NAOJ/M. Tanaka

一般に銀河の寿命は非常に長いと考えられており、われわれが属する天の川銀河でも最古の天体は100億年以上も前から存在すると言われています。しかし、最新の研究ではビッグバンによる宇宙の誕生から20億年にも満たない時点ですでに活発な星の形成が終わりを迎え、衰退を始めている銀河が発見されました。その銀河は地球から約120億光年の彼方にあります。つまり、いま地球で観測できるその銀河の明かりは約120億年前の状態を示しているわけですが、国立天文台および総合研究大学院大学の田中賢幸氏らの研究チームは、ハワイにあるすばる望遠鏡やケック望遠鏡を用いた観測で、すでに銀河内での星の誕生ペースが衰えているのを確認しました。

銀河がどのように生まれ、衰退していくかについてはまだ詳細がわかっていません。たとえば天の川銀河はいまもまだ新しい星を形成していることから"生きている"と言えますが、おとめ座銀河団の中心にある楕円銀河M87はすでに死んだ銀河とされ、中心には超大質量ブラックホールが存在します。

今回観測された銀河は、誕生から20億年ほどしか経ていないにも関わらず、その中心の質量は現在の宇宙にある巨大な銀河とほぼ変わらないレベルにまで成長しきっていることも判明したとのこと。

この発見は、最近の宇宙のコンピューター解析モデルから大きく外れてはいないものの、研究者がそれを調整し、より洗練されたモデルにすることを可能とするかもしれません。

天文学者たちは、打ち上げを控えているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、今回のような銀河意外にもたくさんの遠い銀河の発見に役立つことを期待しています。そして、今回のような若くして衰退している銀河が例外的なものなのか、その時代としては普通のものなのかを判断したいと考えています。