アップル「AirPods Pro」対 ソニー「WF-1000XM3」は今年を象徴する好敵手だった:ベストバイ2019

音質は良いWF-1000XM3だが「日常の快適さ」はAirPods Proが勝る

西田宗千佳
西田宗千佳
2019年12月29日, 午前 08:30 in audio
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AirPods  Pro and WF-1000XM3
ライバル商品が店頭に並ぶと、世の中はやっぱり盛り上がるものだ。今年のライバル商品といえばなにか? iPhone 11 Pro 対 Pixel 4でも、MacBook Pro 16インチ 対 Surface Laptop 3 15インチでもいいのだが、筆者的にも市場的にも一番盛り上がったのは、アップルの「AirPods Pro」対 ソニーの「WF-1000XM3」ではないか。

これらのヘッドホンは、結果的に筆者が毎日持ち歩くものになった。年納めとして、そろそろ「どっちが良かったのか」、筆者としての最終結論を出しておきたいと思う。

■日本市場のニーズに合致した2つの製品

今年は完全ワイヤレス型ヘッドホンが充実した年だった。2017年に初代AirPodsが出て以降、じわじわとニーズが高まり、開発のための技術も揃ってきたのは大きい。ぶっちゃけ、音質や接続性を問わない製品なら数千円の売価で作れるようになってきた。

WF-1000XM▲WF-1000XM3

一方、音が途切れず遅延が少なく、音質が良くて......というものを作るのがけっこう難しいのも事実。ノイズキャンセル(NC)を搭載しようと思うとさらにだ。

WF-1000XM3とAirPods Proの共通点は、「コンパクトである」「高音質である」「音漏れが小さい」「比較的耳から外れにくい」上に「NC搭載」という共通点がある。特に日本の場合、「音漏れが小さい」ことと「音質がいい」こと、「耳から外れにくい」ことは、電車内での利用が多いというニーズに絡んでいる。NC搭載も、まさにそこに直結する。

だから、ソニーは2年前にそのアプローチを「WF-1000X」で試したわけだが、どうにもイマイチだった。音質がどうこうというより、Bluetoothの接続性が良くなくて、音切れが多かった。ソフトウェア・アップデートにかかる時間も長く、全体的に満足度が低かった。

そこに出てきたWF-1000XM3は、ソニーにとって「今度こそ」というリベンジであり、アップルにとってのAirPods Proは「AirPodsの成功に続いて今度も」というダメ押しだった、といっていい。

■音質は良いWF-1000XM3、だが「日常の快適さ」でAirPods Proが勝る

多数のレビューが出ているし、実物を持っている人も多いと思うので、細かい仕様について話す必要はないだろう。どちらも「完全ワイヤレス型ヘッドホンかつNC内蔵で、今買えるものとしては選んで損がない」製品である。

現状巷では、後に出たAirPods Proの方が評判はいいように思う。筆者も、両方使ってはいるものの、取り出す機会が多いのはAirPods Proの方だ。

AirPods Pro▲AirPods Pro

だがそれは「WF-1000XM3の方が音質が悪いから」ではない。しっかりと耳にフィットしたイヤーチップをつけている、という前提の場合、NCの効きや音質ではWF-1000XM3の方が上だと思う。じっくり音楽を聴く、という前提であるなら、WF-1000XM3の方が良いと感じるシーンは多い。

またWF-1000XM3は特に、最新のソフトウェア・アップデートによって「タップによる音量調整」が追加されて以降、使い勝手も上がっている。

完全ワイヤレス型ヘッドホンの欠点は、ボディが小さいゆえに、ヘッドホンだけで出来る操作が限られていることだ。AirPods Proも、ぶっちゃけ、短くなった出っ張りを「プチプチ」押しての操作はやりづらい。そこは大きめのタッチパッドを持ったWF-1000XM3ならではの良さがある。

では、なのになぜAirPods Proをつける時の方が多いかといえば、耳への負担が小さいからだ。WF-1000XM3は、耳の奥まで音導管を伸ばしているために、イヤーパッドで耳の穴に突っ込む構造で、それが耳に負担をかける。

それに対してAirPods Proは、そこまで耳の奥に入れないため、耳への負担が小さい。この構造に合わせた音質・NCの調整ができているあたりに、アップルのオーディオメーカーとしての成長が感じられる。

結局、音楽を楽しむシーンはいろいろある。まさに「音楽を聴く」態勢で使う時もあれば、BGM的に聞きたくて、もしくは単に周囲のノイズを消して自分の世界に浸るために使う時もある。日常では後者の時間の方が長く、その時には、耳への負担が小さいAirPods Proの方が好ましい、というのが筆者の意見である。

ただ、AirPods Pro(に限らず、アップル製品はみなそうだが)には、「iPhoneやiPadを持っていないとすべての価値を引き出せない」という欠点がある。Bluetoothオーディオ機器という性質上、ぜんぜん使えないわけではないが、そこは「そういうもの」だ。

■「インターフェースになるヘッドホン」に注目せよ


2020年は、完全ワイヤレス型ヘッドホンの競争がもっと激しくなる。日本での発売予定は「未定」とされているが、アマゾンが129ドルで発売した「Echo Buds」もあるし、マイクロソフトの「Surface Earbuds」もある。さらにGoogleも「Pixel Buds」の次世代バージョンを春以降に発売する。オーディオメーカーはもちろん、プラットフォーマーがこのジャンルにどんどん参入してくるのがポイントだ。

理由は、音楽を聴くだけでなく、音声での操作やメッセージの確認など、「コンピュータのインターフェースとしてのヘッドホン」の価値が高まるからである。ソニーやボーズなどは「スマホアプリ」の改良をすることで、ヘッドホンにインターフェースとしての価値を追加する取り組みを続けてきた。そこに、アップル・アマゾン・Googleにマイクロソフトと、大手どころが戦いを繰り広げていく。

ソフトが大きな価値を持つものだけに、どれも単体のスペックでは価値が見えてこない。発売時の機能だけでなく、その後のアップデートで価値が変わることもある。

これからは、ヘッドホンの評価においても「オーディオでなくコンピュータとして」の価値がより高まることになる。この視点で見ると、先ほど述べた「AirPods ProとWF-1000XM3の違い」の理由が、なんとなく見えてくるのではないか。来年はその辺にぜひ注目しておいていただきたい。
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