」(ロイヤリティ マーケティング、長谷川剛社長)という老舗の共通ポイント。会員数は9000万人を超え、規模の上では楽天スーパーポイントに迫ります。ただ、楽天PAYを抱える楽天や、d払いをプッシュするドコモに押され気味だったのも事実。たとえば、定食屋チェーンの大戸屋やPontaから楽天スーパーポイントにポイントを切り替えており、新規導入事業者も、楽天やドコモに比べて少ない印象がありました。

長谷川氏が「我々もきちんとキャッシュレス決済に連携していかないと、ポイントが外されることにつながっていく」と語っていたように、端的に言えば、決済機能がないことはPontaの弱みになっていました。とは言え、ご存知のように「何とかPay」は百花繚乱。このタイミングでPonta Payのようなものを始めたところで、利用者数が爆発的に伸びるのは難しかったはずです。

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▲ロイヤリティ マーケティングの長谷川社長は、決済機能と連携することの重要性を語った

このように見ると、共通ポイントを持っていなかったauと、決済機能を持っていなかったPontaが手を取り合ったという図式になっていることがお分かりいただけるかと思います。

厳しい見方をすると"弱者連合"とも言えますが、どちらも"弱者"とまでは言い切れないほどの規模感を持っていることも事実。高橋氏が挙げた、1億超の会員数と、2000億円超の年間ポイント付与額が、それを物語っています。楽天とそれを追うドコモに、au×Ponta連合が挑んでいくという構図と言えるでしょう。

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▲au PAYとPontaを合算した会員基盤は1億超。ポイント付与額も2000億円を超える

KDDIのパートナーが楽天ではない驚き

筆者として驚きだったのが、KDDI側のパートナーが楽天ではなかったところ。ご存知のとおり、楽天モバイルはKDDIからau回線をローミングで提供されていますが、それとは反対に、楽天側からはKDDIに対し、物流網や決済基盤を提供しています。決済基盤というと少々まどろっこしくなりますが、有り体に言えば、楽天Payとau PAYが相乗りしているということ。先行していた楽天PAYの加盟店をau PAYが利用し、一気に加盟店を増やしています。

この流れをくめば、当然ながら楽天スーパーポイントの方が親和性があるようにも思えますが、共通ポイントのパートナーとしてKDDIが選んだのはPontaでした。KDDI関係者によると、提携の検討は1年以上前から進んでいたとのこと。高橋氏も「今回の提携には、結構な時間をかけている」と語っています。

KDDIと楽天が協業を発表したのは2018年11月で、Pontaともほぼ同時進行で話を進めていたことになります。Payでは相乗りつつも、ポイントで楽天経済圏に飲み込まれるのはゴメンというのがKDDIの本音と言えるかもしれません。

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▲コード決済では楽天Payと連携していたKDDI

dポイントとPontaの相互交換は中止となる可能性

逆にPontaを運営するロイヤリティ マーケティングも、ドコモとの関係が強いと思っていたため、その意味でも今回の発表には意外感がありました。この2社は2015年に業務提携を結んでおり、現在ではdポイントとPontaの相互交換が実現しています。ここに、同じキャリアのKDDIが割って入ってきたところはサプライズでした。

KDDIとロイヤリティ マーケティングは、単なる業務提携にとどまらず、資本提携も結んでいるため、このままいけば、dポイントとPontaの相互交換は中止になってしまうシナリオも十分ありえそうです。

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▲ドコモとロイヤリティ マーケティングや、ドコモとローソンは蜜月関係だっただけに、KDDIとの提携はサプライズだった。写真は15年のdポイント発表時に撮影

その先にあるのが、データの活用や新たなスタイルの店舗展開です。同時にKDDIは、ローソンに対しても2.1%出資し、資本業務提携を結びました。これはPontaを軸に、「お客様に寄り添った新しい消費体験をしていただきたい」(高橋氏)のが目的です。

ローソンの竹増貞信社長も、「令和型の次世代コンビニサービスを、Pontaを核にしながら一緒に追求していける」と語っています。無人店舗やレジなし店舗などにも、KDDIの5GやIT技術を生かしていけるといいます。

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▲ローソンは、KDDIと共同で次世代コンビニエンスサービスの開発を目指す

もっともこれは将来的な話。短期的に見れば、ローソン側が「まず期待するのは、au PAYにおける販促効果」(竹増氏)とのこと。au PAYがPontaと連動して、ローソンで大盤振る舞いのキャンペーンを展開することを期待しているようです。

現状のローソンは、店頭を見ると、自社の出資しているタヌキ(Ponta)よりも、インコ(dポイント)の姿を見かけることが多く、キャンペーンも積極的に展開されている印象を受けますが、ポイント統合後には、タヌキが盛り返してくるのかもしれません。その意味では、提携を機に、令和のタヌキ合戦が開幕したと言えそうです。
 
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関連キーワード: aupay, Business, kddi, lawson, ponta
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