株式会社電子技販が、人気アニメ『装甲騎兵ボトムズ』の公式ライセンスを得たiPhone 11/Pro/Pro Max用ケースを発売しました。同アニメを代表するロボット『スコープドッグ』のイラストをフィーチャーした、同社ならではの発光LED付きPCB(プリント基板)アートデザインを採用します。
既に発売中で、価格はiPhone 11 Pro用が1万5000円(税別)、iPhone 11用とPro Max用が1万6000円(同)です。
「ボトムズデザインのiPhone 11系ケース」と聞いて多くの方が連想するであろう、「iPhone 11側のカメラ(レンズ)部をターレットカメラ部に当てはめた」デザインではありませんが、PCB(プリント基板)アートとして精密に描かれたスコープドッグとタイトルロゴなどは非常に高い完成度。劇中の世界感とも親和性の高さを感じさせます。
あえて表現するならば、「ぱっと見ではコレジャナイ感があるものの、見ているとそれ以上にカッコいい」系のデザインです。
▲斜めから見たところ。右上付近にあるICはこのように出っ張っています
また、メーカー側のプレスリリースでは「スマホ/ICカードでもキリコと地獄に付き合ってもらう。 電話や改札・決済でターレットの熱い視線が突き刺さる」との次回予告風の一文があり、開発に際しての本気度が伺えます。
▲こちらはiPhone 11用。基本的なデザインは共通です
メーカーである電子技販は、本製品の他にもLED付きのPCBアートをあしらったスマートフォンケースである『FLASH』シリーズを手がけてきた企業。本誌でも、iPhone 6/6s系や、XS/XR世代のスター・ウォーズデザイン製品を紹介しています。
参考記事:
STAR WARS 基板 iPhoneケース、無電源でLEDが点滅する様子。基板実装の電子技販が開発(2015年11月)
基板アートで描かれた「STAR WARS」の世界。iPhone XS Max/XRケースが登場(2018年11月)
STAR WARS 基板 iPhoneケース、無電源でLEDが点滅する様子。基板実装の電子技販が開発(2015年11月)
基板アートで描かれた「STAR WARS」の世界。iPhone XS Max/XRケースが登場(2018年11月)
本モデルを含めたFLASHシリーズの技術的な特徴は、背面LEDを電源なしで発光させている点。iPhone自身が発する電波を電力に変換し、昇圧して電源としています。そのため通常は消灯しており、強い電波を発した時のみに光ります。
広義的な原理としては、3G時代の携帯電話で一世を風靡した"光り物"アクセサリに近いのですが、昨今の携帯電話では技術的難度が高くなっています(合わせて電子技販はiPhoneが発する電波でLEDが光る回路の特許を登録しています)。
なお、メーカー側のアドバイスとしては「情報量の多いグーグルマップやアプリを使用した時や、エレベータや地下街でiPhoneが位置情報を探している時などに光りやすい」とのこと。
一方でこうした電源構造のためLEDの個数は多くできないのですが、本モデルではスコープドッグが「顔」に備えたターレットレンズのうち右側という、ベストな位置に赤色LEDを搭載。これ以上ない効果を出しています。
▲東京の鉄道路線図を模した『東京回路線図』での主要製造工程。一般の電子回路基板と同じく、多くの行程を経て作られます
PCBアート部は、実際にPCBとして使われる「FR-4」素材の電子基板に、電子部品をはんだ付けで実装。スコープドッグの全身をはじめとするイラストは、線幅0.1mmの配線パターンで緻密にデザイン。
レンズ図とコクピット図も配線パターンで描き、テキストは劇中に登場する「アストラギウス文字」で表記するなど、コラボ作品の世界感への配慮はFLASHシリーズならではのレベルを見せます。
なお、同じデザインを採用したICカードケースも同時発売。こちらの価格は1万1000円(税別)です。赤色LEDもiPhone 11用ケースと同じ位置に搭載しており、こちらは「改札のタッチやICカードでの決済時に光るのが特徴。
ICカードケースはFR-4素材の基板を表、中、裏用に3種製造し、それらをプレス接着してケース化した構造となっています。
▲外箱はシリーズ共通のギフトボックス仕様。プレゼントにも好適とのこと
このように本製品は、ボトムズの世界感をPCBアートという素材の上で最大限に活かした、電子技販のノウハウが活かされた一品。初見ではコレジャナイと感じた方も、じっくりとデザインを見ているうちに、その魅力に気付くはず。
ギミックや製造コストの高さもあってiPhone用ケースとしては高価ですが、公式ライセンス品+他にないコンセプトという点での魅力は(今回も)コスト以上と呼べるでしょう。