伝説的F1デザイナーが、1人乗り超小型EVを発表 自動運転のプラットフォームに最適

ガルウイングのシングルシーター

Hirokazu Kusakabe
Hirokazu Kusakabe
2020年02月12日, 午後 02:59 in Transportation
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GMD MOTIV元F1マシンのデザイナーで、伝説的スーパーカーの生みの親としても知られるゴードン・マレー氏が、新しいクルマを発表しました。といっても、一部の自動車マニアが期待していたようなものとは、ちょっと違うかもしれません。

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南アフリカ生まれのマレー氏は、1980年代にブラバムやマクラーレン・チームで数々のF1マシンを設計し、ネルソン・ピケやアイルトン・セナといったドライバーを世界選手権チャンピオンに導きました。1990年代には公道用スーパーカー「マクラーレンF1」を作り上げ、市販車最高速度記録を樹立。このクルマは生産がとっくに終了した今も伝説として語り継がれ、当時の新車価格を遙かに超える高値で取引されています。

しかし、その後に設立した自身のデザイン・スタジオでは、都市部向け小型コミューターの開発に力を注いでおり、2013年の東京モーターショーにはヤマハと組んで「MOTIV」と呼ばれる小型車を出展しています。

GMD MOTIV

2月11〜12日に英国ロンドンで開催された次世代モビリティの展示会「MOVE 2020」で、ゴードン・マレー・デザイン(GMD)が発表したのは、その発展型と言える電動の超小型車で、自動運転のプラットフォームとして考えられています。

ヤマハが製作したコンセプトカーは1000ccのエンジンまたは電気モーターの搭載を想定した2人乗りでしたが、ロンドンで公開された新型MOTIV(ちなみにこの名称はGMDが商標登録済み)は、1人乗りの超小型電気自動車。欧州で4輪マイクロカーに相当するクワドサイクルというカテゴリーに属します。

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車体はゴードン・マレーが考案した「iStream」という独自の設計技術に基づき、押し出しアルミニウム材によるシャシーと、複合素材製のパネルを組み合わせたもの。サスペンションもアルミ製です。非常に軽量で剛性が高く、しかもシンプルな構造であるため、一般的な乗用車に比べて生産に要するコストと時間がはるかに小さいという特長があります。さらに、全長2537mm × 全幅1310mm × 全高1628mmときわめて小さなサイズでありながら、欧州の乗用車衝突安全基準を満たしているとのこと。車両重量はバッテリー別で450kg以下に抑えられています。

パワーユニットの仕様は使用目的に合わせて様々に変更可能ですが、MOVE 2020に展示された試作車は、最高出力20kW(27ps)と最大トルク46.4Nmを発生する電動モーター1基と、容量17.3kWhの液冷バッテリーを搭載。1度の充電で最長100kmの距離を走行できます。最高速度は65km/hに留まりますが、シティ・コミューターという性格を考えれば十分でしょう。バッテリーは残量20%から80%まで、40分で急速充電が可能です。

GMD MOTIV

このパワーユニットは、電動化やハイブリッド化の技術に長けたデルタ・モータースポーツが供給。ステアリングやブレーキも、機械式ではなくバイ・ワイヤ、つまり電気信号を送ってモーターで作動させる仕組みなので、コンパクトかつ軽量に収まります。もちろん、この方式は自動運転にも適しています。

ただし、自動運転機能の搭載については、専門に開発している企業に委ねるとされており、あくまでもGMDはそのためのプラットフォームを提供するのみ。つまり、パートナーを募集中というわけです。GMDでは「用途や法規制にもよるが、2年から5年で量産化が可能」としています。

GMD MOTIV

内外装のデザインは、ヴィジュアル・イメージやユーザビリティも含め、itMovesという先進モビリティ専門の会社が担当しました。エクステリアはシティ・フレンドリー、つまり人々の意識や都市の景観に馴染みやすいように。インテリアは乗り降りが容易で、快適な空間を目指したとのこと。自動運転が前提ですから、車内は1人でリラックスしたり、あるいは仕事したり、個人的なスペースとして使うように考えられています。ガルウイング式ドアは、かつてマレー氏が作り上げたスーパーカーへのオマージュ、ではなく、雨の日にも濡れずに乗り降りするためです。

1人乗りと割り切った理由については、英国では80%以上のクルマが1人で走っており、欧州でも平均乗車人数は1.1〜1.2人に過ぎないという調査結果を挙げています。ただし、このプラットフォーム自体はシートの増設にも対応でき、多人数乗車や、車椅子の乗車も可能になると、GMDは述べています。また、車内レイアウトを変更すれば、最大1100リッターの荷室を用意することができるので、近距離の配達業務にも最適としています。

GMD MOTIV

そもそも、F1やスーパーカーの世界に身を置いていたマレー氏が、小型モビリティの開発に乗り出したきっかけは、ロンドンで渋滞にはまったとき、「自動車会社は、どうしてもっと小さなクルマを積極的に作ろうとしないのだろう」と考えたからだそうです。マレー氏はその理由について、超小型車も5人乗れるハッチバック車も、生産コストはそれほど変わらないことに気付きました。それでは超小型車の方が儲からないことは、火を見るより明らかです。ならば、生産コストが一般的な乗用車よりずっと安い超小型車を考案するしかない、とマレー氏は思い立ったというわけです。

とはいえ、ヤマハを含め、その商業展開に乗り出す企業は、今のところなかなか現れません。しかし、個人が購入・所有するクルマとして売るのではなく、自動運転による交通サービスとして運用する道を探れば、マレー氏の理想はぐっと実現に近づくかもしれません。どなたか、伝説的F1デザイナーと一緒に、世界の交通を変えてみませんか?


 

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