STEAM教育に特化した最新レゴ「SPIKE プライム」を試す

IoTもレゴで学ぶ時代!

相川いずみ
相川いずみ
2020年01月24日, 午後 02:45 in education
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LEGO SPIKE PRIME
誰でも、子ども時代に一度は遊んだことがあるレゴブロック。そのレゴ社の教育部門であるレゴ エデュケーションが、設立40年目となる2020年に新しいプログラミング教材「レゴ エデュケーション SPIKE プライム」(以下、「SPIKE プライム」)の販売を開始した。

LEGO SPIKE PRIME「レゴ エデュケーション SPIKE プライム」。ハブやモーター、センサーなど全528パーツで、USB、Bluetoothを対応。希望小売価格は、45,800円(税別)。

「SPIKE プライム」はSTEAM教育に

「SPIKE プライム」は、心臓部である「コア」の他、センサー、モーター、さらに「SPIKE プライム」用に新造形されたブロックなどがセットになっている。

LEGO SPIKE PRIME
▲「SPIKE プライム」の心臓部である「コア」。

コアは同時に6個のモーターやセンサーを挿す入力ポートを備え、上部にある5×5マスのLEDライトで、文字や記号、絵文字などを表示できるほか、スピーカーからビープ音も再生できる。

LEGO SPIKE PRIME
▲距離、カラー、フォースの3つのセンサーがあり、様々な仕組みをつくることが可能だ。

LEGO SPIKE PRIME▲モーターは2種類。クルマ型ロボットとして動かしたり、扇風機をつくったりと、工夫次第で色々なものができそうだ。

LEGO SPIKE PRIMELEGO SPIKE PRIME
▲ソフトウェアはScratch 3.0をベースにした無料のプログラミングツールで、社会や生活などをテーマにした4つのユニットが用意されている。今後はPythonにも対応する予定だ。

こうしたユニットによって実社会につながる課題を子どもたちに提供できるだけでなく、先生にとっても授業づくりにかける時間を軽減できるメリットがあるという。また、「SPIKE プライム」に慣れていない先生向けとして、スタートガイドや組み立て説明書、ヘルプ機能なども充実しているほか、授業の流れがわかる動画、授業を進める際のヒントになるプランといったサポートツールも用意されている。

レゴ エデュケーションのキーアカウントマネージャーである江口敬介氏は「『SPIKE プライム』は、従来の『マインドストーム』よりもっと簡単に組み立てられ、かつ、『WeDo』より複雑な仕組みを組み立てることができる」と話す。

さらに、従来の2製品とのすみわけとして、「小学校では『WeDo2.0』、『SPIKE プライム』はメインは中学校で、小学校中学年から高校まで使える。一方で、『マインドストーム』は高校生以上で、Pythhonなどのテキストコーディングマシンとして提案していく」という。

LEGO SPIKE PRIME▲「SPIKE プライム」の活用教科の一例。小学校から高校まで、幅広い活用が期待される。

説明会の最後に、参加者全員で「SPIKE プライム」のプログラミング体験を行った。すでに組み立てられているロボットを、プログラミングを書き換えて動かしてみるというものだ。

LEGO SPIKE PRIME▲体験で使われたのは、顔部分にカラーセンサーを備え、ダンスするロボットだ。

今回の体験では、あらかじめプログラミングされていたプログラムを書き換えることで、「SPIKE プライム」ならではの操作や体験を実感することができた。「繰り返し」の命令を使うことで、ロボットが繰り返して動いたり、カラーセンサーの仕組みを使い、ブロックのカラーを判別して動くというものだ。カラーセンサーの動きについては、短い動画を用意したので、ぜひチェックしてみてほしい。

ネットのデータを活用するIoTを体験

説明会の後、希望者のみの体験会にも参加してみた。ここでは、ネットの気象データをもとに、天気や気温によって違う動作をするロボットやIoTの装置をつくる体験をした。

LEGO SPIKE PRIME
SPIKE プライムでつくったサングラス付きのロボットは、天気によって動作を変え、コアのLEDに気温と天気のマークを表示する。右側は、一定気温になると、まわりだす扇風機だ。

東京やホノルル、など、プログラムに日本各地や世界の都市の名前を入れることで、インターネットから天気や気温などの気象データを取り出し連動させる仕組みだ。たとえば、「tokyo」と入れ、雨なら傘をさすといった動作を行い、ロボットに組み込まれたコアの部分に天気のマークや気温などが出る。また、現在の気象だけでなく、「明日の12時」と設定すれば天気予報としても使うことが可能だ。

LEGO SPIKE PRIME
明日の天気予報を示すプログラム。明日12時のグアムの天気によって、ロボットの動きが変わってくる。

たんにロボットをつくり動かすだけでも楽しいが、ネットのデータを連動させることにより、さらに深いシステムをつくることが可能だ。学校において、こういった授業を行うことで、子どもたちはIoTのシステムを簡単につくり体験することができるだろう。「SPIKE プライム」では、中学校の技術家庭科向けに「農作物の自動給水モデル」といったカリキュラムなども用意されている。

 この体験会の様子は、以下の動画を参照してほしい。

世界的なロボットコンテストに「SPIKE プライム」が採用

「SPIKE プライム」は今年以降、WROや「ファーストレゴリーグ(FLL)」などの、世界規模で行われているロボットコンテストの教材として採用されることが決定した。それにともない、今後は、WROやFLL参加を目指しているプログラミング教室などでは、「SPIKE プライム」を使って学ぶ機会が増えていくだろう。

LEGO SPIKE PRIME▲世界的なSTEM教育プログラムである「ファーストレゴリーグ(FLL)」。

また、学校での採用も始まっており、1月には東京都板橋区の教育委員会主催による、板橋区立小学校でのプログラミング公開授業で、「SPIKE プライム」などを使ったプログラミング授業などが行われる。

なお、「SPIKE プライム」をはじめとしたレゴ エデュケーションの製品は基本的に教育機関向けのため、通常のレゴブロックと異なり一般の玩具店や家電量販店では販売されていない。そのため、日本に13ある正規販売代理店から購入する必要がある。

個人で体験してみたいという方は、今後は「SPIKE プライム」などを使ったイベントやワークショップが開催されることが予想されるので、そうした機会を見つけて参加してみることをおすすめする。

40年前からSTEAM教育をスタート

1月に開催された報道関係者向けの説明会では、レゴ エデュケーションの日本代表である須藤みゆき氏が登壇し、同社の歴史とともに、STEAM教育の取り組みを紹介した。

LEGO
▲レゴ エデュケーション日本代表の須藤みゆき氏。

レゴ エデュケーションは、1980年にレゴ社の教育事業部門として設立された。須藤氏は「『日本のすべての子どもたちにSTEAM教育を』という日本におけるミッションを紹介しつつ、同社でのいくつかの大きな転機を紹介した。そのひとつが1985年の「教師用ガイド」だ。

「たんに製品を発売するのではなく、いかに学び深めるかを考え、先生のガイドを含めてソリューションとして展開していく」という同社のこだわりは、40年経った現在も変わらない。日本においては、「日本の学習指導要領にあったカリキュラムやアクティビティを用意し、すべての子どもたちにSTEAM教育をと遂げる届ける準備ができている」と話した。

LEGO

レゴ エデュケーションでは「ハンズオン」、つまり「実体験型」であることを大切にしており、須藤氏の話の最初にも、実際にレゴブロックを使い、参加者全員がアヒルを組み立ててみるという体験を行った。黄色と赤の6つのブロックを使うシンプルな組み立てなのに、実際に組み立てられたアヒルは一人一人違っていたことはとても興味深く感じた。

LEGO
▲参加者が組み立てたアヒル。見事に、一人一人形が違う。

須藤氏は「たった6個のブロックで、1分間つくっただけで、こんなに個性的なアヒルが生まれた。それぞれの個性があらわれていて、どのアヒルも正解である。このアヒルをつくるまでに、それぞれが経験値や知識を頭の中で組み立てたように、レゴを使うことによって頭の中のアイデアを組み立てやすくなる」と話した。そして、「頭の中のアイデアを、実際に手を動かして試行錯誤してみる。そのプロセスこそが、学びのなかでとても大切だ」と、プログラミングにおいてレゴを使うことの意味を語った。

日本の小学校の3割が「レゴ WeDo2.0」を採用

須藤氏によると、すでに日本の小学校の30%が、低学年向けに開発された「レゴ WeDo2.0」を使っているという。「レゴ WeDo2.0」については、以前執筆した記事(「教育用レゴ『WeDo2.0』が万能すぎる!これは大人もハマる楽しさだ」)が好評だったが、実際に体験してみると、無料で学べるプログラミングアプリのコンテンツ充実しており、非常に優れた教材だと実感した。

また、実際の教育現場で活用されている例として、神奈川県相模原市の小学校での授業を見学したが、小学2年生の子ども達が楽しそうにレゴブロックと段ボールなどの材料を組み合わせておもちゃづくりをしていた。

また、須藤氏は「子どもたちが未来に備えるために」必要なスキルについても言及した。

LEGO SPIKE PRIME
▲これからの子どもたちが迎える未来についてまとめた資料。「今後は、文系・理系という区別ではなく、横断的に学ぶ必要がある」と、須藤氏は話す。

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▲これから先の未来では、求められるスキルも変わってくる。「アクティブラーニング」や「プログラミング」などが上位に上がってきていることがわかる。

レゴ エデュケーションが全国の学校へアンケート調査を行った結果、プログラミング教育で注力したい点について「楽しく取り組めること」「論理的な思考や客観的な思考を養うこと」「試行錯誤と成功体験を味わわせること」がそれぞれ70%を超え、主にこの3点を目標としていることが明らかになったという。

そのために必要なものとしてあがったのが、「十分な学習教材」「体験型の授業」「十分な授業時間」などだ。須藤氏は、「日本は、カリキュラムがしっかり決まっている分、時間も限られている。

そのなかで、いかに効率的・効果的に授業をすすめるか。たとえば『SPIKE プライム』のように、短時間で組み立てられ、思考錯誤ができ、お互いにアイデアをシェアできるような教材が重要だと考えている」と話した。最後に、「『SPIKE プライム』は直感的に使え、STEAM学習を加速する教材」として、「ぜひ体験として、楽しみながらSTEAMについて考えてほしい」と話を結んだ。

LEGO SPIKE PRIME
▲レゴ エデュケーションが2019年8月に、小学校から大学までの職員と、教育委員会職員などに行ったアンケート調査結果。

 
 

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