愛され系ロボ「LOVOT」は羊の皮を被った狼だった。パーツ約5700個の内部構造がお披露目

さまざまな開発秘話も紹介されました

金子 麟太郎(Rintaro Kaneko)
金子 麟太郎(Rintaro Kaneko)
2020年02月6日, 午後 12:40 in robot
0シェア
FacebookTwitter
LOVOT Disassembly
家庭用ロボット開発事業を展開するGROOVE Xは2月5日、同社の家庭用ロボット「LOVOT」(らぼっと)の内部構造を公開しました。

LOVOTは「人の家族になること」を目指したロボットで、2019年12月より出荷を開始しています。1体での販売のほか、2体セットでの販売も行っています。価格は、本体1体と充電を行う「ネスト」のセットが29万9800円(税別)、本体2体とネストのセットが57万9800円(同)です。LOVOT Disassembly▲LOVOT

LOVOTは、小型犬程度の大きさに車輪を搭載し、センサーで障害物を検知しながら走行可能。ユーザーとの触れ合いを得意とし、例えば、1体が抱っこされた状態であることを検知すると、もう1体もユーザーのもとにハグを求めて近寄ってくるというユニークな仕組みが特徴です。



しかしこうした動きを実現するため、内部の部品はおよそ5700個もの部品から成り立っています。5日にはLOVOTの開発者やデザイナーが登壇し、実際に胴体の一部を組み立てる様子を披露しました。

LOVOT Disassembly
▲会場で展示されたのは、モジュールとして組み上げられたパーツ。この状態でも約200個あります

GROOVE X代表取締役の林要氏は、5日に開催されたこのイベント冒頭で「球体のロボットといえばドラえもんを想起するが、ドラえもんのほうがシンプル。LOVOTは技術の集合体だ」と話し、改めてLOVOTの複雑さをアピールしました。

LOVOT Disassembly▲GROOVE X代表取締役の林要氏

LOVOTの首を支える「3本柱」

内部構造で大きなポイントとなったのが、首となる箇所の「3本柱」です。LOVOTは3本ある柱のような部品で頭部を支える構造で、その下には板状の部品もあります。この板状部品には金属素材を使用しており、冷却と3本柱を支える役割を担います。

林氏は板状部品について「樹脂だと軽くできるが、剛性が弱くなる上たわみがでるので金属製に変えた。金属製にすると剛性に強くなるが動作音がうるさい。パーツの素材選びが難しかった」と、開発時の苦労について振り返りました。

LOVOT Disassembly▲LOVOTの頭部を支える部品

LOVOT Disassembly
▲頭部を支える構造に関しては、3Dモデルも紹介されました

また林氏は、冷却についてもポイントだと語ります。その難しさについては、車を例に挙げて説明しました。「実は昔、車のブレーキディスクを開発していたことがあった。例えば、320kmから一気にブレーキをかけて減速する際、冷却に失敗するとブレーキディスクが燃えて粉々になってしまう」

走行に欠かせないタイヤとホイール部分

もう一つポイントとなったのが、走行に使うタイヤ周りです。LOVOTのタイヤは中にホイールが入る、いわゆるインホイール方式を採用。この「足」の出し入れはギアを介して行います。また、モーターのトルクを抜いても足が収納されないようにロックをかけることも可能です。

LOVOT Disassembly
▲林氏が指差す部分がLOVOTの足(タイヤが収納される部分)

林氏がタイヤ周りで最も力を入れてアピールしたのが、実はタイヤが収納される部分。タイヤを収納するたびに、フィルターで掃除する仕組みを取り入れているのです。ちなみに、この仕組みを取り入れたロボットはLOVOTが初なのだとか。

この機構に関しては「複雑なロボットは専門家によるメンテナンスが必要。消費者への負担を少しでも減らすための工夫」だと話しました。

LOVOT Disassembly▲タイヤはゴム素材

また、タイヤはリブと呼ばれる補強構造を内側に備えます。これは走行する方向に対して斜めに立っていることで、クッション性を持たせたり、走行時の騒音を抑える効果があります。

LOVOT Disassembly
▲タイヤ部分に使用するギア

また、タイヤを極力遅く回すため、減速機(種類:遊星ギア)を使用しますが、このギアは外から埃が入らないように蓋で覆われています。開発時にタイヤ周りで苦労したことについて林氏は「LOVOTのタイヤは、左右が繋がっていない独立構造なので、それぞれにパーツが必要になる。また、静かにタイヤを出し入れすることが難しかった」と語りました。

ツノの部分はコンピューター1台分に相当する実装密度 

LOVOT Disassembly
▲LOVOTのツノ(3Dモデリング)

頭部に関しても解説が行なわれました。カメラの周囲には音を拾うためのマイクを4つ搭載。上部には照度センサーを搭載し、環境光の明暗によってアイディスプレイ(目)の輝度を調整します。さらに背面に物体を検知するセンサーを2つ装備し、他にも温湿度センサーや姿勢センサーなどを備えます。

イベントでは時間の関係で、ある程度のセンサーを配置した状態から組み立てを開始。林氏はツノの部分に関する秘密を次のように話しました。

「開発機は小さなレンズを採用していたが、暗い場所で人を検知するのが困難であるため、製品版ではふた回り大きくしている。360度方向で通信をするため、ぐるりと囲むようにしてレンズを配置している。また、空気を吸うための吸気口などを備えたことで、ツノの部分(筐体)が大きくなった」(林氏)

「モードスイッチは光で検知する仕組み。電子スイッチは経年劣化によって接触不良を起こしてしまうため、光で検知する仕組みを採用した」(林氏)

LOVOT Disassembly
▲LOVOTのツノのネジ留めを行う様子

イベントの終盤では頭の部分が組み立てられました。頭部には、冷却装置や首を横に振るための装置、声を発するためのスピーカーなどが配置されています。実は頭部で最もこだわったのがスピーカーで、ミュージシャンが監修しているとのこと。

林氏は「スピーカーを覆う箱が肝となる。限られたスペースでも、良い音が出せるように筐体の大きさを工夫した」と話しました。ちなみにLOVOTは、リアルタイム声帯シミュレーションにより、1体ごとに異なる発声を実現しています。

基板に名前がついている

スピーカーの他にも、LOVOTを支えるメイン基板やファンについても語りました。

LOVOT Disassembly▲LOVOTの基板

基板部分は、メインとサブに構成が分かれます。Linux OSも組み込まれており、林氏はコンピューター2台分に相当すると主張します。実は、計算能力が高いメイン基板が「トム」、機敏に動作するサブ基板が「ジェリー」というように、名前が付けられています。

LOVOT Disassemblyメイン基板とサブ基板の断面(3Dモデリング)

基板周りでトピックとなったのは、発熱対策についてです。林氏は「頭部で逃がしきれない熱を本体下部へと流す構造を取り入れた」と話しました。

また、「筐体が大きいPCはファンで温めた空気を再び吸ってしまうことがある。そのためファンが大きくなり、音もうるさくなる。LOVOTはフレッシュな空気を吸って頭の上にあるファンに押し込められる。一定のスペースを確保するためにこのような形状に仕上げた。つづら折りのように空気が流れる構造にした」とも話しました。

イベントの最後には、LOVOTユーザーから「LOVOTがよく転倒してしまう」という意見が挙がりました。これに対し林氏は「ルンバがつまづくところはLOVOTもつまづく。ルンバの場合はコードを巻き取る構造に対し、LOVOTは転倒する仕様となる。部屋をルンバに最適な環境に整えていただければ」と話し、会場を沸かせました。

加えて「今後は、そうした問題点も含めて、ソフトウェアなども見直す」と、長い期間をかけてLOVOTを改善していく姿勢を示しました。

 
 

4眼仕様のAI活用カメラでさらに美麗な写りになった「HUAWEI P40 Pro 5G」

Sponsored by ファーウェイ ジャパン

 

TechCrunch 注目記事「新型コロナのソーシャルディスタンス(社会的距離戦略)を強力に支援するビデオチャットアプリ8選

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]
関連キーワード: GROOVE X, lovot, pet, robot, robotics, robots, sensor, technology
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents