中国政府、新型ウイルス感染者との「密接な接触」確認アプリを配布。国民監視のたまもの?

プライバシーどころではなさそう

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年02月12日, 午後 02:20 in alipay
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Sapphire via Getty Images

中国での新型コロナウイルスの感染拡大は今なお続いており、12日現在では中国国内の患者数が4万4000人を超え、死亡者数は1113人となりました(NHK報道)。

そんななか、中国政府がウイルス感染者、あるいは疑いがある人に「密着」していたかを確認できるアプリを配布しています。密着、すなわち近づきすぎて感染の可能性あると判定された人は、家から出ずに地元の保健当局に連絡することが推奨されています。英BBCによると、この「密着検出器」アプリは中国政府と中国電子科技集団(国有企業)が共同で開発し、保険および輸送当局のデータによりサポートされているものです。

要するに、中国政府が国民ひとりひとりの位置情報を、携帯電話を通じて監視および記録しているから可能となっているわけです。米9to5Macは、おそらくアプリは確認された感染者あるいは感染の疑いある人物のデータベースをチェックして、同時に同じ場所にいたかどうかを確認していると推測しています。

この「密着検出器」は、支払いサービスAlipayやSNSプラットフォームWeChatなどのアプリからQRコードを読み取り、スマートフォンで実行可能となるかたちです。新アプリに電話番号が登録されると、ユーザーは名前とID番号の入力を求められるとのことです。これらの手続きが済めば、最大3つまでのID番号のステータス(密着した状況にいたか)を確認できます。

中国政府のいう「密接な接触」とは、たとえその時点(ユーザーが接触したとき)には症状が見られなかったとしても、感染が確認、あるいは疑い、ないしは軽度な症状が出たことのある人物に、有効な保護手段なく近づいたことと定義されています。

さらに「密接な接触」と判定される関係性は次の通りです。
  • 密接に協力して働く人、同じ教室にいる人、または同じ家に住んでいる人
  • 医療スタッフ、家族、または患者とその介護者と密接に接触しているその他の人々
  • 飛行機、電車、その他の輸送手段で感染者と一緒にいた乗客と乗組員

たとえば客室乗務員と同様に、感染者の3列内にいるすべての乗客は「密接な接触」と見なされますが、その他の乗客は「一般的な」接触していると記録されるとのことです。またエアコン付きの列車については、同じ車両のすべての乗客と乗員は「密接な接触」と判定されると伝えられています。

日本の感覚で言えば、およそ携帯電話を持つ国民すべての移動を政府が見張っていることに恐ろしさを覚えそうですが、中国現地の専門家は、少なくともこの非常時においては、国内で物議を醸すものではないと示唆しています。

香港を拠点とする法律事務所の弁護士いわく「中国やアジア全域では、データ(個人情報)は鍵をかけるものとは見なされず、何かに活用するものです。透明性のあるやり方であれば、必要に応じて同意されます」とのことです。

さらに「中国の観点から見ると、人々にとって本当に役立つサービスです。これは強力な道具であり、良い目的で使われたデータの本当の力を示すものなのです」とも付け加えています。

中国政府が推し進める社会信用システム、すなわち「国民の信用度の点数化」も、現地では鉄道や航空機の使用を制限するなど、投獄にいたらない手段で警告を与える方法として高評価されているとの声もあります。そうした価値観は民主主義諸国からはかけ離れている感もありますが、少なくとも今回のように命に関わる事態での「個人情報の活用」は、歓迎されこそすれ批判どころではないのかもしれません。
 
 

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