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シャープが日本初の商用5Gスマートフォン「AQUOS R5G」を発表しました。日本以外の国では主要国で5Gサービスがすでに始まっており、海外の展示会や発表会では「5G」の表記を見ることもすっかり当たり前になっています。5Gで出遅れた日本も、いよいよ5G時代を迎え各メーカーからはこれから続々と5Gスマートフォンが登場することでしょう。

スマートフォンの技術はカメラならファーウェイ、ディスプレイならサムスンといったように、海外勢が次々と新しい開発を行っています。しかしシャープのAQUOS R5Gは5Gに対応するだけではなく8K録画にも対応することで、業界でもトップクラスのカメラ性能を持つスマートフォンとして注目を集めそうです。

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すでにサムスンやファーウェイ、シャオミ、OPPOなど海外勢は5Gスマートフォンの初代モデルを約1年前からリリースしており、現在は第二世代の5Gスマートフォンを投入しています。シャープはそれらに対して大きく出遅れました。しかし各社の5Gスマートフォンもまだ「高速通信」以外に差別化できる機能を搭載しておらず、AQUOS R5Gの8K対応は他社に勝っています。

ちなみにシャープは5Gの特許取得数で世界のトップ10に入っており、実は高い技術力を持っています。そしてTVや映像市場で8K関連の開発で世界をリードしているのは周知の通り。8K TVや8Kコンテンツは現時点ではまだプロユースなど一部でしか使われていませんが、AQUOS R5Gを使えば誰もが簡単に8K映像を撮影でき、5G回線で即座にアップロードできるようになるわけです。
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さて8K録画対応の5Gスマートフォンは、AQUOS R5G発表の1週間前にサムスンが「Galaxy S20」シリーズを発表しています。さらにはその直後にシャオミが中国で「Mi 10」「Mi 10 Pro」を発表、こちらも5Gに対応し8K録画も可能です。どうやら2020年の5Gスマートフォンは「5G+8K」を満たすことが最低スペックとなっていくかもしれません。

しかし8Kのビデオが撮れるからといって、そのままでは誰もが使いやすいコンテンツが作れるとは言い切れません。8Kではファイルサイズは4Kよりも大きくなりますし、8Kの再生環境もまだ貧弱です。スマートフォンを8K TVに接続するにもHDMIの新しい規格「2.1」対応のケーブルの登場を待たなくてはなりません。5G回線でアップロードはより高速にできますが、8K TVの普及はまだこれからです。

そこでAQUOS R5Gでは、8Kで撮影するメリットを、AIの活用でユーザーに浸透させようとしています。その1つが「フォーカス再生」。人間の目は風景などを見るとき、遠くにあるものが気になれば無意識にその部分だけを脳内で拡大して見ています。AQUOS R5Gは8Kカメラで録画したビデオを、AIが自動判別して子供や動物などが映っていればその部分だけを拡大して表示してくれます。つまり全体を録画しておき、注目したい被写体部分だけを拡大して再生しても、元々8Kで録画しているため劣化を抑えて再生できるわけです。
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これに対してサムスンの8K録画機能は8Kビデオからワンタッチでの写真キャプチャや、8Kビデオをシェアしやすいように簡単に解像度を落としてショートクリップとして保存できる機能を搭載しています。超高解像度な8Kで動画を撮影しておくことで、あとから加工する際に劣化を気にしなくていいわけです。

シャープとサムスンの8K動画の応用機能は、今後他のメーカーでも標準的なものになると思われます。8Kの動画撮影機能は4K時代にできなかったコンテンツを生み出すことができるようになるでしょう。

さて5Gが各国で始まっているとはいえ、5Gのキラーサービス、キラーコンテンツはまだ限定的です。シャープは今後xRの展開などを考えているようですが、現時点で5Gの恩恵を受けるのは動画のストリーミング視聴や動画のアップロードなど、動画コンテンツがらみでしょう。シャープはその動画を表示するディスプレイに関しても優れた技術を持っています。すなわち5Gスマートフォンの開発で、実はシャープは高い競争力を持っているわけです。
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現在、すでに海外では30機種以上もの5Gスマートフォンが販売されています。しかし国ごとに販売されている製品は数機種から5機種程度。中国だけが特殊で10機種程度が出ていますが、それでも数はまだあまり多くありません。

AQUOS R5Gの日本以外への展開はまだ不明ですが、8K動画を武器にすれば海外の5Gキャリアに売り込みをかけることもできるかもしれません。事実シャオミは昨年、5Gスマートフォンを全く実績のないスイスのキャリアから販売することに成功しています。

また海外量販店の家電売り場でAQUOSの8K TVとAQUOS R5Gをセットで展示することも可能となり、8K TVの拡販やプロモーションも強化できます。シャープのTV事業の今後の展開にもAQUOS R5Gは重要な役割を果たしそうです。

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5Gスマートフォン市場はまだ始まったばかりであり、2020年は本格的な普及が始まる年になります。ガートナーの報告では、2020年の5Gスマートフォンの販売台数は2億2100万台が見込まれ、これは全スマートフォン販売台数の12%となります。5G普及の勢いに乗って、シャープもぜひ5Gスマートフォンを拡販してほしいものです。