米ニューヨーク検察、iPhoneロック解除に1000万ドルを投入

重犯罪者はiCloudにバックアップを取らないそうです

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年01月24日, 午前 11:00 in security
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Daniel Allan / Getty Images

米軍施設銃撃事件の犯人が所有していたiPhoneのロック解除をめぐって、今なおアップルとFBIや司法長官、さらに大統領までも参加したせめぎ合いが続いています。事態が錯綜しているなかで、すでにFBIが最新デバイス、つまり最もセキュリティが堅牢と思われるiPhone 11のロックを破ったとの記述が見つかる一幕もありました

そうした国家レベルの騒動の一方で、米ニューヨーク市の地方検事がiPhoneをクラッキング(ロック解除)するために1000万ドルもの費用をかけたハイテク研究施設を構築および運営していると報じられています。米Fast Company報道によると、サイラス・ヴァンスJr.検事が監督するラボは「心を曲げるハードウェア」(iPhoneロック解除用の機器)と技術専門家のチームから構成されており、その多くは元軍人であるとのこと。本施設は無線周波数隔離室を備えていますが、それは捜査対象となるiPhoneが遠隔操作されてデータを消去されないためと語られています。

そもそも部屋の入り口には電磁波を遮断する金属製ドアが二重に設けられており(iPhoneを閉じ込める)「電子刑務所」という表現もうなずけます。

この施設内には数千台ものiPhoneが保管されていますが、それらはロック解除の様々な段階にあるとのこと。1秒あたり2600万ものランダムなパスコードを生成するスーパーコンピューター、熱を使用せずにメモリチップを取り出せるロボット、破損したデバイスを修復して再びアクセスできるようにする専用ツールがあると述べられています。

ものものしくも高度な技術レベルの印象を受けますが、全てのiPhoneは侵入用パスコードを生成するコンピュータに接続され、場合によっては何万もの数字の組み合わせを使用する必要もある--ということで、総当たりで試すブルートフォースの手法がとられています。

とはいえ、iOSはパスコード試行回数を制限しているため、ロック解除チームは誕生日や重要な日付(子供の誕生日や結婚記念日など)、iPhoneの持ち主はどの野球チームや選手が好きかといった情報から可能性を絞り込んでいるとのことです。

ヴァンス検事はアップルに対して批判的な立場にあり、法執行機関の職員が犯罪捜査の必要からiPhoneに侵入しやすくするため、暗号化防止法の導入を政府に働きかけていると語られています。施設に持ち込まれるスマートフォンの82%がロックされ、そのうち「約半分」しか解除できないとも述べられており、すでに限界を感じているということでしょう。

さらにアップルやGoogleが頻繁にソフトウェアアップデートをくりかえすため、そのたびにスマートフォンへの侵入は困難さを増していきます。「法執行機関の観点からは、まず第1に時間の問題です」と語られ、裁判に間に合わないと示唆されています。

アップルはiPhoneそのものには侵入せず(バックドアを設けない)捜査機関にiCloudのバックアップやアカウント情報などを提供するとの立場ですが、ヴァンス検事いわく「重大な犯罪をした人間が、バックアップを取るわけはないでしょう」とのこと。ユーザーは保存する情報を選べる上に、多くの場合、犯罪が発生してから容疑者がスマートフォンの電源を切るまでの短い時間にクラウドにバックアップされないとも述べられています。

FBIは最新iPhoneをロック解除できるツールを入手済みとの報道もありましたが、だからといって時間や費用が掛からないわけではありません。米政府の要人らがこぞってアップルにロック解除の要請を強めているのも、何か表だっては語れない理由が秘められている可能性もありそうです。

 

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