Google、AIの乳がん判定精度が専門家を上回ったと発表。患者や放射線科医の負担を減らすため

AI訓練には匿名データセットを使用

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年01月2日, 午後 01:05 in ai
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BSIP via Getty Images

Googleは乳がんの画像診断につき、AIシステムが人間の専門家よりも高い精度でガン性組織の前兆を検出できたとの調査結果を発表しました。同社が関わったガン対策研究の成果としては、2018年に転移性乳がんを99%の確率で発見できるAIツールを開発したことに続くかたちです。
今回の研究はAlphabet傘下のDeepMindがインペリアル・カレッジ・ロンドンのCancer Research UK Imperial Centreや米ノースウェスタン大学、英ロイヤル・サリー・カウンティー病院との協力のもと、「人工知能が放射線科医を支援して乳がんの兆候をより正確に発見できるかを検証」したとされています。

乳がんは世界中の女性に影響を与える可能性ある病気です。英国では毎年5万5000人以上が乳がんと診断されており、米国では女性の約8分の1が発症するとの報告があります。

この病気は早期発見・早期治療することで完治の可能性が高まるものの、一方では正確に検出して診断することが困難とされています。

乳がんスクリーニング(検査)の手段としてはマンモグラフィー(乳房のX線撮影)が最も一般的な方法ですが、このX線画像を読むことは専門家でさえ困難であり、偽陽性(疾患にかかっていない人でも陽性を示すこと)や偽陰性(その逆)をもたらす可能性があり、検出と治療の遅れや患者への不要なストレス、ただでさえ不足している放射線科医への重い作業負荷にも繋がります。

さて今回発表されたAIシステムは、英国では7万6000人以上、米国では1万5000人以上の女性の匿名化されたマンモグラム(乳房X線画像)により訓練され、英国2万5000人以上の女性と米国3000人以上の非識別加工データセットを対象にして評価テストが行われたとのことです。つまりトレーニングの元データは、人間の医師が参照できるような患者の病歴などにアクセスが封じられていたわけです。

そうした制約を受けながらも、AIシステムは人間の専門家と比べて、偽陽性判定については米国で5.7%、英国で1.2%も低かったとのこと。偽陰性については米国で9.4%、英国で2.7%減少したとされています。誤った陽性判定は不要な治療や手術のリスクを高め、逆に陰性判定の間違いは処置の遅れに直結するため、十分に有意な数字と思われます。

AIによる判定精度の向上やスピードアップは、患者の待ち時間や誤診によるストレスを減らすとともに、医師による適切な処置や手厚いケアを可能にするはずです。とはいえ、さらなる精度向上や医療現場への浸透のためには、継続的な研究、前向きな臨床研究、規制当局の承認が必要となります。健康情報のビッグデータ収集はプライバシーにも関わる側面もあるため慎重にことを運ぶ必要はありますが、いっそうの進展を期待したいところです。

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