ウェブ公開画像30億枚で鍛えた顔認識AIの開発企業、FacebookやGoogleらから収集中止と削除の要請相次ぐ

事件解決に使われるもプライバシー保護に懸念あり

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi
2020年02月7日, 午後 12:30 in Internet
134シェア
David Malan via Getty Images

Cleatview AIと称するスタートアップが、FacebookやYouTube、個人間送金アプリVenmoをはじめ就職情報サイト、ニュースサイトなど数百万のウェブサイトからで公開されている画像を収集して顔認識AIを開発していることが物議を醸しています。

冒頭に挙げたメジャーなウェブサイトはいずれもその利用ポリシーにおいてアップロードされたユーザーの写真画像の2次使用を認めていません。しかしClearviewはそれら公開スペースにある30億以上の画像を収集して強化した顔認識AIを開発し、すでに全米の600をこえる警察や保安官事務所などにその顔認識データベースを提供したと述べています。Clearviewは各種サービスのユーザーへの通知や同意なしに個人の生体情報となる画像を取得しており、それを使って顔認識DBを構築することはその画像に写る人々のプライバシーや人権を侵害している可能性があります。

Clearview創業者Hoan Ton-That氏にNew York Timesがインタビューし1月18日に伝えた記事では、インタビュアーが未公開のモバイルアプリを使用して自撮りを撮影したところ、本人も記憶していないものを含むおよそ10年前までの自身の写真が、DBからたくさん見つかったとされます。さらに手で顔の下半分を覆った写真を使って検索しても7枚の正しい写真が返されたとのこと。たとえば調査会社がこのDBを利用すれば、街行く人をカメラで撮影するだけで本人に知られずに身元を特定される可能性が(理屈としては)あります。

またこの記事では、このDBの検出精度が75%だと述べており、法執行機関が使用した際に誤認逮捕が発生する可能性もゼロでは無さそうです。

New York Timesの記事は反響を呼び、まずTwitterはClearview AIに対し開発者向けのポリシー違反を指摘、画像収集の中止とTwitterから収集した画像の削除を要請しました。またニュージャージー州の司法長官も同様の書簡をCrearviewに送付、イリノイ州では個人がClearviewを相手取って訴訟を起こしこれが集団訴訟へと発展する気配を見せています。

やや遅れて、GoogleはYouTubeとともに「YouTubeは利用規約で、個人を特定する目的でのデータの収集を明示的に禁止している」として、YouTube動画から顔認識DB用に映像を収集するのをやめるよう求め、Venmo、LinkedInもこれに続きました。

そして、この動きに追随する最新の企業となったのがFacebookです。Facebookは今週、やはりポリシー違反を理由として、Clearviewに対しFacebookおよびInstagramからのデータの取得をやめ、取得済みのデータを削除するよう要求する通知をしました。Facebookの動きが他より遅れた理由は、Clreaviewに対し詳細な情報を請求しポリシーの明確化をしようとしたからだとCBS Newsは伝えています。またClearviewにはFacebook役員であるピーター・ティール氏が初期の投資家として関わっていたこともFacebookを慎重にさせる理由のひとつかもしれません。

一方でHoan Ton-That氏は、公に入手可能な情報に対する合衆国憲法修正第1条の権利を主張し、これらの要請に異議を唱えました。Ton-That氏は「Googleはあらゆるウェブサイトから情報を引き出しており、問題とされているデータが公開されているものならGoogleの検索エンジンの中にもあり、我々の持つ情報の中にもあるかもしれない」と述べたとCBS Newsは伝えています。

ただ、Googleは「ウェブサイトの多くはGoogleのエンジンで検索されることを望んでいるのであり、サイト管理者は完全なオプトアウトオプションやサイト内のどの情報を検索結果に含めるかを自身で管理できる」と反論しています。

米国には顔認証技術の利用を規制する連邦法が存在しないことも、問題を複雑化させるひとつの要因かもしれません。


サンフランシスコ市など一部では顔認識技術の使用を禁止していますが、これも全面的に禁止してしまうとiPhoneのFace IDなどが使えないことから、のちに禁止内容はやや緩められました
 

広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

 

関連キーワード: AI, artificial intelligence, biometrics, Clearview, Clearview AI, face recognition, facebook, facial recognition, gear, Internet, politics, privacy, security
134シェア