ロンドンの5G速度はどれくらい?プリペイドの「5G SIM」で試してみた:山根博士のスマホよもやま話

データ無制限で1か月5500円、エリアはこれから拡大予定

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2020年03月2日, 午後 12:30 in 5g
84シェア


5GNRUK
日本でも3月から5Gサービスが始まります。ソニーから5G対応のXperia 1 II、シャープからAQUOS R5Gが発表になるなど、日本ではじまる5Gに注目や期待を寄せている人も多いでしょう。
5GNRUK
海外ではすでに多くの国で5Gサービスを展開しています。サービスインが落ち着いたころから、手軽に5Gが使えるサービスも出てきました。それはプリペイドSIMによる5Gの提供です。ヨーロッパでは数か国でプリペイドの5G SIMが提供されています。そこでロンドンへ飛んで5Gの電波を実際に拾ってみることにしました。

なおロンドンを選んだのは、以前筆者がロンドンのサムスンのフラッグシップストアでGalaxy Note10+ 5Gを買っていること、Vodafoneイギリスが5Gデータ定額プリペイドSIMを40ポンド/月(約5500円)で発売したこと、イギリスはプリペイドSIMの購入・利用にユーザー登録が不要ですぐに利用できること、などの理由です。お店でSIMを買えばすぐに5Gが使える、こんなに楽なことはありません。
5GNRUK
とはいえ2月19日にロンドンの携帯キャリアVodafoneのお店に行くと、「5GのプリペイドSIMは明日からだよ」と言われてしまいました。VodafoneのWEBではプリペイドは5Gが使えるという表記があったと思ったのですが、利用するには5Gの新しい料金プランが登場してからということのようです。試しにその場で買ったプリペイドSIMをGalaxy Note10+ 5Gにいれ、ネットで見つけた5Gエリアに行ってテストをしてみましたが5Gをうまくつかんでくれませんでした。

そこで翌週に改めてロンドンを訪問してプリペイドSIMを買いました。最初はヒースロー空港から空港特急「ヒースローエクスプレス」が到着するロンドンのパディントン(Paddington)駅にあるVodafoneのお店を訪問したのですが、5G対応のSIMは販売していないとのこと。本来はお店でSIM登録時に料金プランを確定させればいいだけのことと思うのですが、そもそも「旅行者が(高価な)5GのSIMフリースマートフォンを持ち込んで、(割高な)5G料金のプリペイドを使うはずがない」という店側の考えで売ってくれないのでしょうか。
5GNRUK
このあたりはかなり昔、たとえば3Gがはじまったころに「3G対応のSIMが買いたい」と言ってもお店の人は安価な2GのプリペイドSIMを頑なに勧めてきた、なんてころの経験を思い出させます。お店の人はよかれと思って提案してくるわけです。もしみなさんも5GのSIMフリースマートフォンを入手して今後海外へ行って現地でSIMを買うときは、「とにかく5GのSIMが欲しい」と力説すべきです。

ということで改めて街中のVodafoneのお店に行きました。場所はオックスフォードストリートのサムスンのフラッグシップストアの向かいの店舗です。「5GのプリペイドSIMありますか?」と聞くと「滞在は何日?」と聞いてきます。今回はバルセロナからの日帰りだったので1日ですが、1日だけのために高価なプリペイドSIMを買う客なんて普通はいませんから、正直なことは言わないほうがいいですね。

自分のGalaxy Note10+ 5Gを見せながら「5Gスマートフォンを持っているから試したいんだ」と伝えると、店員さんはすべてを察したようで「ならば細かい説明もいらないね、40ポンドです」とこちらのことを理解してくれた模様。5Gのスマートフォンを持っている客が「APNは?」などと聞くなんてことも無いのでしょう。
5GNRUK
VodafoneイギリスのプリペイドSIMの料金は、最低が10ポンド/月で9GB。なお月額制ですが翌月お金を先に払わなければ回線が止まります。継続利用しなければそのまま放置すれば自動消滅します。使わないに毎月料金が加算され、あとから請求されるなんてことはありません。5Gが利用できるのは30ポンド/月30GBまたは40ポンド/月データ無制限です。このうち40ポンドプランは4月8日前までのプロモーション料金です。
5GNRUK
さて5G対応のプリペイドSIMを買って、さっそくすぐに使い始めたいところですが「SIMがネットワークに登録される前数分まってね」とのこと。そこですぐそばのマクドナルドで休憩。しばらくしてアンテナ部分に4Gの表示が出て登録が完了。外に出てオックスフォードストリートを東方面に歩いていくと、トテナム・コート・ロード(Tottenham Court Road)駅の交差点でアンテナ部分に「5G」の表示がでてきました。黒い字に白い文字で「5G」、きっちりと5Gをつかんでいる証拠です。5GNRUK
5GNRUK
とはいえ少し歩くと4Gの表記になってしまったりと、このあたりの電波状況はあまりよくないようです。Vodafoneイギリスのネットワークマップは非公式なものがあり、そちらをみるとここは5Gの圏内なのですが、公式でなければあまりあてにしてはいけないのかも。なお公式のマップは地図表示ではなく、場所(郵便番号)を入れるとその付近の状態がわかるというもので、使い勝手は今一つです。

Vodafoneイギリス電波状況非公式マップ
https://www.nperf.com/en/map/GB/2643741.City-of-London/164526.Vodafone-Mobile/signal/
5GNRUK
Vodafoneイギリス公式電波状況検索ページ
https://www.vodafone.co.uk/network/status-checker

どうせテストをするなら落ち着いてできるところがいいだろうと、ビクトリアステーション界隈が5Gエリアなので、すぐそばにあるLower Grosvenor Gardens公園のベンチで座ってテストしてみることにしました。とはいえ気温は3度で風も強く、長居はしたくない環境です。本当は数か所を回ってテストしたかったものの、今回はまだエリアも広くないことからここでじっくりとテストしてみました。
5GNRUK
ということでスピードテストを実施。5Gですから1Gbps超えの超高速を体験できることが期待されます。ネットワークがVodafone 5Gにつながっていることを確認、Pingの値は10ms台と5Gならではの低遅延です。そしてダウロード速度を期待してみると、50、100、150、そいて200を超えるかと思ったところ、200Mpbsを前にそれ以上伸びてくれません。
5GNRUK
公園内で端末の向きなどを変えてみましたが、最大で191Mpbsとやはり200Mbpsを超えることはありませんでした。ちなみにSIMを買ったVodafoneの店では「200から300は出る」という話だったのですが。念のためVodafoneイギリスのWEBを見ると、ちょっと気になる表記があります。

5G will offer speeds up to 200Mbps at launch and up to 1 Gbps in the long term...

5GNRUK
どうやら5Gのローンチに際し、まずは200Mbpsに測度を抑えているようです。5Gというのにこれでは日本の4Gと変わらないのでは。残念すぎます。

とはいえ5Gには「同時多接続」の特性もありますから、同じ場所で4G利用者の10倍以上のユーザーが高速に通信できるはず。また遅延も少ないためビデオ通話やゲームのストリーミング利用に向いています。ちなみに同じ場所で4G LTEのテストを行ったところ、測度は40-60Mbps台、Pingは20-30ms弱。イギリスの5Gは現時点では4Gの2-4倍程度の速度、遅延は1/2から1/3程度、ということになりそう。
5GNRUK
ところで5GのSIMフリースマートフォンはどうやって手に入れればいいのでしょうか?Vodafoneイギリスが採用する5Gは「NR」方式。これは他の国でもスマートフォンで5Gを展開しているところは同じです。そして周波数(対応バンドは)Sub6(6GHz以下)のn78(3.5GHz帯)です。一方日本ではSub6としてn77、n78、n79が採用されます。ということは日本で発売される5GスマートフォンをSIMロック解除して、イギリスに持ち込めば使えるように思えます。

しかし現在商用化されている5Gは、5Gネットワークを単独で利用するのではなくコアネットワークに4Gを利用する「NSA」(ノン・スタンド・アローン)方式となっています。

つまりスマートフォンで5Gを利用する場合は、NRの電波だけをつかむのではなく、常に「NR+LTE」という組み合わせでネットワークに接続されます。そのためキャリアによっては端末側でNRに対応するLTE(eLTE)の周波数の組み合わせをサポートしていないこともあり、他国や他キャリアで買った5Gスマートフォンが利用できないこともあります。

実際、筆者はこのロンドンで買ったGalaxy Note10+ 5Gをドバイに持ち込みましたが、5G(NR+LTE)をつかんで利用することはできませんでした。

現在販売されている5Gスマートフォンは比較的高価なものが多いため、5G普及の障壁にもなっています。しかし2020年には中国メーカーを中心に低価格な端末が出てくるでしょう。実はサムスンもミッドレンジ機「Galaxy A51」の5G版を出すと言われており、価格は10万円を大きく切ることが予想されます。

またロンドンのサムスンフラッグシップストアでは、同じAシリーズの「Galaxy A90 5G」が値引き販売されており399ポンドで売られていました。この価格はVAT込みで、空港などでVAT返金を受けると360ポンド前後、約5万円で購入できます。もしかしたらGalaxy A51 5G発売前の在庫一掃セールなのかもしれません。5GNRUK
このような理由から、ヨーロッパに行く機会が多い人は低価格な5Gスマートフォンをヨーロッパで買ってそれを使う、というのがいいのかもしれません。日本の5Gスマートフォンが海外の5Gで使えるかどうかは、3月以降に日本の5G端末を入手して今後試してみたいと思っています。

さてロンドン滞在は実質数時間。200Mbpsしか体験できず、これでは5Gの本当の実力を試せたとはいえないかもしれません。しかし4Gより明らかに高速であり、YouTubeを見っぱなしでもバッファに落ちることが無かったのは優秀でした。エリアがまだ広くないため、今後はエリアの拡充を進めてほしいところです。

それよりもロンドンの地下鉄は未だにスマートフォンのデータ通信は利用できず、有料Wi-Fiサービスしか使えません。地下鉄の駅と車内でも5Gとはいわず4Gが使えるようにすることも早急に進めてほしいものです。
5GNRUK



TechCrunch 注目記事「新型コロナの影響で自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

TechCrunch Japanへの広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com まで。媒体概要はメディアガイドをご覧ください。

関連キーワード: 5g, galaxya515g, galaxya90, GalaxyNote10+, london, uk, united kingdom, vodafone
84シェア