自社サービスを次々「au PAY」ブランドに改称するKDDI、スーパーアプリへの野望(石野純也)

決済もECも「au PAY」に

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年01月29日, 午前 11:30 in payment
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Pontaとの統合を機に、auが決済サービスをリブランディングすることを発表しました。これまで、au WALLETブランドで展開されていた「au WALLETプリペイドカード」や「au WALLETクレジットカード」などは、すべて「au PAY」に統一。ECの「au Wowma!」も、「au PAYマーケット」へと名前を変えることになります。QRコード決済のいちサービス名称だったau PAYから、大出世を果たした格好です。

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▲決済・コーマスのリブランドや大規模キャンペーンを発表したKDDI

名称を変更するだけではありますが、各サービスの位置づけはより分かりやすくなりました。au PAYを共通がお財布になり、その残高を使うためのインターフェイスとして、コード決済や非接触決済、プリペイドカードがあるというわけです。

ドコモの「d払い」も、iDによるdカードminiのブランドを「d払い(iD)」に変え、auと同じく今後は残高を共有させる予定ですが、クレジットカードのインターフェイスには未対応。PayPayもコード決済のみのため、キャリアの提供する決済サービスとしては、もっとも多様なインターフェイスを備えていることになります。

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▲au WALLETやau Wowma!などを、すべてau PAYに統一して分かりやすくなった

単にブランドを変更するだけでなく、リブランドしたau Payアプリを「スーパーアプリ」化することも、KDDIの狙いです。スーパーアプリには明確な定義はありませんが、ユーザーが必ず開く、各サービスの起点となる重要なアプリと考えておけばいいでしょう。国内ではLINEがこれに相当しますし、PayPayもその立ち位置を目指しています。お隣の国中国では、メッセンジャーアプリのWechatや決済アプリのAlipayがスーパーアプリの事例としては有名です。

auが目指しているのは、後者のAlipay型のスーパーアプリとのこと。決済を起点として、様々な金融サービスを提供していくことが主な狙いです。

KDDIは傘下にフィンテック企業を束ねたauフィナンシャルホールディングスを擁し、その下の「じぶん銀行」や「auカブコム証券」「au損保」などが多彩なサービスを提供しています。リブランド後のau PAYアプリは、こうしたサービス群にアクセスするための起点になるといいます。

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▲狙うのは、au PAYアプリのスーパーアプリ化

とは言え、スーパーアプリと呼ばれる存在になるには、まだまだピースが足りません。それを補うべく、au PAYへのリブランドに合わせ、新サービスを一気に投入します。その1つが請求書払い。公共料金を直接au PAYで支払えるというサービスで、残高の出口が1つ広がることになります。

じぶん銀行やauかんたん決済が対応していたオートチャージも、au PAYカードに拡充。さらに、設定した金額と支払額の差額を投資に回せる「おつり投資 for auでんき」も開始します。

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▲リブランドに合わせ、金融関連サービスを拡充する

ただ、いくらサービスを拡充しても、アプリを開いてもらえなければ意味がありません。5月のau WALLETポイントとPontaの統合も控えているため、KDDIとしては、au PAYアプリに人を集める必要があります。こうした背景を踏まえ、au PAYは大規模なキャンペーンを展開します。

それが、「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」です。「!」が2つも入る鼻息の荒さからも分かるように、au PAY史上初ともいえる超大規模キャンペーンを投入し、一気にユーザーを集める狙いがあります。

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▲毎週10億円の予算を投じる20%還元キャンペーンを実施

詳細はすでに掲載されている別記事に譲りますが、このキャンペーンでは毎週10億円ずつ予算が投入され、ユーザーはau PAYのコード決済を使った際の20%還元という形で恩恵を受けることができます。少々息切れ気味で上限額の制限がキツくなってきている「何とかPay」のキャンペーンとは異なり、1ユーザーあたりの還元上限は第1回が3週合計で3万円。第2回も3週合計で3万円、第3回は1週分で1万円と、総額7万円までポイント還元が受けられます。

額こそ総額70億円ではありますが、PayPayが立ち上げ時に投入して話題を集めた初回の「100億円あげちゃうキャンペーン」をほうふつとさせる大盤ぶるまい。しかも対応店舗は楽天Payに相乗りしたこともあって、「3月には100万店舗ぐらいでご利用いただけるようになる見込み」(KDDI 東海林崇専務)と、決済インフラとしてもかなり広がりつつあります。1週間ごとに10億円ですが、月曜日にその週の予算が尽きてしまうのでは......と心配になるほどで、集客効果は絶大になりそうです。

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▲2月10日から3月23日までの毎週月曜日に、10億円が投入される

折しも、大手キャリアは電気通信事業法の改正によって大幅なキャッシュバックが禁止され、販促のためのコストが浮きつつあります。たっぷり残った原資をau PAYに投入し、金融サービスを一気に強化したという構図も見え隠れします。

その意味では、やはりキャッシュリッチなキャリアの提供する決済サービスは、非常に強力だと言わざるをえません。KDDIとしては、ここからauユーザーの獲得につなげる副次的な狙いもあるようです。

もっとも、金融やフィンテックはKDDIが本腰を入れている分野。KDDIフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦社長が、『(auの通信契約がなくても)金融サービスだけを使ってもらえればいいです』と語るほど、キャリアフリーのサービスを志向しています。

勝木氏が金融サービスを束ねるauフィナンシャルホールディングスの社長だからということはありますが、金融サービスは金融サービスとして成長させていくことが視野に入っているようです。

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▲オープンに金融サービスを伸ばしていきたいとしたKDDIフィナンシャルホールディングスの勝木社長

であれば、傘下の金融企業各社に「au」の名前を冠する必要はなかったのでは......と思えてきます。勝木氏も「チャレンジング」な取り組みだと認めていますが、一方で「乗り切らなければいけない」ことだとも語っています。

一例として挙げられたのがソニー銀行ですが、ソニー銀行はソニーグループではありますが、ソニーの製品を持つユーザー以外も利用しています。つまり、金融分野を通して、au自体をもっとオープンなブランドにしていていくという狙いがあるというわけです。70億円投入する大型キャンペーンも、その第一歩として注目しておきたいところです。
 
 

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