Apple Musicを育てたBeats共同創業者、ジョブズとの出会いや音楽ストリーミングを語る

ジョブズとの会食がBeats創業のきっかけ

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年01月3日, 午後 09:05 in apple
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Jason LaVeris via Getty Images

Beats共同創業者の1人であり、Apple Musicを率いた後にアップルを退社したジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine)氏がBeats設立のきっかけやアップル在籍時の体験、音楽ストリーミングサービスといった様々な話題をThe New York Timesのインタビューで語っています。アイオヴィン氏は元々はインタースコープ=ゲフィン=A&Mレコード会長であり、既存の音楽業界の中核にいたといえる人物です。それがなぜ新興企業のBeatsや音楽ストリーミングに関わったのかと言えば、話は20年前に遡るとのことです。

すべての始まりは、90年代末のP2P技術を用いた音楽共有サービスおよびソフトNapsterの登場でした。その技術がどれほど強力であるかを目の当たりにしてギアを切り替える必要があると悟り、「レコード会社は技術なしには存立し得ない」と認識したと語っています。

ちょうどその頃、アイオヴィン氏が出会ったのがアップル創業者のひとりスティーブ・ジョブズ氏と現ソフトウェアおよびサービス担当上級副社長エディ・キュー氏(後のアイオヴィン氏の上司)でした。「ああ、ここ(ハイテク業界)にこそ自分の居場所がある。この考え方をインタースコープに取り入れる必要がある」と考えたとのことです。

アイオヴィン氏は一緒に仕事をするアーティストを通じて多くのことを学ぶとして、そのひとりがBeatsの共同創業であるドクター・ドレー(Dr.Dre)氏だったと挙げています。「ドレはオーディオ完璧主義者であり、おそらく史上最高のオーディオプロデューサーの1人です。そしてドレが懸念していたのは、自分の子供たちが、いや全ての世代が安もので効率の悪い機器を通じて音楽を聴き、オーディオを学んでいたことです。それがBeats創業のきっかけでした」と語っています。

その一方で、ギリシャ料理店でアイオヴィン氏と同席したジョブズ氏も、自社のハードウェアを作るために必要な知識を聞き出していたとのこと。「ここに流通、ここに製造業」と紙に油性ペンで描いていたと振り返られています。

最終的にBeatsは2014年にアップルに買収され、アイオヴィン氏とドレ氏はともにアップルに入社することになりました。Beatsはヘッドホンやオーディオ技術のBeats Electronicsと音楽ストリーミングサービスのBeats Musicを持っていましたが、いずれもアップル傘下に入っています。

その後アイオヴィン氏は実質的にBeats Musicを原型にしたApple Musicを担当し、アップルの音楽ストリーミングサービスを率いる立場となり、競合のSpotify等が行っている無料プランに対して「アーティストを守る必要がある」として異議を唱えていたこともあります

そして4年間をApple MusicとストリーミングラジオサービスBeats 1の充実に注いだ後、2018年にはアップルを退社しています。アイオヴィン氏はその理由を「アップルに入社したとき、それらは私にとって新鮮でクリエイティブな課題でした。どうやって音楽ビジネスの未来を切り拓こうか?どうやったら普通じゃなくせるのか?しかし、私は個人的にやりたいことをすべてやりました。あとは誰かがやるべきです」として、次の道に進む時期がきたとの想いを語っています。

Apple Musicを音楽ストリーミングサービスの一角に育て上げたアイオヴィン氏ですが、この業界の将来には確信が持てないとしています。最大の問題は「スケールしない」、つまり規模が拡大してもコストが下がらないこと。「Netflixはチャンネル登録者が多いほど費用は削減されますが、音楽ストリーミングはコストが上がります」としています。

さらに音楽ストリーミングサービスの核心にある問題は「ユーティリティ」(道具)であることだと指摘しています。すなわち、動画配信サービスであれば「ディズニー(Disney+)はそこでしか見られないオリジナルコンテンツがあり、Netflixでも独占配信がたくさんあります。しかし、音楽ストリーミングサービスはすべて同じで、それが問題なのです」として、基本的にコンテンツの品ぞろえで差別化できず経路に過ぎない苦しさを述べています。

先日も米音楽売上でストリーミングが全体の8割までに到達したと報じられていましたが、裏返せば既存の音楽市場から切り取りできる余地が小さくなり、伸びしろが限られてきた可能性にも繋がります。店舗向けの「Apple Music for Business」がテスト運用されているのも、次の一手を探る模索かもしれません。

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