透ける『FREETEL時代の反省』──米国で需要増「eTalk」や「神SIM」投入の狙い(石野純也)

筆者が注目した端末は「eTalk」

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年01月22日, 午後 05:00 in mobile
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元FREETELの増田薫氏が立ち上げたTAKUMI JAPANは、1月21日に新製品発表会を開催。翻訳機の「KAZUNA eTalk」をソフトウェア化したスマホ向けサービスや、「Black Shark2」のアクセサリー、12月にスタートしたソフトバンク回線を再販する「神SIM」などを発表しました。ある意味手堅い商品ラインナップですが、近い将来に向けた拡大戦略の一端も明かされています。

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▲eTalkの新サービスや、神SIMなど、新サービスを一挙に発表したTAKUMI JAPAN

筆者が注目したのは「eTalk」

製品やサービスそのものの紹介は別記事に譲るとして、筆者が注目したのは、Verizonに納入された「eTalk」というTAKUMI JAPANが自社ブランドで送り出すベーシックフォン。増田氏によると、この端末単体で「だいたい35万台ぐらいを出荷している」といいます。

プリペイドとポストペイド、両方で取り扱われ、米国小売りチェーンのウォルマートでも販売。ウォルマートでは約20ドル、Verizonでも単体販売で約80ドルと、シンプルかつ低価格なところが評価されているようです。

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▲VerizonにeTalkブランドで納入されたベーシックフォン

一方で、実はeTalkはベースがAndroidで、「VoLTEやWi-Fi通話にも対応している」(増田氏)といいます。日本では、いわゆるガラホなどと呼ばれている端末で、通話に特化した作りながらも意外と高機能です。

VoLTE対応したのは、Verizonの3G停波を見越したため。同社は今年いっぱいで段階的に3Gのサービスを終了させていく予定で、ユーザーに対して端末の移行を促しています。その候補としてラインナップされているのが、TAKUMI JAPANのeTalkだというわけです。いわゆる"マイグレーション需要"というやつですね。

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▲実はWi-FiやVoLTEにも対応している

とは言え、それだけだとeTalkに対する需要は説明しきれません。ベーシックフォンやフィーチャーフォンを開発するメーカーはほかにもあるからです。ここで鍵となるのが米中貿易戦争。このあおりを受け、特に米国キャリアは、中国メーカーの端末を採用することに対して慎重になっていると聞きます。

TAKUMI JAPANのeTalkも製造は中国で行っていますが、最終製品としては日本メーカー製です。増田氏によると、これも採用にあたってプラスになったといいます。

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▲3Gの停波対策の端末として受け入れられている側面があるという

増田氏によると、同様のニーズを満たすスマホも投入する予定があるようです。同氏は発表会で、「今年は自社ブランドのスマホを出す」と明言していました。

"どの国で"というところまでは明かされていなかったため、一瞬、国内市場向けかと思いきや、そうではない模様。発表会のスライドをよくよく見ると、「eTalk for Verizon」との文字があり、ベーシックフォンに続く第2弾の端末として、米国向けのスマホを検討していることが分かります。発表会にはモックアップ(模型)が置かれていましたが、計画は着々と進行しているようです。

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▲スライドには、「eTalk for Verizon」の文字が

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▲自社ブランドのスマホはモックアップを展示

日本では、代理店としてBlack Shark2を展開しているTAKUMI JAPANですが、増田氏は「KAZUNA selectionの製品も今後増やしていく」と語っていました。Black Shark社に次ぐ新たなメーカーの端末を増やすのか、Black Shark2の後継機を計画しているのかは未知数ですが、あえて他社の端末を取り次ぐだけに、Black Shark2のようにインパクトのあるスマホを発売する可能性も高そうです。

「神SIM」に見るFREETEL時代の反省

矢継ぎ早に新製品を投入するTAKUMI JAPANですが、上記のように、ビジネスとしては堅実な印象もあります。フィーチャーフォンも需要をしっかりつかんだうえで、キャリアへの納入契約をしっかり結んでから開発していますし、日本国内向けのKAZUNA selectionも、あくまで代理店ビジネスで、リスクはほとんどありません。

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▲神SIMも、MVNOではなく、あくまでMNOの回線を再販しているものになる

冒頭で挙げた神SIMもしかりで、FREETEL時代はMVNOとしてドコモから回線を借り、結果としてこれが儲からずに資金繰りが悪化してしまいましたが、今回はMVNOではなく、あくまでソフトバンクのSIMカードの再販という形になります。帯域を借りるための大規模な投資をする必要もなく、手数料を受け取れるため、MVNOより料金プラン設計の自由度は大幅に低くなる半面、リスクも少なくなります。

端末ビジネスにしても、通信サービスにしても、経営破たんを迎えてしまった旧FREETEL時代の反省がしっかり生きていることがうかがえます。旧FREETELブランドを展開していたプラスワン・マーケティングは急拡大があだになってしまいましたが、TAKUMI JAPANでは、人材も少人数に絞って、手堅くビジネスを展開しているようです。

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▲発表会に登壇した増田社長。FREETEL時代の反省を生かしたビジネス展開をしているようだ

増田氏は、3月にも改めて発表会を開くと宣言していましたが、ここではKAZUNA selectionの次のラインナップが披露される可能性が高そうです。ビジネスは堅実になったTAKUMI JAPANですが、導入する端末のインパクトはむしろFREETEL時代より大きくなっている感もあり、同社の次の一手にも期待したいところです。
 
 

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