ZOZOMATとZOZOSHOESで快適な靴が見つかるのは何故? ZOZOSUITとは段違いの結果に驚いた(本田雅一)

ピッタリなシューズをAIが推奨してくれる理由は"採寸"ではなかった

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年03月6日, 午前 07:30 in fashion
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以前、ZOZOSUITを使ってZOZOの2Bビジネススーツをオーダーしたら、とっても変なサイズで届いてしまったという話を書きました。あれはもう一昨年の秋のこと。その後、スーツは作り直しとなり、結局、担当者が我が家にやってきて手計測のうえで納品となったのですが、ZOZOSUITも、ZOZOプライベートブランド製品も昨年にはメニューからなくなり、ZOZOSUITの計測結果から推奨サイズを選んでくれるサービスもなくなってしまいました。



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きっと、足形を計測してくれるZOZOMATも立ち消えなんだろうな......と思っていたところ、おもむろにZOZOMATが届いたのは2月29日のこと。注文したのが昨年6月のことだったので、注文していたことすらすっかり忘れていました。

このZOZOMAT、正直、ZOZOSUITでの経験があったため、まったく期待していなかったのですが、驚くほど具合がいいのです。

なぜZOZOMATで選ぶ靴は具合がいいのか? ZOZOSUITとは段違いの体験が得られるのか。ZOZOSUITも担当していたという取締役兼COOの伊藤正裕さんに話をきいてみると「なるほど!」と、思わず縦に首を振るノウハウがそこにはありました。

実は計測した寸法でフィッティングしているわけではない

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いやぁ、ZOZOSUITのときはオーダースーツがなかなかうまくできなくて大変でしたね〜とお約束の挨拶をしたところ、伊藤さんが当時のZOZOSUITについて少しだけ種明かしをしてくれました。

「(身体サイズを計測する)ZOZOSUITはリリースを急ぎすぎてしまいました。サービスの垂直立ち上げを狙って、多様な環境、条件下では正しく機能するかの検証が不十分だったんです。テストでは高精度で計測できるのに、ユーザーの手元では計測精度が落ちてしまうことがある。これがひとつ目の問題。そしてもうひとつは計測した寸法から、立体的な3Dデータへと変換する数理モデルが充分にこなれていませんでした」

「実はZOZOSUITは配付停止直前まで開発を続け、最後はかなり高い精度にまで追い込めていたんです。クレームの多くは最初の3ヵ月に集中していましたが、その後、同じスーツで同じ人が同じように計測すると高い精度で計測できるようになっていたんです」とのこと。

そこでZOZOMATでは、徹底的にAIを鍛え、さまざまな人がさまざまな環境でテストをすることで精度を高めたのだそうです。

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テストしたのは約1000人の被験者。のべ6万回以上、5000時間をかけて計測し、業務用のレーザー3Dスキャナで取った足形と比較しながら計測アルゴリズムをチューニングしていったと言います。その誤差は3Dスキャナとの比較で1.4mm以内と、ちょっと信じられないような数字ですよね。

自分で計測するとわかりますが、手計測で何度か計測し直すと異なる数字になるものです。特に足の周囲などはメジャーのまわしかたで数mmの誤差が簡単に出ます。それが1.4mm以内なのですから、そりゃ自信を持つわけだと思いますが「へぇ、凄いですね」というと、伊藤さんは意外な反応をみせてくれました。

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実は(アプリから参照できる)足の寸法はサイズ選択の参考にしているものの、ZOZOTOWNアプリの中で表示される相性度を決めているのは、もっと他の要素なんだそうです。

ポイントは単なるサイズだけではなく、3Dデータとして足型情報が得られるところ。「シューズの内寸を計測し、足の各部サイズを引き当ててピッタリのシューズを探すわけではないんですよ(伊藤さん)」

靴選びのポイントは"足型の特徴"を捕らえること

ではどうしているのか?

それは優秀なシューフィッターが靴選びのアドバイスを行うのと同じやり方ですし、もっと言えば自分自身で靴選びをする場合にも似ています。

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「足型って、実は自分自身がよく知ってるものですよね。右足が少し大きいとか、外反母趾だとか。足型の特徴を知ったうえで、ではどんなメーカーの靴が自分には合っているのか、どのモデルは快適だとか、そうしたことを経験値として積み重ねることで良い靴選びができます」と伊藤さん。

そこで、ZOZOTOWN内に新たに作られたシューズ専門コーナーZOZOSHOESでは、ZOZOMATで計測した3Dデータを部位ごとに分解。指ひとつひとつの長さの違い、形状の違いなどへと細かく分解し、部位ごとの特徴の組み合わせを診断します。

そして各部位の特徴が同じ(あるいは近似している)足型の人が、シューズのモデルごとにどう感じたのかを教え込んだデータベースと突き合わせ相性度を判断します。最終的にどのサイズを選べばいいか? は、計測した寸法から選ばれますが、それ以前に足型の特徴で相性の良し悪しを判断しているわけです。

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皆さん自身、メーカーごとに合うサイズが異なっていたり、同じメーカーでもモデルによってフィット感が違っていたり、そんな経験をしたことがあるでしょう。

「僕は○○ブランドは合うけれど、□□ブランドの靴は合わない」とか「△△ブランドの靴はワンサイズ上がいい」なんてノウハウを自分で把握していると思いますが、"同様の選び方を特徴が似た人のフィッティング情報からAIが自動判断してアドバイスしてくれる"これがZOZOMATという計測システムと、ZOZOSHOESという商品リコメンドサービスの組み合わせなのです。

実際に推奨されたシューズを買ってみたところ......

伊藤さんへのインタビューは、ZOZOSHOESが発表された3月4日の夕方に行ったのですが、3月1日にわたしのところへZOZOMATが届いていたため、あらかじめ計測してその日のうちにシューズを注文しておきました。

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普段はランニング用にアディダスの「UltraBOOST」を使っているのですが、28cmでもギリギリ合わないことはないけれどベストマッチは28.5cm。かなり迷う選択なのですが、ZOZOSHOESはこのことを知っているかのように、アディダス製シューズをモデルごとに「これは28.5cm」「こちらは28cm」と、推奨サイズを見分けてくれています。しかも経験値ともピタリ符合する。

アシックスやナイキでは29cmがベターなのですが、こちらも経験値通りのサイズを教えてくれます。

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少なくともスニーカーやスポーツシューズ選びにおいて、ZOZOMATとZOZOSHOESの組み合わせはかなり良い仕上がりのようです。では革靴はどうでしょう?

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さすがに数万円の高価な革靴で試す気にはなれなかったので、合皮製の3000円の靴で試してみました。27cm(ユーロサイズの44)が推奨で相性度は92%とのことでした。

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▲ということで、実際に履いてみたのがこちらの写真

どこにも"当たる"部分なく、また緩くも、キツくもなくピッタリ。何%の相性なら大丈夫そうか? といったノウハウは自分の中で作って行く必要があるでしょうけれど、まったく知らないメーカーの靴をいきなり買ってこれだけフィットするのなら間違いなく満足ですね。

今後はマルチサイズ展開やセミオーダーも?

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もし不満があるとするなら、メンズ、レディースの合計で100足程度という対応商品のラインナップです。

今回の仕組みでは内寸測定不要だそうですが、学習データは必要になります。取り扱い商品に対するフィッティングの学習データを追加していくことで、対応するシューズを増やして行かねばなりません。

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▲プレスカンファレンスでは、MATTさんの計測結果からメーカーごとに異なるサイズの診断が披露された

現時点でいつまでに何足といった目標は発表されていませんが「いずれはZOZOSHOESで扱う全ての商品に対応したい」とのこと。言い換えるなら、既製品のシューズ選びという観点において、サイズの問題はほぼ解決するのでは? というのが個人的な感想です。

ちなみに、ZOZOSUITの際にはプライベートブランドを展開、オーダースーツも用意していましたが、シューズに関しては自社ブランドでの提供は「ない」と明言しています。しかし、オーダーシューズが作れない程度の精度しかないわけではありません。

前述したように3Dスキャナ並の精度で足型が取れるのですから、オーダーシューズも不可能ではないようです。ただし行程を考えると「セミオーダーやパターンオーダーが現実的でしょう」と伊藤さん。

こちらも現時点では予定していないそうですが、セミオーダーシューズを展開するメーカーとの協業でネットでのセミオーダー靴というのも、将来の計画としてはあるそうです。また、ネット通販の良さを活かした柔軟な販売方法についても、将来的にメーカーの協力が得られるようならば実現できるアイデアがあると伊藤さんは言います。

たとえば、同じメーカー、同じデザインのシューズでも、異なるふたつの足型に展開して在庫し、ユーザーの足型に合わせて出荷する製品を変えるといったマルチサイズ展開も可能になるでしょう。

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ZOZOMATとZOZOSHOESの組み合わせは、シューズを通信販売で買いやすくなるだけでなく、たとえ近くのお店で買う場合でも、「このメーカーならこのぐらいのサイズかな」と目安を付けるのに役立ってくれるはずです。ZOZOSUITでは残念な経験もしましたが、今回はバッチリ。なかなか良い体験でした。



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