アナログ針とE-Inkのフォッシル「Hybrid HR」は想像以上に心地よいスマートウォッチだった(本田雅一)

電子ペーパーを活用したハイブリッドなスマートウォッチ

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年02月15日, 午前 10:00 in wearables
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Hybridhrフォッシルの「Hybrid HR」を試用して感じたのは、想像以上にスマートウォッチでしたが、想像以上に"腕時計"でもあったということ。これは矛盾しているように思えるかもしれませんが、筆者のボク的には、"Apple Watch以外の選択肢"としてwear OS搭載モデルよりも現実的な製品に思えます。

OLEDディスプレイを搭載した高機能スマートウォッチとしては、Apple Watchがグローバルで圧倒的な売れ行きを示しています。その完成度の高さは圧倒的なのですが、一方で従来の腕時計から離れられない人や、充電頻度がほぼ毎日かつ、組み合わせて使えるスマートフォンがiPhoneのみといった制約から見送っている方も多いかもしれません。

"Apple Watchほどの機能性は必要ない"、けれどもスマートフォンに集まる情報は腕時計に届いて欲しい。そんなニーズに応えてくれるのが「Hybrid HR」です。電子ペーパーを用いることで、細かな情報を伝えられるディスプレイとアナログ指針の見やすさ。それに一度充電すると2週間ぐらいは無充電で使えるスマートウォッチが登場しました。動画レビューもしていますので合わせてどうぞ。



"アナログ指針"と"ディスプレイ表示"のハイブリッド構造

フォッシルという米国発祥の腕時計メーカーは、多種多様なデザインを大量に作り分けるカジュアルなファッションウォッチの草分けとして、自社ブランドならず多数のファッションブランドにオリジナルウォッチを提供してきた会社です。

たとえばディーゼル、スカーゲン、マイケルコース、エンポリオ・アルマーニなどの腕時計は、どれもフォッシルがデザイン、生産などを行っています。

つまり、ガチの腕時計メーカーなのですが(バッグなどファッション小物も扱っています)、スマートフォンの普及など"時を知る道具"が多様化する中で、カジュアルな腕時計市場が縮小。そこでスマートウォッチの開発を進め、またウェアラブルデバイスメーカー「Misfit(ミスフィット)」を買収し、ウェアラブル市場に参入した経緯があります。

そんなフォッシルは、グーグルのwear OS、SoCとしてはクアルコムを用いた製品を「タッチディスプレイスマートウォッチ」と称しており、昨年秋に第5世代のハードウェアを投入しています。

一方で同社が「スマート・ハイブリッド・ウォッチ」と称してきたのが、ミスフィットの技術と同社の時計技術を組み合わせたものでした。こちらも本誌の中で何度か登場していますから、ご存知の方も多いでしょう。

腕時計然としたデザインは、腕時計にファッション性や視認性、それに電池持続時間を求める層に支持されていましたが、スマートウォッチにもっとも求められる通知機能が弱いことは否めませんでした。

「メールが届いている」「電話がかかってきた」といった情報は、バイブレーションと指針でわかるものの、その内容までは知ることができないため、何かお知らせがあるとはわかっても、その情報がどれぐらい重要なのかを取捨選択する余地がなかったのです。

Hybridhr

しかし、Hybrid HRでは、電子ペーパーを用いることで、そうした通知機能の弱さを補いながら、しかし断固として腕時計としてのルックスに拘っています。

アナログ指針の腕時計が持つファッション性やバッテリ持続性や視認性、そしてスマートウォッチの利便性とのバランスを両立させた商品としての建て付けは、腕時計業界を生き抜いてきた同社ならではのものです。

電子ペーパーを盤面ディスプレイに採用

Hybrid HRの長所は、電子ペーパーをディスプレイとして採用したことに集約されます。盤面のベース部分に配置し、そこに目盛りやベゼルのレイヤーを重ねた"腕時計然"とした構造は、パッと見は普通の腕時計のようです。

現在はメンズ、レディース合わせて6モデルの展開ですが、すでに同社直販サイトを見る限りダイヤル風ベゼルを配した、スポーティーなラインも展開される予定です。

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電子ペーパーの長所を活かして、盤面の雰囲気をガラリと変えてしまうこともでき、そこにベゼルを含めたケース全体のデザインを組み合わせることで、多様なファッション性が得られそうですね。

これまでのパターンで言えば、ディーゼルやスカーゲンといったブランドの製品が、Hybrid HRと同じシステムを使って登場する可能性がありますから、そちらにも期待したいところです。

いずれにしろ、本機の価値は電子ペーパーという、電力消費がほとんどないディスプレイを備えるようになったことに尽きます。

スマートウォッチの基本機能である"通知"は、OLEDディスプレイを搭載するモデルなみにリッチ。誰からの連絡なのか、あるいはメッセージ内容は? といったところまで、キッチリと表示してくれ、シャープな感覚のバイブレーションと組み合わせて、確実に情報を伝えてくれます。

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さらに三つのボタンを駆使したインタラクティブな操作により、スマートウォッチに求められる多くの機能を収めています。

着信した電話やSMS、SNSメッセージなどは、スマートフォン側の設定と連動し、バイブレーションで通知するとともに電子ペーパー上に表示し、繋がっているスマートフォンの呼び出し、時刻の自動調整などももちろん利用できます。

睡眠トラッキングとワークアウト計測も

また、心拍計を備えており、常時、定期的な心拍計測を行っています。ランニングやエリプティカル(クロストレーナー)などのワークアウト時には、計測頻度を上げてモニターしますが、通常時でも計測。より正確に活動の様子を記録します。これは睡眠時も同じ。睡眠の自動計測機能で、睡眠時の眠りの深さと同時に心拍数も記録します。

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実際の計測結果を見ると、睡眠計測に関しては睡眠開始の検出が遅かったり(実際の眠りの1時間後ぐらいに開始するなど)、浅い眠りと深い眠りしか区別しなかったりと、最近のスポーツバンドに較べると簡素な印象ですが、概ね問題はないでしょう。

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ちなみにランニング時にも使ってみましたが、実際の走行距離よりも少し長めの計測結果になり、それに伴って消費カロリーも多めに記録されます。もっとも、こういしたワークアウトをどの程度やったのかを振り返ることができれば充分ということならば、さほどこだわる必要もないでしょう。

ランニングなどのワークアウトで、もっと細かな計測、記録をしたいのであれば、やはりGarminやPolarといったスポーツ計測のウェアラブルに特化したメーカーの製品をオススメしますが、毎日装着する腕時計として考えた時、そこまでスポーツには特化していなくても構わないよというならば、やはりこの製品は本命だと思います。

ダブルアームのシンプルな指針による"時計としての視認性"と、スマートウォッチとしての機能性の両立は、Apple Watchやwear OS搭載モデルなど"電子デバイス寄り"の製品に馴染めない人にとっては程よい使い心地です。

多くを望むのではなく必要充分を得る

地図機能とかは不要だから、GPSも搭載してランニングやウォーキング時だけに計測してくれればいいのになぁ......なんて要望がきっと出てくるでしょう。電子ペーパーとアナログ指針により、基本機能の電力消費を抑えている本機の特徴を活しつつ、GPSも装備することは可能ではあると思いますから、今後の進化に期待します。

とはいえ、本機の機能は必要充分です。通知を受けても、受けた通知に対して返信することができないじゃない、と思うかもしれませんが、この製品の役割は"スマホを手に取って何かする必要があるかどうか"という情報をユーザーに知らせるもの、と考えるべきなのです。

つまり返信したいのであれば、ユーザーはスマートフォンを取り出して返信すればいい。現在のウェアラブルデバイスが持つ能力からすると、その程度のユルい関係の方がいいと思うひとも少なくないのではないでしょうか?

時を知り、必要な通知を受けとり、その概要を電子ペーパーで知ることができれば、スマートウォッチの役割の大多数は満たしてくれます。

腕時計然としたフェイスや電子ペーパーならではの落ち着いた風合い、レイヤー化された盤面デザインは、まさに"正常進化型腕時計"。2週間超持続するとされるそのバッテリ駆動時間なども考慮するならば、あえてこの製品を積極的に選ぶ理由もあるでしょう。

フォッシル自身がこの製品を進化させていくとともに、彼らが契約するファッションブランドから、多様なバリエーションが登場することにも期待したいですね。ファッションと機能性の融合にこそ、「Hybrid HR」の良さを活かせるスペースがあると思います。
 

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