筆者が初めて使ったノートPCは、世界で初めてカラー液晶ディスプレイを搭載した日本電気の「PC-9801NC」。それから約29年の間に何台のノートPCを購入したかまったく覚えていませんが、実はNECのノートPCを自腹で購入したことがありません。ちょっと優等生すぎて、ずっと敬遠してきたんですよね(VAIOばっかり買ってました)。
しかし初めて「ヤバい、欲しい」と思ったのが、今回レビューするNEC PCの「LAVIE VEGA」です。なお、詳しいスペックについては既報をご覧ください。
▲本体天面
▲本体底面
▲ディスプレイ面
▲キーボード面
▲前面と背面
▲右側面と左側面
有機ELディスプレイが「グレート」
「LAVIE VEGA」はフォトグラファーをターゲットに据えた「クリエイターノートPC」。コンセプトが明確化されていることで、非常に訴求力の強いマシンに仕上がっています。まずディスプレイですが、上・中位モデルに15.6型4K有機ELディスプレイ(OLED)を採用。
表示した画像を見るだけでもそのグレートな画質は一目瞭然なのですが、色域を計測したところsRGBカバー率100%、AdobeRGBカバー率93.9%、DCI-P3カバー率99.8%という値が出ました。カラーキャリブレーションさえ実施すれば、広告クオリティーのクリエイティブワークにも活用できるディスプレイと言えます。
▲締まった黒、滑らかな階調、鮮やかな発色はOLEDならではです
▲実測したsRGBカバー率は100.0%、sRGB比は146.0%
▲実測したAdobeRGBカバー率は93.9%、AdobeRGB比は108.2%
▲実測したDCI-P3カバー率は99.8%、DCI-P3比は107.7%
▲視野角が広いのもOLEDのアドバンテージです
OLED搭載なのにバッテリー駆動時間10時間超え
画質面では文句なしのOLEDですが、消費電力が高いのが玉に瑕。しかしLAVIE VEGAは80.4Whという大容量のバッテリーを搭載することで、モバイルノートPCとして十分合格点を与えられる約10.2時間のバッテリー駆動時間を実現しています。
実際ディスプレイ輝度40%、バッテリー残量5%までという条件でバッテリーベンチマーク「BBench」を走らせてみましたが、「8時間52分11秒」動作しました。ディスプレイ輝度をもっと下げればカタログスペックは十分クリアできるでしょう。
輝度に関しては、個人的にはディスプレイ輝度は25%まで下げても実用的な視認性を確保できると感じました。
▲Battery reportコマンドで確認したところ、設計容量は80,400mWh、フル充電容量は82,650mWhと表示されました
80.4Whバッテリー搭載で2kg切り
こうした大容量バッテリーを搭載すればそれだけボディーが重くなることは避けられないわけですが、LAVIE VEGAは公称で約1.9kgの重量を実現しています。
しかも。貸出機を実測してみましたが、1.9kgどころか1819gしかありませんでした。これならば「約1.82kg」と書けばいいのに思いましたが、製造時の誤差を考慮して大きくマージンを確保しているのかもしれません。心配性ですね。
▲本体の実測重量は1819g
▲ACアダプターの実測重量は366.5g。USB Power Deliveryに対応しているので、サードパーティー製のACアダプターと組み合わせてもいいかもしれません。なお同梱のACアダプターの仕様は入力100-240V~1.6A、出力20V/4.75A、15V/3A、9V/3A、5V/3A、容量95Wです
クリエイティブ用途に活用できるマシンパワー
さらに代表的なベンチマークも測定してみました。結果は、主にCPU速度となる「CINEBENCH R20.060」のCPUスコアが2065 ptsで、「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアが981 cb。
ストレージでは「CrystalDiskMark 7.0.0」のシーケンシャルリード(Q8T1)が2266.80MB/s、シーケンシャルライトが541.34MB/s。ゲームでは「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」(1280×720ドット、軽量品質)のスコアが1312(動作困難)、「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」(1920×1080ドット、標準品質)のスコアが2412(普通)という結果でした。
貸出機ではハイパフォーマンスノートPC向けのHプロセッサー「Core i7-9750H」(6コア/12スレッド、2.60~4.50GHz)を搭載しているだけに、CPU性能は高いですね。LAVIE VEGAには「Lightroom」、「Lightroom Classic」、「Photoshop」を1年間利用できる「Adobe Creative Cloud フォトプラン」のライセンスキーが付属していますが、これだけのCPUパワーがあれば、これらのアプリでも快適に活用できるはずです。
ただし、FFXVベンチで見られるように、外部グラフィックス(GPU)を搭載していないので、最新の3Dゲームを動作させるのはちょっと厳しいですね。とは言え、少し前にリリースされた「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者」などであれば、解像度や画質などを調整すれば十分プレイできそうです。
▲CINEBENCH R20.060のCPUスコアは2065 pts
▲CINEBENCH R15.0のCPUスコアは981 cb
▲CrystalDiskMark 7.0.0のシーケンシャルリード(Q8T1)は2266.80MB/s、シーケンシャルライトは541.34MB/s
▲FINAL FANTASY XV BENCHMARK(1280×720ドット、軽量品質)のスコアは1312(動作困難)
▲ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク(1920×1080ドット、標準品質)のスコアは2412(普通)
▲室温21.4度の部屋で、CINEBENCH R20.060を実行中のキーボード面の最大温度は45.9度
▲底面の最大温度は45.3度。いずれも排気口付近です
プロキーでクリエイティブワークの効率を向上
そして個人的に超気に入ったのが、ショートカットキーを登録できる「プロキー」。ひんぱんに使うショートカットキーを登録しておけば、ワンプッシュでコマンドを実行可能です。
ただし残念ながらWord、Excel、PowerPoint、Lightroom Classic、Lightroomはそれぞれのアプリごとに異なるショートカットキーを登録できますが、それ以外のアプリは共通のショートカットを利用するという仕様です。
多くのアプリを使う人にとってはカスタマイズ性がやや物足りないので、アップデートで機能強化が図られることに期待しましょう。
▲プロキーは全部で5つ用意されています
▲プロキーにどのショートカットキーを割り当てるかは、「LAVIEかんたん設定」アプリから設定可能です
天面ガラスが「マーベラス」!
そして特筆したいのが、今回借用したLAVIE VEGAの最上位モデル「LV950/RAL」の天板です。ゴリラガラス6で天板をカバーした「プレミアムミラーガラス」天板仕様となっているのですが、まるで鏡のように反射するのですよ。
この天板は指紋もかなり目立つのでこまめな手入れが必要ですが、トップクラスのマーベラスな美しさを備えていることは間違いありません。
▲冒頭画像をご覧いただいた時点で......おわかりいただけただろうか?
▲撮影が超面倒くさいのですが、超美麗な天面なのです
改善してほしいところもありますが......
もちろん、改善を要望したい点がないわけではありません。例えばメモリーカードスロットがmicroSDのみ、Thunderbolt 3に対応しているポートが左側だけ、メモリーが最大16GB、キーボードバックライト非搭載などなどなど、細かな不満点はあります。
が、それ以上に魅力が勝るのがLAVIE VEGAです。
価格に関しても価格.comの初値が31万1080円だったのですが、なぜか2月25日に大幅に値が落ち、26万9800円という爆安価格で販売されています(2月26日時点)。
......というわけで、クリエイティブワークもこなせるモバイルノートPCを探している私が、いままさに購入を検討している一台なのです。悩むなあ。
Source: LAVIE VEGA (NEC PC)