「曲がるコンクリート」の新レシピが特許取得。製造時CO2排出少なく、耐震性など利点

古代ローマに通じる新しい材料

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年03月5日, 午後 03:00 in Science
0シェア
Swinburne University
オーストラリア・メルボルンにあるスウィンバーン工科大学の研究チームが、柔軟でなかなか割れないコンクリートを開発し、特許を取得したと発表しました。

コンクリートといえば建築資材としては最も広く使われる材料ですが、一般に引っ張りや曲げの力が加えられると砕けやすい弱点を持ちます。また主要材料のセメントを作る際には石灰石を焼成するため、どうしてもCO2排出量が大きくなる問題もあります。

またこの記事で紹介するもの以外にも曲がるコンクリートというのはいくつかありますが、スウィンバーン工科大学の新しいコンクリートはセメントに変えて火力発電所などで石炭を燃やした後にできるフライアッシュを主な材料のひとつとするため、従来の曲がるコンクリートに比べても生産時に消費するエネルギーは36%、CO2排出量も最大で76%少なくてすむとのこと。灰をコンクリートに用いるというのは実は誰も思いつかなかった発想ではありません。歴史をさかのぼれば、古代ローマの時代には火山灰と生石灰を混合した材料を建築に用いていました。しかも当時(約2000年前)に作られた防波堤や桟橋はいまもその形をとどめています。

スウィンバーン工科大学が開発した新しい曲がるコンクリートは、フライアッシュに短いポリマー繊維を加えることで張力や曲げの力を加えても割れにくくなります。

加えられた力により、このコンクリートは割れるのではなく柔軟性を示します。たとえば地震や何らかの衝突物などの力に耐えることができ、豪雨や爆発といった自然または人為的な災害が起こりやすい地域での建築物に利用することでその価値を発揮できると、研究チームを率いるBehzad Nematollahi博士は説明します。さらに「実験の結果、この新しいコンクリートは通常のコンクリートの約400倍も曲げることができたが、強度はそれほど変わらない」と付け加えました。

1990年代初頭には、ミシガン大学のVictor Li博士が最初の曲げられるコンクリートを開発しています。しかし、このコンクリートは通常のコンクリートに対して約4倍ものコストがかかり、普及には至っていません。また最近ルイジアナ州立大学の研究チームが開発した曲がるコンクリートはコストを削減する方法を編み出したものの、普及にはまだ時間がかかりそうです。

ちなみに、製造時に大量のCO2を出すセメントを使わないコンクリートというのも近年開発されており、ケイ酸アルミニウムを主な成分とする粉体とアルカリ溶液を混合することで従来のセメントと同じように使える、ジオポリマーと呼ばれる材料が注目されています。

今後はこうした新しいコンクリート素材が、それぞれ適所で利用されるようになっていくのかもしれません。



 

TechCrunch 注目記事「新型コロナのソーシャルディスタンス(社会的距離戦略)を強力に支援するビデオチャットアプリ8選

関連キーワード: bendable concrete, concrete, design, Science, Swinburne University of Technology, tomorrow, transportation
0シェア